健康経営(Well-being)、労働安全衛生
三菱商事 健康経営宣言
三菱商事は、「イキイキ・ワクワク、活気あふれる人材と組織」の実現を目指しており、
社員の健康管理を重要な経営課題として位置付けています。
「個々の社員の活躍は、心身の健康あってこそ」という考えのもと、
社員の心と身体の健康増進・働く環境整備に努めます。
一人ひとりの社員が Well-being を高め、多彩・多才な人材の個性・才能を存分に発揮出来るよう、
健康経営を推し進めてまいります。
三菱商事株式会社 代表取締役 社長 中西 勝也

当社にとって価値創出の源泉は「人材」です。当社グループと共に対処・挑戦する課題である、8つのマテリアリティの中に「多様な人材が未来を創る活気に満ちた組織の実現」が含まれています。
当社グループがこれからも持続的に企業価値を創出するには、事業のさらなる多様化・グローバル化に対応し、性別や国籍等にかかわらず、多様な人材がそれぞれの持つ能力を存分に発揮することが必要です。
それには働く環境の安全はもとより、健康の維持・増進が重要な課題と考えます。
当社の健康に対する取り組みが評価され、継続して「健康経営優良法人(ホワイト500)」に認定されています。
社員やコントラクターが安心して働ける環境づくり(安全、健康、労務管理や危機管理等)においては、事業活動を行っている各国の法定基準を満たすことはもちろん、さらに充実した労働安全衛生マネジメントシステムの構築・運用を目指しています。
健康経営の推進体制
- 当社では、社員の健康を経営課題として位置付け、上記体制に加え、総括安全衛生管理者(取締役常務執行役員が兼任)の下、産業医4名、各部門・営業グループの衛生管理者11名を含めメンバーで、月1回衛生委員会を開催し、社員の健康や職場の安全について討議しています。また毎月議事録をイントラネットに掲載し社員へ発信しています。
- また、健康推進には、わが社の現状把握・理解と、施策の検討から実行までの一体運営が不可欠であると考え、人事部に専任の部署「健康管理室」(2018年4月設置、2022年4月より健康推進・DE&Iチーム)を設置しています。当チームでは、関係部局(企業内診療所・メンタルヘルスサポートデスク等)および三菱商事健康保険組合と連携しながら、データの有効利用等も含めた健康施策の検討~実行を取り進めています。
- 加えて、方針検討や情報共有のため、人事部、産業医、健康保険組合、国内の人事担当者が一堂に会する定例会を毎月開催しています。
- 従業員の参画
- 衛生委員会には従業員も参加し、健康障害の防止及び健康の保持増進に関する計画策定や評価、改善の審議をします。新興感染症等に関する正しい知識・情報の把握、情報発信等も行っています。
- 多様な人材が活躍できるように安全で健康的な職場環境をつくるとともに、施策・研修等を通して、従業員一人ひとりが自律的に健康管理に取り組めるようにしています。その中でも特に海外駐在員の健康管理は重要視しています。また、通院等必要がある際には、上長と個別に調整しながら、時間単位での休暇等も柔軟に取得できる環境です。その他、チャリティーマラソン等への協賛や社内健康イベントの実施は、社員がスポーツに親しみ、健康への意識を持つきっかけにもなっています。
- 社長をはじめとする経営と従業員組合との労使懇談会の他、年に2回の業績労懇、人事部門との定例会によって、定期的に労使間コミュニケーションを行い、働きやすい環境づくりや適切な時間管理の推進に取り組む体制を構築しています。また、従業員組合による健康セミナーも実施しています。
【参考】衛生委員会 実施体制
健康経営における目標と指標
当社は「イキイキ・ワクワク、活気あふれる人材と組織」を実現すべく、人事部(健康推進・DE&Iチーム)と関係部局(企業内診療所・メンタルヘルスサポートデスク等)および三菱商事健康保険組合との連携のもと、社員の心と身体の健康増進に取り組んでいます。
健康経営戦略マップ
各種指標
【社内メンタルヘルスサポートデスク宛 相談数】
2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|
相談対象者数 | 205 | 263 |
延べ相談件数 | 1,909 | 2,431 |
