三菱商事

プレスルーム

2024年1月4日
三菱商事株式会社

2024年 社長年頭挨拶

本年もよろしくお願い申し上げます。
本朝、当社本社(東京・丸の内)にて行われました、社長 中西勝也 による「2024年 年頭挨拶」を下記の通りご報告致します。
 
 
新年を迎えて
2024年の年頭にあたり、新年のご挨拶を申し上げます。
 
まず、元日に発生しました能登半島地震により亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された多くの皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 
さて、昨年は、時間が許す限り国内外に足を運び、自身の目で現場を確かめ、共に事業を推進するパートナーとも直接会話し、そして、現場で奮闘されている社員の皆さんの生の声を聴かせてもらいました。また、タウンホールミーティングなど社員の皆さんとの直接の意見交換会を合計27回開催し、718名に参加してもらいました。三菱商事の現状や将来について、皆さんとの活発な意見交換を通じて、私自身、多くの気づき・刺激を得ることができました。
 
デジタル技術の飛躍的な進展により、コミュニケーションの方法は多様化していますが、先行きが不透明で正解のない世界において、当社の未来を、「共創」、共に創っていくためには、現場感・温度感を持った皆さんとの直接の意見交換、対面での議論に勝るものはないと、改めて実感しています。
 
今年も国内外でのタウンホールミーティングを継続していきますので、是非、積極的に参加して下さい。皆さんとの「つながり」を更に強め、大いに議論し、当社の未来に「つなげる」年にしたいと思っています。
 
変化の2024年-「地政学の益々の不確実性」と「技術進化による覇権争い」
2024年という年は、将来振り返った時に、歴史上大きな転換点になった、と言われるような「変化の年」になるのではないかと感じています。その理由を2つお話しします。
 
1つ目は地政学リスクによる転換です。米中対立をはじめ、ウクライナや中東での紛争など、世界のあらゆる地域で騒乱が継続し、それに対応する各国の足並みの乱れが、過去数十年続いてきたグローバリゼーションの潮流に大きな影響を与えることが、最早、常態化していると見るべきです。
 
特に、今年は、70以上の国々で選挙が行われ、世界の民主主義の有り方にスポットライトが当たる年となります。これらの国々に住んでいる人口は合計で約40億人、世界の人口が約80億人ですから、実に半数にあたる地域で選挙が行われる予定です。1月の台湾での選挙を皮切りに、インドネシア、インド、 そして11月のアメリカ大統領選挙と続きます。各国・地域でますます内向き志向、自国主義が強まるのではないでしょうか。
 
その結果、全世界が協調すべき地球課題でもある脱炭素への取り組みについても、国・地域によって違いが出てくるでしょう。また主要国による「産業誘致合戦」などの様相もあり、本来の目的達成に向けた道筋にも不透明感が増すことになりそうです。また、国際社会で存在感を増すグローバルサウスなど新興国の立ち位置も様々で、世界の地政学バランスに大きな変化が生まれ、更なる多極化・分断化という色彩が強まる年になるのではないかと思います。
 
2つ目は政治・経済や地政学リスク以上に、世界秩序そのものに大きな地殻変動をもたらしうる技術の更なる進化-すなわち生成AIの進化による転換です。
 
現在、地球上のあらゆる優秀な頭脳が競うようにAIの開発に従事しています。AI開発を巡っては、国際協議による規制も議論されていますが、進化のスピードは止められず、またAIを軸とした対立の勃発などの可能性も否定できません。AIの進化は、単に、我々の日常生活を便利に、ビジネスを効率的にする、ということに留まらず、国家の政治・経済体制や人々の思想・価値観に至るまで、あらゆるレイヤーに大きな影響をもたらし、AIを制するものが次の未来の覇権を握ると言っても過言ではありません。
 
只今申し上げた事業環境に於けるこれら2つの要因-「地政学の益々の不確実性」と「技術進化による覇権争い」が、これからの未来に向けた転換点・ターニングポイントになっていくのではないかと思います。
 
日本の復活へ-ここ数年が正念場
一方、日本が置かれた現状はどうでしょうか?
原子力の再稼働がなかなか進まず、輸入に大宗を依存せざるを得ないエネルギー分野や、米国GAFAMを中心としたデジタルプラットフォーマーに市場を独占されつつあるデジタル・データ関連分野において増加している国際収支赤字など、日本の国際産業競争力・プレゼンスの低下が現実のものとなりつつあります。加えて、これまで自動車をはじめ、日本企業のプレゼンスが高かったアセアン市場でも、中国をはじめとする海外企業の進出が加速し、日本に利益をもたらしてきた産業基盤そのものがかつてない脅威にさらされています。
 
