プレスルーム
2023年6月28日
三菱商事株式会社
中干し期間の延長による本邦水田メタン削減プロジェクト
三菱商事株式会社(以下、当社)は、低・脱炭素化に向けた取り組みの一つとして、2023年6月28日、水田における中干し期間の延長によるメタン*1削減プロジェクト(以下、本プロジェクト)をJ-クレジット制度*2へ登録申請し、承認されました。
水田からのメタン発生は、本邦メタン排出量の約4割を占め、その排出削減は、政府が打ち出す「みどりの食料システム戦略」*3にも位置付けられる、日本の農業における重要課題の一つとなっています。
土壌中に存在する細菌が稲わらや肥料等の有機物を分解することで生成されるメタンは、水田から水を抜いて細菌の活動を抑制することで削減が可能です。水稲の栽培において行われる中干し*4期間を慣行よりも7日間延長することにより、メタン発生量を3割削減できることが確認されています。
本プロジェクトにおいて、当社は、米生産者のメタン削減活動(中干し期間の延長)のモニタリング、メタン削減見込み量の算定、クレジット化手続き等の運営・管理を行います。米生産者に対して、創出したクレジット量に応じた協力対価を支払い、米生産者にとっては新たな収入源になります。
削減活動のモニタリングには、当社グループ会社であるウォーターセル株式会社*5の「アグリノート」等の営農支援システムも活用し、効率化を支援する体制を構築します。また、温室効果ガス排出削減に取り組む米生産者が評価される農業の実現を目指し、本プロジェクトを通じて生産された米の流通にも取り組みます。
2023年度は、一部地域の協力生産者と共に開始し、順次米生産者や農業周辺企業等のプロジェクト参加を募り、全国に取り組み範囲を広げて参ります。
当社は、2021年10月に策定した「カーボンニュートラル社会へのロードマップ」において、2050年の温室効果ガス排出量ネットゼロを宣言しました。さらに、「中期経営戦略 2024 MC Shared Value(共創価値)の創出」において、「Energy Transformation(EX)・Digital Transformation(DX)の一体推進による未来創造」を成長戦略として掲げ、社会や産業課題の解決に取り組んでいます。
当社の米事業においては、米の流通や、営農支援システム提供等の農産物サプライチェーンに跨る事業を展開しております。本プロジェクトを通じて、温室効果ガス排出削減と経済価値創出を同時推進することで、日本の農業の低・脱炭素化へ貢献すると共に、地域経済の活性化に取り組んで参ります。
*1 CO2の25倍の温室効果をもつ温室効果ガス。
*2経済産業省・環境省・農林水産省が制度管理者となり、2013年より運営されているカーボン・クレジット制度。省エネ・再エネ・森林等を対象に幅広くカーボン・クレジットを認証。
*3国内農林水産業の生産力強化や持続可能性の向上を目指し、2021年5月に農林水産省が策定した食料生産の方針。農林水産業に伴う温室効果ガス排出や、化石燃料由来の肥料使用量の削減といった環境負荷の低減策が中心。その他、水産業において天然種苗の採捕量削減等、生物多様性に与える影響を低減する取り組みも含む。
*4水稲の栽培期間中、出穂前に一度水田の水を抜いて田面を乾かすことで、過剰な分げつ(根元付近からの枝分かれ)を防止し、成長を制御する作業。
*5生産者向け営農支援ツール「アグリノート」等の、生産者の役に立つ情報プラットフォームを構築し、営農情報のデータ化、共有、連携を行う企業。
三菱商事株式会社 概要
本社所在地:東京都千代田区丸の内二丁目3番1号
代表者:代表取締役 社長 中西 勝也
創立:1954年7月1日(設立1950年4月1日)
事業内容:天然ガス、総合素材、化学ソリューション、金属資源、産業インフラ、自動車・モビリティ、食品産業、コンシューマー産業、電力ソリューション、複合都市開発の10グループに産業DX部門、次世代エネルギー部門を加えた体制で、幅広い産業を事業領域として多角的なビジネスを展開しています。
三菱商事のマテリアリティ(重要課題)
三菱商事は、企業理念「三綱領」に基づき、事業を通じて社会の持続可能な発展へ貢献し、価値創造に取り組むことで、社会と共に発展してきました。『中期経営戦略2024』で目指すMC Shared Value(共創価値)の継続的な創出に向け、当社が解決していく重要な社会課題である「マテリアリティ」を指針として、当社の持続可能な成長に向けた取り組みを強化していきます。本件は、事業活動を通じて目指す「カーボンニュートラル社会と物心共に豊かな生活の実現」に関する6つのマテリアリティの内、特に「脱炭素社会への貢献」、「持続可能で安定的な暮らしと社会の実現」、「地域課題の解決とコミュニティとの共生」に資する取り組みになります。
ニュースリリースに関するお問い合わせ先
三菱商事株式会社 広報部 報道チームTEL:03-3210-2171 / FAX:03-5252-7705