内、ラインケア相談件数 | (1,276) | (1,592) |
【プレゼンティーズム】
2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|
回答者数 | 4,520 | 5,376 |
絶対的プレゼンティーズム(WHO-HPQ) ※100点満点 |
65.9 | 67.9 |
相対的プレゼンティーズム(WHO-HPQ) ※0.25~2の範囲 |
1.09 | 1.11 |
(備考) | 10件法、国内在勤者のみ。 | 10件法、海外在勤者含む。 |
【肥満者(BMI25以上)割合】
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|
男性 | 31.0% | 30.6% | 28.7% |
女性 | 8.1% | 9.7% | 5.9% |
合計 | 25.4% | 23.4% | 23.0% |
その他、健診の問診項目・各種数値等やアンケート等のデータを把握・分析し、課題把握や施策検討に用いています。
【その他指標】
2021年度 | |||
---|---|---|---|
20歳からの体重増加(※1) | 食事習慣リスク(※2) | 生活習慣改善意識(※3) | |
男性 | 32.8% | 30.7% | 55.9% |
女性 | 12.2% | 27.3% | 39.6% |
合計 | 27.6% | 29.9% | 51.8% |
※1「20歳の時から10kg以上増加」にチェックをした人
※2食事に関する問診4項目(間食、朝食欠食、食べる速度、夕食時間)のうち、2項目以上にチェックをした人
※3運動や生活習慣改善に「取り組んでいる」をチェックした人
(いずれも、社内診療所等問診データに基づく)
社員の健康管理
直近の取り組み(2018-2021年度)及び、効果検証結果
①健康意識・生活習慣の改善に向けた取り組み
-
(1)産業医・保健師等による社内周知
健康意識と健康リテラシー向上のための研修動画を、全社員及びグループ企業の社員にも提供。
-
(2)健康セミナー・健康チェックイベント
オンラインを活用し、国内在勤者のみならず海外在勤者も含めた全社員を対象に、健康セミナー等を実施。
-
セミナーテーマ:禁煙・食事・運動実践型・睡眠時無呼吸症候群・がん・女性の健康・マインドフルネス等
例)スポーツクラブとタイアップした食事と運動のオンラインセミナー
-
セミナーテーマ:禁煙・食事・運動実践型・睡眠時無呼吸症候群・がん・女性の健康・マインドフルネス等
-
(3)健康アプリの提供
食事・運動・睡眠の記録や、それに応じた健康アドバイスを通じ、生活習慣の可視化・改善に繋がる健康アプリを、国内全社員向けに導入。今後、海外在勤者向けにも導入予定。
-
(4)健康的な食事機会の提供
- 健康に配慮した食事を選択できるよう、社員食堂で、健康配慮メニューを毎食提供し、イントラ上でも紹介。それ以外の全メニューについても、塩分量等の表示を実施。※
- 昼食に1品追加したい時、リフレッシュしたい時、間食したい時などに気軽に手に取ってもらえるよう、オフィス内で野菜・果物(スティック野菜・カットフルーツ・ミニサラダ等)を提供。※
- 健康アプリで、季節に応じた健康メニューのレシピを紹介する他、糖尿病等の生活習慣病については推奨メニュー例をイントラ上に掲載し、対象者へ栄養指導等のタイミングでも紹介。
※現在は感染拡大防止のため、中止中。
検証結果
肥満者割合に改善が見られ、特に男性では2019年度31.0%→2021年度28.7%と2.3ポイントの改善が図れた。
②メンタルヘルス不調の早期発見・未然予防に向けた取り組み
-
(1) 心の健康を定期的に自己確認するツールとして、2022年度は7月にストレスチェックを実施。同時期に全社員を対象とした個別相談会を開催。
(希望制、対面・オンライン) -
(2)全社で「心の健康サポート期間」を設定、各種取り組みを実施。
- メンタルヘルスに関する情報発信を強化。
- 全社員向けに、セルフケア・ラインケアのために知っておいた方が良いことや心掛けるべきことをまとめた資料を配信。
- 全社員およびグループ企業の社員向けに、メンタルヘルスへの理解向上のための研修動画を提供。
海外在勤者と家族の健康管理
