革新的な金属リサイクル技術を開発する英国DEScycle社への出資参画および業務提携について

2025年6月2日
三菱商事株式会社

三菱商事株式会社(以下、「三菱商事」)は、使用済みの電子機器類であるEスクラップからの金属回収に関する革新的な技術を有するDEScycle社(本社:英国)が実施した資金調達ラウンドにて株式を取得すると共に、DEScycle社との協業推進に関する業務提携に合意しました。


Eスクラップには銅や貴金属等の有価金属が含まれていることから、近年、都市鉱山としての価値がより高まっています。また、AIの社会実装が一段と進む中で、データセンターの急増等によるEスクラップの増加が見込まれています。一方で、クリーン且つ経済的にリサイクルすることが難しい等の理由で大量のEスクラップが再利用されずに埋め立て処分されており、その環境負荷が問題視されています。


DEScycle社の独自技術(*)は、低温常圧下で金属を選択的に溶解することを可能にするもので 、現在主流となっている乾式製錬法に比べ、エネルギー消費や環境負荷を大幅に削減した金属回収が期待されることから、Eスクラップを二次資源として有効活用し、持続可能な資源循環を実現することに繋がります。

今回DEScycle社が調達した資金は、英国にてパイロットプラントの建設・運営に使用されます。パイロットプラントでの実証期間の後、2028年に英国にて年間処理能力約5,000トンの商業規模プラントの稼働を予定し、その後北米や日本等へ展開する計画です。


三菱商事は、トレーディング知見と業界ネットワークを駆使し、DEScycle社の技術を活用して生産されるEスクラップ由来の銅や貴金属等のマーケティング活動を担います。また、事業投資知見を活用して本事業の拡大に向けた共同検討も推進し、これからも循環型社会実現への貢献を目指して参ります。



(*) 独自に開発した深共晶溶媒(Deep Eutectic Solvent:DES)を用い、低温常圧下で金属を選択的に溶解するもの。


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    Eスクラップ(使用済み電子機器類/プリント基板)
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    様々な天然成分/化合物を組み合わせて合成されたDES

DEScycle

DEScycleは、深共晶溶媒 (Deep Eutectic Solvents: DES)と呼ばれる環境に優しい化学物質を活用し、革新的な金属処理技術を開発している英国のディープテック企業です。DESは再利用可能な液体であり、低温・低エネルギーでの処理を可能にするため、低炭素・低環境負荷の金属リサイクルが実現可能となります。その為、従来の高エネルギー消費型で環境負荷の高い製錬プロセスや有害化学物質に頼らない、新たな選択肢を提供する可能性を秘めています。DEScycleは、1,000億ドル規模にのぼるEスクラップ市場に注目しており、コスト競争力・性能・環境負荷・透明性の各面で業界をリードする金属リサイクル技術の商業化を目指しています。

三菱商事

三菱商事は、世界中に広がる連結対象会社と協働しながらビジネスを展開しています。地球環境エネルギー、マテリアルソリューション、金属資源、社会インフラ、モビリティ、食品産業、S.L.C.、電力ソリューションの8グループ体制で、幅広い産業を事業領域としており、 貿易のみならず、パートナーと共に、世界中の現場で開発や生産・製造などの役割も自ら担っています。


三菱商事のマテリアリティ(重要課題)

三菱商事は、企業理念「三綱領」に基づき、事業を通じて社会の持続可能な発展へ貢献し、価値創造に取り組むことで、社会と共に発展してきました。今後も共創価値を継続的に創出しつつ、当社が解決していく重要な社会課題である「マテリアリティ」を指針として、当社の持続可能な成長に向けた取り組みを強化していきます。本件は、事業活動を通じて目指す「カーボンニュートラル社会と物心共に豊かな生活の実現」に関する6つのマテリアリティの内、特に「持続可能で安定的な社会と暮らしの実現」と「イノベーションを通じた社会課題の解決」に資する取り組みになります。
脱炭素社会への貢献
自然資本の保全と有効活用
持続可能で安定的な社会と暮らしの実現
イノベーションを通じた社会課題の解決
地域課題の解決とコミュニティの共生
事業推進における人権の尊重

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