北海道におけるLNGトラック向けLNG充填事業のご紹介

最新情報

  • 環境省実証事業期間が終了、協力企業各社と共に2025年度の事業継続を決定

  • 石狩LNG充填所を休止

  • 苫小牧充填所にて、7回目の液化バイオメタンとLNGの混合を実施

  • 苫小牧・石狩での累計LNG充填回数3,000回、充填量約470トンを達成

  • エア・ウォーター物流株式会社にてVolvo製LNGトラクターヘッド運用開始

事業の目的

本事業は運輸部門でのCO2排出量削減を
目的とし、電気自動車(EV)や
水素燃料車(FCV)が抱える大型トラック向けの
課題(十分な航続距離・積載能力が実現困難、
また充電・充填に長時間を要する等)を踏まえ、
カーボンニュートラル社会実現に向けた
現実解のひとつとして推進するものです。

LNGトラックは、現時点でEVやFCVが達成困難と
される1,000km以上の連続長距離走行が可能であり、
かつ従来のディーゼルトラックと比較し、
10%程度以上のCO2排出削減効果が
期待される次世代燃料トラックです。

エア・ウォーター株式会社
(以下「エア・ウォーター」)と共に、
日本で初めてLNGを燃料とする
大型トラック(以下「LNGトラック」)と
小型可搬式LNG充填設備
(以下「LNG充填ボックス」)を用いて、
2021年度から4年間に亘り
環境省実証事業に取り組みました。
実証事業終了後の現在もLNGトラック向け
LNG充填事業を継続中であり、
日本国内で普及させることを目指しております。

事業の概要

環境省実証事業に採択

2021年5月、環境省の「令和3年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」*1に採択され、
2022年からLNGトラックの実証走行を開始しました。

2024年2月にはLNG充填ボックスの付帯設備として、新たに圧縮天然ガス(CNG)充填設備*2を追加しLNGトラック向けCNG充填も開始しました。

2025年3月末で環境省実証事業期間は満了となりましたが、その後も取組に賛同頂いている各社様のご支援の下、
LNGトラック向けLNG充填事業を継続しています。

尚、本事業は、北海道庁が推進する「ゼロカーボン北海道」*3に賛同しております。

ゼロカーボン北海道

*1 2022年度から「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」に名称変更されました。
*2 CNGはCompressed Natural Gasの略であり、圧縮した状態の天然ガス(LNGとは異なり気体の状態)。
現行のLNGトラックは、エンジンの暖気や高負荷時に補助燃料としてCNGを利用する仕様であるため、
定期的なCNG充填が必要となります。
*3 北海道経済部が推進する取組。北海道では、「2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す」
ことを表明しており、北海道が有する豊かな地域資源を最大限に活用しながら、
脱炭素化・経済の活性化・持続可能な地域づくりを同時に進める「ゼロカーボン北海道」に向け、
道民・事業者・市町村・団体等が一体となり、その実現を目指すこととしています。

充填所運営・車両走行の実績

2022年4月に苫小牧市、同年6月に石狩市においてLNG充填設備の操業、
計14台のLNGトラック(いすゞ製LNG GIGA)の実証走行を開始しました。

2022年4月の実証走行開始以来、累計走行距離は230万キロを突破し(2025年3月時点)、
充填所・車両共に大きな不具合・トラブルもなく、充填時間等含め軽油車同様のオペレーションを継続中です。

2024年7月には、Volvo製のLNGを燃料とするトラクターヘッド2台を新たに実証事業に導入し、
同年8月より走行開始しています。

液化バイオメタンの利用

2022年11月、北海道内の畜産ふん尿由来のバイオガスを原料として製造される
液化バイオメタン(LBM)のLNGへの混合を苫小牧充填所にて実施し、
LNG/LBM混合燃料のLNGトラックへの充填及び実証走行を開始しました。