海外には、社員約1,150名とその家族約1,250名が駐在しています。言語、文化、そして医療水準等、日本と異なる環境で働く社員とその家族の健康管理面では、年一回の健康診断受診と、病気や心身不調を感じた場合の、本店診療所への相談体制を整備しています。適切な健診・治療が受けられない生活環境の厳しい都市については、日本国内や医療先進地で健康診断を受けたり、心身のリフレッシュをする為の旅費補助制度を適用しています。また、緊急医療機関と提携し、社外にも電話による24時間日本語相談窓口を設置したり、在勤地の医療機関で対応できない病気・事故等については、東京やシンガポール・バンコク等へ搬送し、きめ細かな対応を行っています。
アンケート調査による海外在勤者の健康・勤務状況・職場環境の把握と改善
人事部では、海外在勤者の健康診断受診状況、健康・勤務状況を、健康関連施策の充実に資する目的で、2013年からアンケートを実施しています。勤務状況・ストレス状況を確認の上、状況確認が必要と思われる人には人事部やメンタルヘルスサポートデスクによるフォローを行っています。
社員の健康管理を担う診療所
本店・関西支社・中部支社内に、当社社員と国内外出向者を対象にした診療所を設置しています。本店診療所は、内科・眼科・皮膚科・耳鼻咽喉科・整形外科・神経科の各専門医を招聘し、看護師、検査・放射線技師、管理栄養⼠、薬剤師等、計約50名(常勤・非常勤含む)と、最新の検査機器を⽤いた検査体制で社員の健康管理を実施しており、2020年度は延べ約14,500名、2021年度は約15,500名が診療所を利用しています。
国内での定期健康診断受診率は100%で、健診結果により、必要と判断された社員には、健診後(3カ月後、6カ月後)に2次検診の呼び掛けを実施し、2次健診も受診を徹底しています。診療所には産業衛⽣部門が併設されており、病気の治療による休職者の復職診断、仕事と治療の両⽴⽀援を⾏うなど、健康状態に不安のある社員が安心して働けるよう医療面から支援しています。また職場巡視や衛生委員会での審議を通じ、快適な職場環境の維持を目指すとともに、⻑時間労働者に対する医師⾯接を通して、⻑時間労働と健康障害発⽣について周知し、全社員が心身ともに健康な状態で働ける職場作りの支援と健康リテラシーの向上に向けた取り組みを継続中です。
生活習慣病、メタボリックシンドローム対策
診療所では早期受診・早期治療を推進するとともに、健康診断とあわせて、中長期的な健康管理を行っています。40歳以上の社員を対象にした特定健診の受診率は84%です(2020年度)。脂質異常症、高血圧症、糖尿病、高尿酸血症といった生活習慣病への対策は社会的に急務の課題となっています。当社でも、社員の生活習慣病やメタボリックシンドロームへの対策として、医師や管理栄養士による保健指導や栄養指導等を行っています。生活習慣病は、早期からの取り組みが重要です。今後は若年層への保健指導に加え、検査値の異常がない健康な社員に向け、健康を維持するライフスタイルの啓発にも取り組んでいきます。
本店診療所 利用状況(延べ人数) | |
---|---|
2021年度 |
約15,500名 (検診5,270名、一般診察9,060名、海外医療相談・保健指導ほか1,170名) |
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|
海外在勤者健診実施率 | 92% | 80% | 77% |
国内在勤者健診受診率 | 100% | 100% | 100% |
特定健診受診率 | 86% | 84% | (※1) |
※1算出中のため、追って掲載予定。
2021年度 | |
---|---|
受診率、及び、継続率 | 100% |
セルフメディケーションに関する取り組み
社員が、自身の健康に関心を持ち、自ら健康状態を保持・増進する「セルフケア」への意識付け・きっかけづくりとなることを目指し、オンラインで専門家(薬剤師)への相談や薬の購入が可能な、セルフメディケーションサービスを三菱商事健康保険組合とのコラボレーションにより社員向けに案内しています。また、本セルフメディケーションサービス含めた健康経営関連事業を開発する際、自社従業員を対象としたサービス提供やトライアルを行い、健康経営に資する事業の改善につなげています。