そうした中で政府主導により、サプライチェーンの再構築、新技術開発・スタートアップ企業支援など国内での新産業創出・産業誘致の動きが強まっています。まさに日本の技術力、それに伴う産業競争力を復活させ、日本のプレゼンスを取り戻すことができるか、ここ数年が正念場だと認識しています。
 
当社としても、日本企業として、官民一体となっての日本復活に対しては引き続き取り組んで行きたいと思います。一方で、マクロ・ミクロ的な地政学・世界の動き・変化、デカップリングやパワーバランスの変遷、更にはAIが人類にもたらす影響や変化等を不断に、そして俯瞰的に捉え、柔軟性とスピード感をもって会社の方向性を判断していくことが社長の責務であるとの認識を強くしています。
 
変化はチャンス-成長を意識した取り組みを加速
今まで述べてきました、刻々と変化する事業環境を踏まえて、皆さんには是非この環境や難局に怯むことなく、積極的に挑戦してほしい、と同時に思っています。即ち、「変化はチャンスだ」、ということです。
 
中経2024初年度にあたる22年度は過去最高益を達成することができました。そして、2年目となる23年度もこれに次ぐ高い業績水準を見込んでいます。これも社員の皆さん一人一人の頑張りのおかげであり、この場を借りて心から感謝したいと思います。
 
一方で、業績が好調な今こそ、それぞれの事業を改めて見つめ直し、将来に向けて打つべき手を見極め、そして実行に移す必要があります。中経2024で掲げた循環型成長モデルの実践において、「循環型」は定着し、守る力には手応えを感じています。今年は、そこから当社の多様性・総合力といった強みを最大限に発揮し、攻めの取り組み、すなわち、成長を意識した取り組みを加速させていきたいと思います。
 
これからの時代は、オープンイノベーション、業界の壁を超えた、いわば「何でもあり」の事業環境になってきています。こういった環境変化に対応する為、昨年末に営業グループの組織改編を発表しました。
 
成長実現の基礎・大前提は、あくまで一つ一つのタテ、即ち、個々の事業が強いこと、です。まずはタテが強くなる。そして、強いタテが力を持ち寄り、「新結合」することによってはじめて、他には真似することのできない、当社ならではの新たな価値を生み出すことができると確信しています。これこそが、中経2024で掲げたMCSV(MC Shared Value)に込めた私の想いです。
 
また、今回の組織改編における地域体制の見直しも、グローバル・インテリジェンスを強化して、外部環境の変化が益々早くなっている中で対応力を高めるとともに、グローバルな成長を取り込み、地域発のMCSV創出を実現していくためのものです。
 
そのためにも、まずは現場の最前線に立つ皆さんには、是非、対面する顧客や業界パートナーと確りと信頼関係を構築し、会話や現場視察から得られる小さな変化やヒントを見逃さないで欲しいと思います。時代の「半歩先・一歩先」を進むためには、市場動向を察知する目利き力と、それを事業につなげる構想力が必要となります。それを社内に持ち帰って上司や同僚と徹底的に議論を重ね、勇気をもって新たな事業に挑戦すること、そして、最後まであきらめずやり遂げる、ということに、改めて取り組んでいただきたいと思います。
 
こうした一人一人の危機感・当事者意識・攻めの姿勢といったものが積み重なることで、大きな時代の変化が、当社にとってのチャンスとなり、それがやがて次の成長の柱となり、未来の三菱商事を支えていくことに「つながっていく」と確信しています。
 
コンプライアンスの重要性
さて、この機会を捉えて、改めてコンプライアンスの重要性について触れておきたいと思います。
 
昨年も年頭挨拶で、Back to Basics、基本に立ち返ろう、と皆さんにお伝えしました。三菱商事の企業理念である「三綱領」、なかんずく「処事光明」の精神は、例えどんなに社会や環境が変わり、事業の形が変わろうとも、ずっと堅持すべきものです。役職員一同、コンプライアンスの重要性を再認識し、今一度、胸に刻んでいきましょう。
 
最後に
最後になりますが、本年の干支は「甲辰(きのえ・たつ)」です。これには「新しいことを始めて、成功する。いままで準備してきたことが形になる」といった意味があると言われています。まさに新たな体制でスタートを切るにふさわしい年と思います。
 
今年も皆さんと共に、健康で充実した1年を過ごせることを祈念して、年頭の挨拶としたいと思います。皆で力を合わせ、変化を捉え、未来を拓く1年としていきましょう。
 
以 上

ニュースリリースに関するお問い合わせ先

三菱商事株式会社 広報部 報道チーム
TEL:03-3210-2171
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