苫小牧充填所でのLBMの混合はこれまでに計7回実施され、
LNG/LBM混合燃料中に占めるLBMの最大混合率は約65%を記録しています。

  • Volvo製LNGトラクターヘッド
    1. 液化窒素貯蔵タンク
    2. コージェネレーション発電機
    3. ボイルオフガス再液化装置
    4. LNG貯蔵タンク
    5. 温水ボイラ
    6. 温度調整器
      温水式蒸発器
    7. LNGディスペンサー(給液機)
    8. ボイルオフガス
      バッファータンク
    9. UPS装置
    石狩LNG充填ボックス
  • 苫小牧LNG充填ボックス
    1. 液化窒素貯蔵タンク
    2. ボイルオフガス再液化装置
    3. LNG貯蔵タンク
    4. ボイルオフガス
      バッファータンク
    5. LNGディスペンサー(給液機)
    6. 温度調整器
      温水式蒸発器
    7. 温水ボイラ

LNG充填ボックス内 制御室

コージェネレーション発電機

ディスペンサーノズル

非常用電源

LNG充填ボックス外部 階段

事業パートナー

共同実施者

協力者

LNGトラック走行協力者

関係省庁

環境省環境省
(環境省HPはこちら

よくあるQ&A

LNG充填BOXの特徴は?

輸送事業者の物流施設内での設置も想定し、大型トラック1台分の駐車スペースに設置できるよう、小型化いたしました。1日当たり、50~60台分のLNGトラックの充填に対応しており、LNGトラック1台当たりの充填時間はわずか10分程度です。LNG充填ボックス内のLNG在庫量を遠隔監視し、LNG充填ボックスへのLNG補充を適時適量で行うシステムを構築することで、LNG充填ボックスへのLNG安定供給体制を確立しています。
また、LNG充填ボックスの付帯設備として、CNG充填設備も付加・運営しているため、苫小牧充填所ではLNGトラックの補助燃料として使用するCNGもLNGと併せて充填することが可能です。

車両向け燃料としての
LNGの利点は?

LNGトラックは、電気自動車や燃料電池車では困難な1,000km以上の長距離走行と積載量の確保が可能です。
LNGトラックは、従来のディーゼルトラックに比して、10%程度以上のCO2排出量削減※が期待できます。LNGトラックは、振動・騒音も軽減されており、排気ガスも非常にクリーンでディーゼルのような石油臭もないのが特徴です。
平成28~30年度の環境省「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」にて、いすゞ自動車が試作した大型LNGトラックは、高速走行を中心とした都市間輸送にて、1回の燃料充填当たり1,000km以上の走行と、2015年度(平成27年度)重量車燃料基準値を達成したディーゼル車比CO2排出量10%程度以上の削減を達成。

環境省実証事業の詳細は?

2021年から2024年にかけ、LNG充填ボックスの商用化に向けて、いすゞ自動車株式会社のLNGトラック14台、およびVolvo製LNGトレーラーヘッド2台を用いて、エア・ウォーターと共に実証事業に取り組みました。北海道電力株式会社の協力のもと、本設備の社会実装性の検証、およびLNGトラック実走行時におけるCO2排出量と燃料費の削減効果を確認の上、事業化の検討を行ってきました。加えて、LNGへの液化バイオメタンの配合を行い、CO2のさらなる削減についても実証いたしました。

LNG充填ボックスの安全性は?

LNGトラックに充填されるLNGは、極低温液体のため、専用ノズルを用い、完全に密閉された状態で行われます。LNG充填作業者は、低温になる箇所に触れて低温やけどになるリスク等を避けるため、保護手袋とフェースガードの着用が必要です。加えて、LNG充填ボックス周辺の火気の扱いも禁止するなど、安全策を図っております。
また、LNG充填ボックス内のLNGタンクは二重構造になっており、LNGの液漏れリスクは限りなく低いものとされております。LNGは毒性がなく、気化ガスは空気よりも軽いため、万一、地面にLNGが液漏れした場合も気化し、放散するため、土壌や水質を汚染することはありません。

お問い合わせ先

地球環境エネルギーグループCEOオフィス
モビリティグループ いすゞ事業本部付