メンタルヘルス対策
当社では社員のメンタルヘルスも、予防・早期対応に重点を置きながら手厚くケアしています。社員が自らのストレス状態や傾向を把握してセルフケアを行えるよう、ウェブ上のセルフチェックシステムを用意するとともに、管理職を含む社員向けの各種研修を実施し、メンタル不調の予防に取り組んでいます。2016年度より開始したストレスチェックは、海外在勤者や出向者も含めた全従業員を対象に実施しています。ウェブ上での回答後、ストレス状態が即時に判定され、各人へ画面でフィードバックするとともに、診療所により高ストレス者と判断された場合には、診療所神経科医師との面接を推奨、実施し、必要があれば就業上の措置を行っています。
また、社内のメンタルヘルスサポートデスク・社内診療所神経科を通じ、社員の相談を早期に受け、職場と共にサポートする体制を敷いています。その他にも、EAP※の専門機関と提携した社外相談窓口を設置しており、社員やその家族が対面・電話・メールで、いつでも相談・カウンセリングを受けられる体制を整えています。さらに、個人を特定しない集団分析結果をグループ全体で共有し、働き方や職場環境の改善に活用しています。今後は、分析データの活用により、メンタル不調者へのケアや予防、メンタルへルスの理解を深めるための研修等にも力を入れていきます。
※Employee Assistance Program(社員支援プログラム)
メンタルヘルスサポートデスク
当社社員を対象としたメンタルヘルスサポートデスクを設置しています。公認心理師で組織され、職場や従業員からのメンタルヘルス相談への対応やストレスチェックの実施者に対するサポート、神経科の医師と職場やメンタルに不調を感じる本人との間の調整役になっています。精神科関連疾患による長期欠勤者が復職する際にはリハビリプログラムの作成や職場の受け入れ態勢への助言等、復職支援と長期フォローを行っています。
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|
実施率 | 96% | 95% | 94% |
人間ドック費用の補助制度
労働安全衛生法に基づく定期健康診断を実施している他、社員を対象に、会社が人間ドックの受診料を負担(一部自己負担あり)し、受診を推奨しています。
※三菱商事健康保険組合にて実施
感染症対策
感染症の発生や流行状況について、厚生労働省・外務省・WHO(World Health Organization)・CDC(Center For Disease Control and Prevention)等の様々な情報を収集・分析し、緊急危機対策本部と産業医・産業保健スタッフが連携し、社内の感染症対策を実施しています。
新型コロナ感染症については、国内外の状況を見極めながら、「感染しない」「感染させない」「重症化させない」の3つのキーワードを軸に、社員のみならず、社内で働くすべての職員を対象に、「社員の感染予防・感染拡大防止」と「適切な事業継続」の観点から、必要な措置を行っています。
海外駐在員やその家族向けの医療相談体制を強化し、感染防止に対する医療アドバイス、メンタルケアを実施するなど、感染拡大地域でも安心して働けるよう支援を行っています。
熱帯熱マラリア流⾏地域への出張者に対する抗マラリア薬の予防投与、⿇疹・風疹の抗体検査とMRワクチン接種、季節性インフルエンザワクチンの社内集団接種の実施など、職場における感染予防策についても万全な体制で取り組んでいます。
緊急危機対策本部については、「危機管理」をご参照ください。
働き方
業務の複雑化やスピード化等で、質・量ともに業務の負荷は増加傾向にあります。また、総合商社の特性上、大型プロジェクトとの関わりや海外取引等で、業務が一定時期に集中する繁忙期の発生します。そのため当社では、過重労働による健康障害防止に向け、(1)社員の心身の健康、(2)法令・規程の遵守、(3)恒常的な長時間残業への適切な対処の3点について重点的に取り組んでいます。具体的には、非管理職の残業時間、および管理職の時間外勤務について、法定よりも厳しい基準で健康面のフォローを行っており、一定の基準を超えた社員に対しては健康調査票を送付し、産業医等による面接指導を義務付けています。また、PCログ等客観データを踏まえた正確な残業時間の申告や特別条項付き36協定の遵守はもちろん、管理職向けの時間管理研修等の取り組みも行っています。
