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街の未来を描く、アジアでの複合都市開発

街の未来を描く、アジアでの複合都市開発

街の未来を描く、アジアでの複合都市開発街の未来を描く、アジアでの複合都市開発

三菱商事の現場の最前線で、若手・中堅社員が何に着眼し、何を考え、どうアクションをしているのか。10年、20年後の街の未来を描く、アジア諸国での複合都市開発の取り組みと、担当社員の思いを紹介します。

プロフィール


中島将貴

上山兼公(うえやま・けんこう)

2017年入社。国内不動産事業に携わった後、アセアン都市開発部を経て2018年、アジア等新興国での複合都市開発を手掛けるシンガポールの事業会社に出向。

※取材当時。現在は三菱商事にて、企業投資事業を担当。

スマートシティで都市の課題解決に挑む

アジアの新興国では、人口増加と経済成長を背景に急速な都市化が進む一方、渋滞や排ガスによる大気汚染が深刻化しています。こうした課題の解決に向けて進められているのが、鉄道や道路などのインフラ整備と最先端のDX(デジタルトランスフォーメーション)を駆使した「スマートシティ」の構築です。
こうした中、三菱商事は2018年、70年間にわたり世界約40カ国の都市計画に携わってきたシンガポールの設計エンジニアリング会社と共に、合弁会社を設立。シンガポールを拠点に、インドネシアやベトナムをはじめ、フィリピン、スリランカ、インド、バングラデシュなどアジア各国で、交通インフラや住宅、商業施設やオフィス、ホテル、病院といった都市機能が一体になった複合都市開発に取り組んでいます。
三菱商事は、日本のみならず、東南アジアや中国、米国などで不動産開発を手掛け、工業団地や商業施設、住宅、物流センターといった多岐に渡る知見を蓄積しています。また、さまざまな産業分野で付加価値の高い事業を展開するグループ会社が多く、各国のデベロッパーからはその総合力や産業ネットワーク、不動産開発のノウハウも期待されています。
日本は、鉄道を軸とした街づくりや駅前を有効活用する都市開発では世界トップレベル。シンガポールは世界的な指標である「スマートシティ・ランキング」(スイスの有力ビジネススクールIMDによる発表)で2年連続首位になっています。両国の企業が協業することで、双方のノウハウを融合した都市開発が可能になり、東南アジアの諸都市において大きな需要が見込めると考えています。

私は会社設立メンバーの1人として三菱商事から出向。設立に当たっては、両国の弁護士とやりとりしながら法務の実務も担当しました。経験の浅い自分がミスをしたら・・というプレッシャーは大きかったですが、はやる気持ちを抑えきれずにもいました。
学生時代に国際関係学を専攻し、都市のレジリエンスやサステナブルな街づくりについて学んだのをきっかけに、いずれはスマートシティのような都市開発に関わりたいと思うように。海外旅行が好きで、これまで40か国以上を訪れた中で、イスラエル・テルアビブの整備された街並みや、自然と都会が調和したスイスの人々の暮らしに憧れ、「いつか自分もこういうスマートシティをつくりたい」という強い思いを抱いていたのです。

インドネシアのスマートシティ開発イメージ
ジャカルタ郊外の100ヘクタール超の用地で、インドネシア初となる公共交通指向型開発(Transit Oriented Development:TOD)をコンセプトに、住宅・商業施設・学校・病院、公園・交通結節点などの都市機能を組み合わせたスマートシティ開発が進んでいる

自分の目と足で、人々の暮らしとニーズを掴め

仕事をする上では、10年、20年後、この街をどんな姿にしたいか、どうすればより豊かな暮らしを実現できるのかを常に考えています。私が好きなのは、都市開発の基本となるマスタープランの議論。道路はここに通して、このエリアは目玉物件でにぎわいを創出するべきだとか、20年後の街の姿を構想するにはスマート・コンセプトを取り入れるべきだとか、議論しながら夢が広がっていきます。
出向先での私のミッションは、開発の初期段階で有望な候補案件を発掘し、現地デベロッパーと交渉して開発を実現させること。これまでに30件以上のソーシング(発掘)とデューデリジェンス(精査)を担当してきました。
事業性や採算性を検証してマスタープランや開発コンセプトを策定しますが、どの案件でも最初に取り組むのが、パートナーとなるデベロッパーと共に対象の土地を何度も視察し、各国のモデルルーム等を回り、物件や土地の相場、そこに住む人々の生活習慣やニーズを入念に調査すること。10年、20年後の街の姿を描くには、人々が暮らしに求めるものは何か、深く考察する必要があるからです。
きっかけは出向して間もない頃に掛けられた、「デスクに座ってやれることは限られる。現地に行ってこい」という上司の言葉。自分の目と足で現場をしっかり把握することの大切さを教えてもらいました。

泥臭さと忍耐力が求められる仕事

フィリピン・マニラの案件は、これまでの中でも思い入れが強い案件です。候補地はマニラ郊外の大規模な土地。都市開発において、良い土地を見つけることはとても重要です。どの国でも都心に近いほど大規模開発できる土地はなかなかない。マニラの案件は、その広さと都心への近さを兼ね備えた点が一番の魅力でした。

フィリピン・マニラでの打ち合わせ

およそ2カ月間マニラに住み、パートナー候補のデベロッパーのオフィスを借りて土地の精査やマーケティング、契約交渉を進めました。ところが半年経った頃、フィリピン政府が突然、同地域における開発政策の変更を公表。計画は一時見送りに。
難局に直面し諦めかけていた時、勇気づけられたのが「担当として責任を持って、最後まで案件を実現する方法を考えるべきだ」という上司からの言葉です。この言葉に背中を押され、パートナーと膝を詰めて打開策を模索し、新しい開発政策の中で何かできないか、協業できる方法はないのか、マスタープランを幾度も書き直しながら、現在も検討を続けています。案件の実現にはまだ至っていませんが、解決策を模索する過程で、パートナーや周囲との関係が強化されたと感じています。諦めずに可能な限りの責任を果たしていくことで、次につながる学びが得られることにも気付きました。
一つのプロジェクトに10年、20年という長い時間をかけて取り組む都市開発では、精査を重ねる中で、案件やパートナー候補への愛情や執着心が湧くことも。ただ、自信を持って推進できる案件との出会いは多くはありません。検討する案件はたくさんあっても、実際に取り組めるのは年に数件程度。山あり谷ありの中で業務を進めねばならず、泥臭さと忍耐力が求められる仕事だと感じています。

これまで、いろいろな街を訪れたり実際に住んでみたりした中で、住民が自発的にコミュニティを形成し、ご近所さん同士がサポートし合っている街は素敵だなと感じています。開発段階では、都市開発だけでなく、他分野との協業や連携が大きな価値を生み出します。スマートシティの最新技術やコンセプトも導入し、サステナブルで経済効果の高い〝コミュニティ感〟のある街づくりに取り組んでいきたいと思っています。