三菱商事

熱帯林再生プロジェクト

熱帯林の減少は、自然生態系の保全や温暖化の原因であるCO2の吸収、異常気象など地球環境に大きな影響を及ぼしています。三菱商事では、1990年より「熱帯林再生プロジェクト」を開始しました。このプロジェクトは、現地固有の植物を密植・混植方式で植林し、熱帯林の短期再生を目指すというものです。三菱商事では今後も、産業界、研究機関、政府機関との連携の下、熱帯林再生に寄与していきたいと考えています。

熱帯林再生プロジェクト

世界各地における熱帯林の減少は、われわれが直面する環境問題の一つです。熱帯林は生物種の宝庫と言われており、その減少は、生物の多様性に大きな影響を与えます。また、熱帯林はCO2の吸収源として地球温暖化や、異常気象・自然災害などにも影響を及ぼしています。一度破壊された熱帯林は、もとの姿に戻るのに300~500年を要すると言われています。

そこで三菱商事では、1990年に「マレーシア熱帯林再生プロジェクト」を開始して以来、潜在自然植生理論に基づく“ふるさとの木によるふるさとの森づくり”(Native Forests with Native Trees )に積極的に取り組んでいます。

「マレーシア熱帯林再生プロジェクト」は、当時、横浜国立大学の教授だった宮脇博士(現在(財)国際生態学センター研究所長)の研究に基づくもので、現地固有の植物を密植・混植方式で植林することにより、失われた森林をわずか40~50年で限りなく自然林に近い生態系によみがえらせることを目指すものです。マレーシア・サラワク州ビンツルの焼畑跡地におけるマレーシア国立農業大学と横浜国立大学との共同研究を三菱商事がバックアップする形でスタートしました。

約50ヘクタールの実験地に植栽した約30万本の苗木は、10余年を経過した現在、高いもので20m以上に生長し、うっそうとした森の様相を呈しています。また、毎年日本からのエコツアーを受け入れ、地元の人たちとともに熱帯林の植林を続けています。

1992年には、アマゾン川河口のブラジル・パラ州・ベレン近郊でも、宮脇方式による「アマゾン熱帯林再生プロジェクト」を、国立パラ農科大学などとの共同研究としてスタートさせました。地元の小・中学生や職業学校の生徒たちとともにこれまでに植裁した樹木は、約100種類、40万本以上になります。

裸地となった荒廃地への植林というチャレンジでした。廃材と土を混ぜたマウンドで表土を覆い、成長の早い樹木を混植することで、雨季の栄養分を含んだ表土の流失、乾季の乾燥という苛酷な条件下の植林を進めました。アマゾンのプロジェクトも実験開始から10年を経て、樹高20mを超す樹木もあり、驚異的な生長ぶりを見せています。

今後は、樹木が生育するにつれ、土壌生物群をも含めた生態系が、限りなく原生の自然に近い森に発展するであろうと期待されています。

当社は、こうした熱帯林再生プロジェクトにおいて企画から運営管理、資金調達までを担っています。今後も産業界、研究機関、政府機関との連携のもと、世界の熱帯林再生事業に寄与したいと考えています。また、中国では、経済発展により環境破壊が進んだ上海市で、「グリーンベルト・プロジェクト」が進められています。このプロジェクトは、外環状道路沿いを総延長97km、幅約100mの森林で取り巻くことで、緑の保全と回復を目指すものです。当社はエリア内の一部で宮脇方式による植林を行っています。

また三菱商事は、マレーシア、ブラジル、ケニアでの熱帯林再生プロジェクトの成果を踏まえ、国際森林年である2011年度から2015年度の5年間、国際NGOオイスカをパートナーに、インドネシアのジャワ島内にあるグデ・パングランゴ山国立公園を舞台に熱帯林再生実験プロジェクトを実施しました。

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