個々の事業環境や対面業界等が異なる中、各組織・個人の自律的な取り組みを尊重しながら、会社全体としても、計画的な休暇取得の促進により、有給休暇取得率70%以上を目指す他、長時間残業の課題がある組織では、個別に改善策を策定・実行し、過度な長時間残業の削減等、過重労働の防止に取り組んでいます。その結果、2021年度の有給休暇取得率は60%、月間平均残業時間は30.4時間/月(2020年度55%、27.2時間/月)となっています。これからも、各組織・個人が自律的に、メリハリのある働き方を追求することで、成果・業績の向上を図りつつ、生産性・効率性を高めた働き方を実現していきます。また、成果に応じた公正な評価がなされる組織風土・文化を育みながら、多様な人材が活躍できる環境をつくっていきます。
研修名 | 概要 | 対象 | 受講者数 | ||
---|---|---|---|---|---|
2019年 3月期 |
2020年 3月期 |
2021年 3月期 |
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組織リーダー研修 | 統括産業医より「安全・健康管理」について講義 | チームリーダークラス | 103名 | 137名 | 161名 |
新任M2研修 | 「開講挨拶」講義のテーマの一つに健康を含む。 | 管理職 昇格者 |
148名 | 141名 | |
新入社員中間フォローアップ研修 | 「ストレスマネジメント」について講義 | 新人 | 153名 | 122名 | 124名 |
キャリア採用導入研修 | 「ストレスマネジメント」について講義 | キャリア採用者 | 10名 | 13名 | 16名 |
インストラクター研修 | 「職場のメンタルヘルス」について講義 | インストラクター | 184名 | 124名 | 145名 |
国内出向時オリエンテーション | 「人事労務管理」講義の中のテーマの一つにメンタルヘルスを含む。顧問弁護士が講義。 | 出向先での管理職 | 190名 | 163名 | 101名 |
研修名 | 概要 | 対象 | 受講者数 | ||
---|---|---|---|---|---|
2021年 3月期 |
|||||
MCスキルアップ講座「労働法と人事労務」 | 労働法の基礎及び労務管理における留意点(メンタルヘルスケア・ハラスメント等)について講義 | 業務上必要のある社員(申込型) | 35名 |
労働安全衛生方針
- 当社グループ全体として自社社員、コントラクター含め全てのステークホルダーの健康と、労働安全衛生の体制強化を推進します。
- いかなる国・地域での就労においても、現地の労働基準・各種法令の遵守を基本とし充実したマネジメントを行います。
- 当社グループの最大の資産である「人」が、安心して働ける環境づくりを目的に、過度な長時間労働の削減を含めた過重労働の防止、従業員の疫病リスク低減と健康維持・向上を実現します。
- 適切な管理体制の下、あらゆる職場での労働災害を未然に防ぎます。また事故発生時には、迅速な状況把握、原因分析、再発防止策立案を行います。
労働安全衛生における目標及びパフォーマンスデータ
当社グループ
- コントラクター従業員含む労働災害度数率(LTI)を前年比で低減(2022年度の目標は2.03とする)
- 国内在勤者健診実施率 100%
当社
- コントラクター従業員含む労働災害度数率(LTI)を前年比で低減(2022年度の目標は0.15とする)
- 海外駐在者の健診受診率 100%
- 有給休暇の取得率 70%
上記目標に対する当社実績は、労働安全衛生データをご参照下さい。
三菱商事の労働安全衛生 推進体制
所管役員 | 柏木 豊(代表取締役常務執行役員、コーポレート担当役員(IT、CAO、広報、サステナビリティ・CSR)) |
---|---|
審議機関
(経営意思決定機関である社長室会の下部委員会) |
HRD委員会、サステナビリティ・CSR 委員会
委員会で議論された労働安全衛生に関わる重要事項は、社長室会にて機関決定され、 |
事務局 | 人事部、サステナビリティ・CSR部 |
