三菱商事

プレスルーム

2023年1月4日
三菱商事株式会社

2023 年 社長年頭挨拶

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
本朝、当社本社(東京・丸の内)にて行われました、社長 中西勝也 による「2023年 年頭挨拶」を下記の通りご報告致します。
 
 
明けましておめでとうございます。皆さん新年はどのように過ごされたでしょうか。
まだコロナ禍から完全に解放された訳ではありませんが、それでも移動の制約も少なくなり、思い思いの場所で年末年始を過ごされたのではないかと思います。英気に満ちた皆さんとこうして新年を迎えられたことを、大変嬉しく思っています。
 
昨年は 目まぐるしく環境が変化する厳しい1年でしたが、そう言った中でも、当社としては、22年度は1兆円を超える史上最高益を見込んでいます。地道に 目の前の仕事を コツコツと積み上げてきて頂いた賜物であり、改めて皆さん、一人ひとりの努力に感謝申し上げ度いと思います。これに慢心することなく、中経2024で掲げました目標に向かって、イキイキワクワクと、皆さんと共に力強く邁進したいと思います。
 
新年を迎え、より大きな挑戦・成長に向けて皆さんと共に 取り組んでいくにあたり、私自身も 昨年以上に高揚した気持ちでいます。仕事始めに当たって、本日は「①2023年の世界・日本の展望」と「②2023年に重点的に実行していく重要課題」の2つについてお話したいと思います。
 
昨年の1年間は、正に「激動の2022年」と言うに相応しい年でした。皆さんも、改めて事業環境の変化が、想定もしないインパクトで起きることを実感されたと思います。2023年を展望する上で、地政学リスクと脱炭素という2つの事象について触れておきたいと思います。
 
 

(①2023年の世界・日本の展望)

地政学的リスクについて
昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻。このロシア・ウクライナ紛争に伴い、コロナ禍からの回復の過程で正常化されると思われていたグローバルサプライチェーンは、逆に更に脆弱性を露呈しました。そして歴史的なインフレの中、欧米は金融引き締めに舵を切り為替相場もかつてない程の変化に見舞われました。ロシア・ウクライナ紛争の帰趨は未だ見通せません。また、中国は経済成長よりも国内の統治を優先する方向に一層向かっているように見えます。ゼロコロナ政策の負の影響もあり、当面の間、低成長に留まる展開も想定しなくてはなりません。
 
地政学的な不確実性も継続するとの認識を改めて持ち、食料・エネルギーは勿論の事、当社が関与するあらゆるサプライチェーンで、地政学的情勢の変化に脆弱なチョークポイントを抱えていないか、など、様々な観点から冷静に俯瞰することも必要です。昨年5月の中経策定時から、外部環境の前提条件は、想定の範囲内で推移しているものの、常に不確実性の高い環境を想定し「備える」思考を持って、半歩先・一歩先を読んでいくことが重要です。
 
脱炭素・カーボンニュートラルについて
米国ではインフレ抑制法が制定されたことに伴い、脱炭素関連のプロジェクトや技術革新が加速度的に進展していくことが想定されます。欧州も、足元の厳しい情勢から一時的にスローダウンを余儀なくされる可能性はあるものの、「脱炭素」と「脱ロシア依存」の両立という明確なアジェンダに基づき、グリーンへの移行を加速させる方向感は全く揺らいでいません。
 
全世界・全産業において低・脱炭素の潮流は不可逆の流れと思っていましたが、ロシア・ウクライナ紛争によって、この流れが更に強くなったのではと考えています。そう言った中で、当社には大きなチャンスがあると確信しております。
 
他方、日本に目を向けると、過去30年間、日本企業は海外で上げた収益を日本に還流させてはいるものの、その還流した資金が国内の成長投資に上手く繋げられず、経済の長期低迷を招いてきました。それに、今般の円安と資源高が重なることで、貿易赤字は拡大し、日本経済の成長余地を更に引き下げています。日本経済はまさに正念場にあると認識を強くしています。
 
こう言った認識の下で、中経2024では「強い日本」の復活、それをEX・DXを通じて新しい産業の創出に挑もうと、「EX/DXの一体推進による未来創造」を掲げました。カーボンニュートラル社会の実現、エネルギーの安定供給、産業競争力の維持・向上の3つのアジェンダを実現させ、日本経済の復活に目に見える貢献を形にしていくことで、当社の成長につなげる年にしたいと思っています。
 

(②2023年に重点的に実行していく重要課題について)

1点目:循環型成長モデルの着実な遂行について
循環型成長モデルを回すに際しては、国内外を問わずそれぞれの事業現場で、不断の見 直しによるムリ・ムダの徹底的な改善や、事業環境の変化への対応を進めるとともに更新投資の着実な実行と収益化を通じ、既存事業としての競争力を上げていくことで、ポートフォリオの強靭化に、今一度取り組んで頂きたいと思います。​
 
また、これだけの変化が激しい時代にあって、自分たちのビジネスモデルが陳腐化することが予見されたり、これ以上の成長が望めない事業については積極的に入れ替えを決断し、迅速に実行していく覚悟を持って欲しいと思います。
 
そして、事業の入替えと並行して、構想力を駆使して将来の収益の柱となる成長戦略を発掘し、着実に実行していくことが重要です。循環型成長モデルは、事業売却だけではなく成長案件への投資とセットで回していくべきモデルであることを今一度お伝えしておきます。
 
