プレスルーム
2015年8月28日
三菱商事株式会社
Olam社との資本業務提携に関するお知らせ
~サステナブルな農産物のグローバル調達網拡充に向けた取組を加速~
三菱商事株式会社(以下、三菱商事)は、在シンガポール農産物事業会社Olam International Limited(以下、Olam社、シンガポール上場)に20%出資し、Olam社と資本業務提携を締結することにつき合意いたしました。三菱商事は、今後世界的に需要拡大が見込まれるコーヒー・ココア・ナッツ類等の食品原料をはじめとする農産物分野においても、農業生産やその周辺事業、貿易、加工を含めた原料調達網の拡充を進め、世界各国の消費者への安定供給を果たすと共に、グローバルな事業拡大の取組みを加速して参ります。
1.資本業務提携について
三菱商事は、Olam社の創業家から8%相当の株式を取得するとともに、Olam社の第三者割当増資の引き受け(12%相当)により、合計20%の出資(総額約15.3億シンガポールドル(約1,300億円))を行い、Olam社に取締役2名を派遣し、経営参画いたします。
三菱商事とOlam社は、製菓・飲料等の食品原料を含めた幅広い農産物、特に世界的に高まる消費者の「食のサステナビリティ」への関心に対応した原料の調達網拡大に取り組みます。また、Olam社の農業生産・調達基盤と三菱商事の食品製造・販売基盤を融合させ、農業生産及び周辺事業から集荷・加工・製品製造・販売に至るまでの新たな垂直統合事業プラットフォームを構築し、グローバルベースで事業展開していきます。
さらに、Olam社が持つアフリカでの原料調達網及び食品加工などの強固な事業基盤を起点に、将来有望な消費市場であるアフリカ大陸における事業拡充にも積極的に取り組みます。
2.背景
新興国経済の発展に伴う食生活の多様化・西洋化の進行により、主食である小麦粉製品(麺・パン)、米、肉類、水産品に加え、コーヒー、ココアやナッツ類の農産品需要も拡大する傾向にあります。また、先進国では、消費者が「品質」に加えて社会・環境面の課題解決につながる「サステナブル」な食品を求める傾向が高まっており、世界規模でグローバルブランドを展開する大手食品メーカーがサステナブル原料(※1)の比率を引き上げる動きを見せています、日本でも、レインフォレスト・アライアンスなどの認証を受けた農園で栽培された原料(コーヒー等)を使用する動きが広がっています。今後は、この流れが加速し新興国にも広がっていくことが予想されます。
※1:サステナブル原料
小規模農家・農業周辺事業従事者の所得向上、衛生・労働環境の改善、児童労働の撲滅、水資源の適正利用等、社会・環境に配慮した持続可能な農業活動をもとに生産された農産品
Olam社は、1989年にナイジェリアでナッツトレーディング会社として創業以降、M&A等により事業規模を拡大し、世界65か国で44の商品事業を展開する大手農産物事業会社です。コーヒー、ココア、ナッツ類など世界トップクラスのシェアを誇り、サステナビリティ・トレーサビリティを重視した農業生産・集荷・製造加工までのバリューチェーンを構築しています。また、アフリカではこれらの商品に加え、製粉、加工食品事業等も含めた強い事業基盤を有しております。
三菱商事は、生活産業分野において「衣食住に関わる生活必需品を消費者に供給する責務を果たし、経済環境や産業構造の変化に柔軟に対応することで持続的成長を実現すること」をミッションに掲げ、グローバルな原料調達網の拡充を基本戦略の一つとして、世界各国で様々な事業に取り組んで参りました。食料分野全般においては、原料調達から小売りまでをつなげる垂直統合モデルを構築してきました。特に、「主食」の分野では、原料加工を中心に需要基盤を確保しつつ、原料調達網をグローバルに拡充しています。
Olam社は、地域社会・経済の発展や環境負荷の低減を通じて、持続可能な事業活動を推進することを基本戦略に掲げており、サステナビリティ・トレーサビリティを重視したサプライチェーンを構築しております。三菱商事も、「経済価値」のみならず「社会価値」、「環境価値」も含めた「継続的企業価値」の創出を目指しており、両社は非常に近い理念を共有しています。
三菱商事とOlam社は、20年以上に亘る取引があり、2014年に三菱商事がOlam社より株式80%を取得した豪州穀物事業会社の共同事業運営を通じて事業パートナーとしての関係がさらに深まりました。今般、「中長期的な事業成長を実現するための戦略パートナー」を求めるOlam社の意向を受け、両社間で中長期的な成長戦略を協議の結果、資本業務提携契約を締結するにいたりました。
三菱商事は、Olam社を戦略的事業パートナーとすることで、日本のみならず世界各国の消費者へのサステナブルな食品の提供に貢献していきます。また、日本では、コーヒー、ココア、ナッツ類等を取扱うOlam社との合弁販売会社の設立し、サステナブルな原料の提供に加え、お客様のご要望に応じた原料加工品の供給にも取組んでいきます。
【参考資料】
1.三菱商事株式会社
(1)代表者 :小林 健
(2)本社所在地:東京都千代田区丸の内2-3-1
(3)創立 :1954年
(4)事業内容 :
地球環境・インフラ事業、新産業金融事業、エネルギー事業、金属、機械、化学品生活産業の7グループに加え、ビジネスサービス部門による幅広い産業を事業領域とした多角的なビジネスを展開
(5)従業員数 :71,994人(連結ベース、2015年3月)
(6)連結純利益:4,006億円(2015年3月通期)
2.Olam International Limited
(1)代表者 :Sunny George Verghese
(2)本社所在地:9 Temasek Boulevard #11-02 Suntec Tower Two Singapore 038989
(3)設立 :1989年
(4)事業内容 :農産物の生産、集荷、加工、貿易、港湾運営事業
(5)従業員数 :約23,000人 ( 2014年6月末、連結ベース)
(6)売 上 高 :S$19,772Million(約1.8兆円) (2014年12月通期、連結ベース)
(7)EBITDA :S$1,107Million(約1,004億円) (2014年12月通期、連結ベース)
(8)連結純利益: S$630Million(約571億円) (2014年12月通期、連結ベース)
(9)概要:
1989年にナイジェリアで創業し、カシューナッツ、カカオ豆、シアナッツ、綿花等の輸出事業を通じて成長を遂げた。現在、65か国でコーヒー、ココア、ナッツ類等を含む44商品の事業展開を行っており、多くの商品で世界トップクラスの市場シェアを誇る。農業生産を含む川上分野から原料加工に連なるサプライチェーンを構築し、大手ブランドメーカーや小売チェーン等、世界約13,800社の顧客にグローバルな原料供給を展開中。また、アフリカ24か国に事業基盤を有し、原料調達だけでなく、製粉事業や食品製造事業等を通じて、消費市場としてのアフリカの成長取込みを推進中。
(10)Olam社の事業ポートフォリオ
Olam社は農産物及び農業関連商品に特化した強い事業ポートフォリオを構築している。
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