労働安全衛生体制図
- 取締役常務執行役員コーポレート担当役員(人事担当)を最高責任者に任命し、労働安全衛生の管理の主体である各営業グループを人事部が取りまとめる体制で推進しています。
- 国内の当社グループ各社では、労働安全衛生法に基づき安全衛生委員会等を設置し、従業員も参加し、健康障害の防止および健康の保持増進に関する計画策定や評価、改善の審議をしています。特に工場等を有する連結先では、朝礼等の場で従業員からヒヤリハット等の危険の報告を受け、必要な対策を実施しています。
- また、国内グループ会社との連絡会等を通じ、メンタルヘルス対策も含めた情報や方針の共有・展開を行っています。
労働災害への対応
当社グループでは、従業員の労働災害の防止に努めていますが、当社グループ会社において労働災害が発生した場合は、労働災害専用の報告ルートを通じて報告され、死亡・重傷等の重大な結果を伴う場合や、法令違反等が疑われる場合はコンプライアンス報告ルートをも通じて報告がなされることで、労働災害に対して適切に対処(調査、所見への対応等)し、速やかな再発防止策を講じる体制を構築しています。なお、発生した労働災害は、コンプライアンス委員会、及び年一回のサステナビリティ調査を通じて把握、集計することで、労働災害の減少に向けて活用しています。
コンプライアンス報告ラインについては、コンプライアンスをご参照ください。
リスク管理(リスクアセスメント)
労働安全衛生をHSEリスクの一つと捉え、「MCグループリスク管理方針」にて管理しています。
MCグループリスク管理方針〈抜粋〉
- (1) 定義: HSEリスクとは、製造業、工業、物流業等のオペレーションにおける労働安全衛生および環境に及ぼす影響を認識し、事故災害や健康被害、環境汚染等のリスクを把握、管理を行うことを指します。
-
(2) HSEリスク管理:
- [リスクの把握・管理]自社の業種・業容に応じたHSEに関する潜在的なリスクを事前に把握し、リスクの回避、逓減、管理を行います。
- [リスクの周知徹底]自社の業種・業容に応じたHSEリスクの重要性に付き、教育・研修等を通じ、役職員に周知徹底します。
-
[事故に対する方針策定、および発生時の対応]万一の事故に備えて緊急時の対策をあらかじめ定めます。
事故が発生した場合には、関係諸機関と協力の上、被害を最小限に抑える為に必要な措置を講じます。
なお、事故発生後には必要な調査を行い、発生原因を分析し、再発防止策を講じます。
- (3) 体制: HSEに関する法令・国際ルール・業界が定めた自主基準、および取引先からの要求事項等を遵守し、自社の業種・業容に応じた活動計画を策定します。また、同活動計画に基づく諸施策を策定し、実施状況を定期的に確認する体制を整えます。その上で、HSEに関するパフォーマンスを把握し、活動計画の見直しを行います。
三菱商事グループでの労働安全衛生の取り組み
事業投資先の取り組み
当社グループ各社は、自らの事業環境・業態に応じて、対応方針の策定、労働安全衛生マネジメントシステムの導入等、適切な対応を図り、労働災害防止活動に取り組んでいます。なお、ISO、OHSAS等の労働安全衛生マネジメントシステムの対象となる労働者の割合は99.6%※となります。
※2021年度実績に対する環境・労働安全衛生調査結果に基づく。1名以上の休業災害が発生した全ての連結先で働く従業員の内、労働災害低減に向けたPDCAサイクルを回している連結先の従業員の割合を指す。
1)三菱商事天然ガス開発(株)の取り組み
天然ガス・LNGを中心としたエネルギー資源事業に関わる三菱商事天然ガス開発㈱では、HSEへの配慮を最重要課題と捉え、労働安全衛生環境の継続的な改善と社会の持続可能な発展に貢献するため、担当する事業のHSE事象やそれらのリスクを適切に把握・分析・管理することが必須であると考えています。同社では「HSE方針」を公開し、あらゆる活動に適用することでリスクの軽減に積極的に取り組んでいます。これらの活動を効率的に管理・運営するために、社長直轄組織の「HSE室」を設置して、同社および当社への啓蒙と教育を行っています。また、担当する事業の事故や環境汚染事象のモニタリングから得られる情報を使って、それぞれのHSE事象の原因分析を行い、それらの情報を管理・蓄積することで潜在的なHSEリスクを早期に検知し、必要に応じて、当社および当社が参画する事業関係者へ効果的な改善策を提言する等の取り組みを実施しています。さらに、事業環境の変化に常に適応するため、同社独自のHSEマネジメントシステム(HSEMS)の継続的な見直しと改善に努めています。