昨年、株主・投資家・メディアなど様々な場面でステークホルダーと対話する機会がありましたが、当社に対するマーケットからの強い期待を直接肌で感じたことが印象に残っています。ポートフォリオの強靭化を進めることで会社の「実力値」を高め、この1兆円規模の収益水準を維持できるような会社になっていきたいと思います。
成長案件の発掘に当たっては、これまで以上に意識頂きたいのは、「技術革新」と「産業構造変化」へのインテリジェンスです。技術革新やデジタル技術の更なる進化による産業変革が起きる可能性など、インテリジェンスを高めていくことは、将来の新たな事業戦略を考える上では、極めて重要なアプローチです。
 
EV普及による自動車産業の構造変化、再エネを組み入れたエネルギーサービス分野の変化、デジタル技術を駆使した物流・医療・金融分野での変革など、様々な業界・分野での技術革新・産業構造変化が予想を超えるスピードで非連続的に起こっています。これらの動きに対してインテリジェンスを駆使し、事業を構想し、そして構想の実現に繋げていく努力が必要です。皆さんにも、是非、技術革新含めて外部環境の変化へのアンテナを高く張り、組織の垣根を超えてつながり、成長につながる、当社の新しい事業モデルを縦横無尽に共創してもらいたいと思います。
 
社長就任時に、「社員が一丸となる→ つながり」を大切にしたいとお話し致しました。こうした変化の激しい事業環境において新しい事業モデルを創り出す為には、皆さん同士が積極的に繋がり、活発にコミュニケーションをとることが不可欠です。国内だけでなく海外においても、全社拠点をオーガナイザーとして事業会社同士が積極的に共創価値を追求していく方針です。是非、改めて「つながる」ことを意識してもらえればと思います。
 
2点目:EXについて
中経2024の成長戦略の1つですが、EXタスクフォースを中心とした関連グループ間での議論を経て、200件ほどあったロングリストから、この3年間で何に優先的に手を打つのか、ショートリスト化が概ね出来上がっています。勿論、マネジメントとしては、各地域の政策動向なども踏まえて不断の戦略見直しを行って参りますが、本年からは、いよいよ、実行に移すタイミングです。
 
エネルギーセクターは、足元の資源価格の急騰の結果、世界各国で様々な歪みが露呈してきていることは、皆さんもニュースでご認識の通りです。歴史的に見ても、資源・エネルギー分野における、当社のこれまでの実績・貢献度合いを鑑みても、EXの取組みは、エネルギー自給率が極めて低い日本に於いて、日本経済が力強さを取り戻す上で欠くことのできないものである、との使命感・自負を持って、取り組んで貰えればと思っています。
 
3点目:DXを活用した地域創生について
スマートフォンやアプリに代表されるデジタルタッチポイントの拡大に伴い、デジタルとリアルの融合の重要性はますます高まっています。デジタル企業はリアルを有するビジネスにリアルを主とする企業はデジタルへと、それぞれ領域を広げていく動きは今後も加速していくでしょう。これらの流れを捉えて、当社の強みであるB to Bネットワークを活かし、リアルを主とする企業や自治体のDXに伴走しながら、それらが有する顧客基盤にアクセスしていきます。
 
顧客との高頻度な接点と有益なデータを活用して、顧客理解を深め、トライ&エラーを繰り返し、アジャイルに複数の魅力的なサービスを開発・提供することで、満足度の高い顧客体験の提供を目指したいと思います。当社が有するリアルの現場とデジタルの変革力で、各地域における住民の方々の利便性向上と、地域の活性化の実現といった社会課題への解決にも真剣に向き合っていきます。
 
 

(最後に)

改めてコンプライアンスの重要性について触れておきたいと思います。昨年、中経2024を公表した際、私からのメッセージとして、Back to Basic、原点に立ち返ろう、とお伝えしました。当社の基本とは、言うまでもなく企業理念としての「三綱領」です。社内外で多様性が広がり、目まぐるしく変化する時代だからこそ、三菱商事グループ全体をつなげる基軸としての「三綱領」が重要になってきます。
 
中でも、「処事光明」、すなわちコンプライアンスを重視し、オープンかつフェアであることは、当社の企業価値を高める上で欠かせないものです。パートナーや顧客をはじめとする様々なステークホルダーから信頼されリスペクトされる企業集団であることが、新たな「つながり」を生み、それがひいては次の事業機会や人材獲得につながっていきます。
 
その為にも、グループ企業も含めた当社役職員一同が、コンプライアンスの重要性を再認識し、「処事光明」の精神をもって事業活動に当たることが不可欠です。年頭の挨拶に当たり、今一度、このことを胸に刻んでいただきたいと思います。
 
 
 
本年の干支は、「癸卯(みずのとう)」です。これまでの努力が実を結び、勢いよく成長し飛躍するような年になると言われています。世の中が目まぐるしく変化するこの激動の時代だからこそ、多様な事業に携わっている総合力の強みを最大限活かすことができる筈です。
 
昨年はタウンホールミーティング、海外でも中経説明会等を通じて、数多くの社員の皆さんに経営方針を直接お伝えする機会を作って参りました。今年も「つながり」を意識して継続していくつもりです。そして、三菱商事グループの多彩・多才な人材の力と叡智を結集することで、本年を飛躍の年にできると確信しています。
 
やるからには結果に拘る一年にしていきたいと思います。本年も全社一丸となってチャレンジしていきましょう。
 
 
以  上

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