世界ひとめぐり 各県の味が話題に! バンコクの「タイ料理」最前線
三菱商事では拠点・事業会社・本店が効果的な役割分担を通じ、常に連携しながら、変化への対応力を高め、次なる大きな成長を生み出すためのネットワークを構築しています。世界ひとめぐりでは、海外拠点の社員が現地のさまざまな情報をお届けします!
県ごとに異なる「ストーリー」への関心
バンコクの外食業界で今注目を集めているのは、北部・南部・東北部といった大きなくくりではなく、県ごとの個性に光を当てた店です。土地ならではの食材や、家庭で受け継がれてきたレシピを大切にする店が、少しずつ存在感を高めています。「この味はどこから来たのか」「この料理にはどんな背景があるのか」――。そんなストーリーに関心を寄せる人も増えているように感じます。気候や地形、周辺地域との交流、多民族の共生。さまざまな要素が重なり合って、タイ料理の豊かさが形づくられてきたのかもしれません。
タイ人も初めて口にする料理の数々
私も実際に「Prai Raya」を訪れ、こうした魅力を体感しました。「Prai Raya」は、南部プーケット島の老舗レストラン「Raya」がバンコクに開いたお店です。南部特有の辛さが際立つカレーをはじめ、アンダマン海の魚介類、ハーブを豊富に使った料理、地域の伝統的なデザートが味わえます。タイ人の私でも初めて口にする料理が幾つもあり、タイ料理の奥深さを改めて実感しました。
東部トラート県の海と森林の恵みを活かした伝統料理を提供する「Sri Trat」は、オーナーが母親(元ミス・トラート)から受け継いだ家庭の味をベースにしています。料理にまつわる物語や拘りを尋ねると、スタッフが丁寧に説明してくれるのも魅力です。
東北部ウボンラーチャターニー県出身のオーナーが手掛ける「Zao Ekkamai」では、ソムタム(青パパイヤのサラダ)やガイヤーン(鶏の炭火焼き)といった東北部の定番料理に加え、季節の食材や自家製の発酵調味料を活かした上質な郷土料理が楽しめます。どの店にも共通しているのは、伝統の味をただ再現するのではなく、料理に込められた歴史や文化を伝えることで、その土地の空気まで感じさせようとする姿勢です。
「その土地らしさ」を守り続けることの大切さ
バンコクは今、地方発のレストランが実力を試す舞台となっています。ここで成功すれば、現地人だけでなく観光客も呼び込めることに加え、地元の食材の販路拡大や海外出店につながる可能性も広がります。物流の近代化やソーシャルメディアの普及も、これまで知られてこなかった食材をバンコクへ届ける後押しとなっています。中でも、「その土地らしさ」を守り続けられるかどうかが、最も重要であることに変わりありません。長く愛される店ほど、料理を支える生産者とのつながりを大切にしているものです。次に国際的な評価を得るタイの食品ブランドは、「タイ料理」という広い概念ではなく、それぞれの県が育んできた固有の味とストーリーから生まれるのかもしれません。
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