2)Mitsubishi Development Pty Ltd
製鉄用のコークス原料となる原料炭炭鉱を経営する同社では、労働安全衛生への取り組みを経営の最重要事項の一つとし、作業員の安全面にも十分に配慮した操業を行っています。
3)ドンギ・スノロLNGプロジェクト
ドンギ・スノロLNGプロジェクトは、当社が最大株主として参画しています。
ガスの受け入れは、危険度の高い事業であるため、労働安全衛生は最重要課題の一つとして認識しています。労働者の安全を確保するため、例えば、統合品質、健康、安全、セキュリティー、環境方針の策定や、Process Safety Management Committeeの設置の他、従業員に対する作業許可(Pertmit to Work)、プロセス安全管理、危機管理対策、火災対策等に関するトレーニングを実施しています。
また、定期的な見直し・改善を行い、強固な安全体制を確立しています。
(1)監査の実施
Permit to Work Audit および SLC(Safety Leadership Conversations)をほぼ毎日実施し、作業現場にてPermit to Workの記入ミス等の他、実際の作業安全に関する指摘事項もチェックし、アクションがあればフォローアップを行っています。
もし作業が不安全であると判断された場合は、その場で作業を停止させます。
(2)リスクアセスメントの例
基本的に全ての作業でJHA(Job Hazard Analysis)を作成し、作業の各ステップにどのような危険があるか、リスクのレベルはどの程度か、リスクをコントロールする手立ては何か、最終的なリスクのレベルはどの程度かを評価し、作業が安全に実施できることを確認します。
4)エムシー・ファーティコム(株)
エムシー・ファーティコム(株)では安全への取り組みの核として、製造改善を目指す「S・I・GMA(シグマ)活動」を実施しています。
「安全 = Safety」
「改善 = Improvement」
「誠実な行動 = Good Manner」
を目標とする本活動を通じ、全社一丸となって安全への意識喚起、製造改善に取り組んでいます。労働安全衛生マネジメントシステム「OHSAS 18001」の認証を4 工場1 製造所全てにおいて取得、2020年には「ISO45001」への移行も完了し、責任ある肥料メーカーとして、今後もさらなる安全・安心を追求していきます。
エムシー・ファーティコム(株) ウェブサイト www.mcferticom.jp/company/csr/#csrMenu
ISO45001認証取得状況
※なお、「ISO45001」認証を取得している連結先の割合は10.3% (2021年度実績に対する環境・労働安全衛生調査結果に基づく。)
所属グループ | 会社名 | 事業内容 |
---|---|---|
天然ガスグループ | FAIRFIELD ENERGY LTD | 原油上流資産の廃坑・廃山事業 |
TOMORI E&P LIMITED | 天然ガスの開発・生産・販売事業 | |
総合素材グループ | 江蘇蘇菱アルミ用陽極有限公司 | アルミ製錬用陽極(アノード)の製造販売事業 |
PMC Tech Co., Ltd. | ニードルコークスの製造販売 | |
宇部MC過酸化水素(株) | 過酸化水素の製造・販売 | |
Cape Flattery Silica Mines Pty. Ltd. | 硅砂の採掘、精製および販売事業 | |
石油・化学ソリューショングループ | エムシー・ファーティコム(株) | 肥料製造 |
PT. KANSAI PAINT INDONESIA | 自動車塗料製造販売 | |
Thai Shinkong Industry Corporation Ltd. | PET樹脂の製造・販売 | |
金属資源グループ | Anglo American Sur S.A. | 銅鉱石採掘・加工・販売 |
