
未来を支える小さな巨人
リチウムイオン電池
エネルギー密度が高く、小型、軽量、高性能が利点の充電池。スマートデバイスから発電システムまで用途が広い。
この秋、大きな注目を集めたリチウムイオン電池。スマートフォンやノートパソコンなどデジタル機器のバッテリーに使われ、モバイル社会を支える時代の立役者だ。この電池がいま、低炭素社会にも大きく貢献しようとしている。発電量が天候などによって左右される太陽光や風力など自然エネルギーの蓄電池として活用されるほか、各国が普及を急いでいる電気自動車(EV)にもリチウムイオン電池が搭載されているのだ。
環境問題への意識が高い欧州で街を歩くと、EVの多さに驚かされる。特にノルウェーでは今年3月、乗用車の新車販売台数でEVのシェアが5割を超えた。環境に配慮した車に「Eナンバー」を与えることで、高速道路が無料になったり、購入時にかかる税金が軽減されるなど、手厚い制度が普及を後押ししているという。環境にやさしい社会づくりを目指す姿は、私たちが向かう先でもある。日本でも太陽光発電のある家庭では、夜間や非常時に電気を有効活用できる蓄電池の導入に関心が高まっている。
こうした中、EVや自然エネルギー普及のカギを握るリチウムイオン電池は、電池の長寿命化や安全性の向上など日々進化を続けている。また、小型化により、ウェアラブル端末や小型センサーの電源などIoT分野でも実用化の幅が広がっている。
決して目立つ存在ではないが、デジタル社会や持続可能な社会へ向け、ともに歩んでいく頼もしいパートナーといえるだろう。
世界初のEV量産化に貢献
車載用および産業用リチウムイオン電池の開発・製造・販売を目的に、(株)GSユアサ、三菱商事(株)、三菱自動車工業(株)の3社で2007年に設立した(株)リチウムエナジー ジャパン。世界初の量産EVにリチウムイオン電池を供給した実績を持ち、現在では、再生可能エネルギー発電併設の大型蓄電池の開発にも力を入れています。

2019年12月1日 朝日新聞「GLOBE」掲載