産業インフラグループ | 千代田化工建設(株) | プラントエンジニアリング事業 |
Mitsubishi Electric de Colombia Ltda. | エレベーター事業(販売・保守メンテナンス) | |
MITSUBISHI ELEVATOR MALAYSIA SDN. BHD. | エレベーター事業(販売・保守メンテナンス) | |
MITSUBISHI ELEVATOR (SINGAPORE) PTE. LTD. | エレベーター事業(販売・保守メンテナンス) | |
三菱電梯香港有限公司 | エレベーター事業(販売・保守メンテナンス) | |
Mitsubishi Elevator (Thailand) Co., Ltd. | エレベーター事業(販売・保守メンテナンス) | |
Mitsubishi Heavy Industries Compressor International Corporation | コンプレッサの生産、販売、サービス事業 | |
自動車・モビリティグループ | PT MITSUBISHI MOTORS KRAMA YUDHA INDONESIA | 自動車車両製造 |
広汽三菱汽車有限公司 | 自動車組立・輸入販売 | |
食品産業グループ | 浙江大菱海洋食品有限公司 | 水産物の輸出入・仕入・加工・販売事業 |
Cermaq Group AS | サーモン養殖事業 | |
Deccan Fine Chemicals (India) Private Limited | 農薬原体・中間体の受託製造事業 | |
Olam Group Limited | 農産物の生産、集荷、加工、貿易、港湾運営事業 | |
Princes Limited | 食品・飲料製造事業 | |
電力ソリューショングループ | N.V. ENECO | 総合エネルギー事業 |
AMMAN ASIA ELECTRIC POWER PRIVATE SHAREHOLDING COMPANY | ヨルダンにおける民間発電事業 | |
GS BATTERY VIETNAM CO., LTD. | 自動車および二輪車用、産業用鉛蓄電池の製造・販売 |
※上記企業群は2020年度実績に対する環境・労働安全衛生調査結果に基づく。
HSE情報の提供
(株)レンタルのニッケンでは、安全ニュースを2002年から定期的に発行し、顧客等と共有しています。このニュースでは労働災害の撲滅を目的とした提言や労働安全衛生に関係する団体が発行する労働災害白書等の資料を基に起こり得る災害と回避する方法や予防策等の情報を発信しています。

投融資管理における取り組み
当社では投融資案件の審査に際し、経済的側面だけでなく、ESG(環境、社会、ガバナンス)の観点を重要視し、総合的に審議・検討しています。労働安全衛生の観点では、事故・災害リスクの高い事業を中心に、HSE(Health, Safety, & Environment)管理体制の整備状況や重大事故・災害の有無、対応状況、LTIFR(Lost Time Injury Frequency Rate)等の定量データを確認することを通じ、審議・検討に役立てています。また、新規・撤退案件の審査のみならず、既存事業投資先の事業経営をモニタリングし、改善に資するように努めています。
サプライチェーンにおける取り組み
当社は、サプライチェーンにおいても環境・社会性面のマネジメントが重要であると認識し、「持続可能なサプライチェーン行動ガイドライン」(2018年8月改訂)を策定しています。当ガイドラインでは、人権の尊重や安全で衛生的かつ健康的な労働環境の提供に努めることを定めています。同ガイドラインを取引先関係者の皆さまと共有することのみならず、その遵守状況を確認するための定期的なアンケート調査を実施しています。
労働安全衛生の管理は基本的には事業ごとに行っていますが、活動地域や事業内容から、必要と判断される場合には、サプライヤーを訪問し活動状況の確認を行う※など、当社グループとして労働安全衛生に対応するよう努めています。
※ 国内外の1次サプライヤーが対象
この他のサプライチェーンにおける取り組みは、サプライチェーンマネジメントをご参照ください。
社会課題解決に向けた取り組み
当社は世界で200カ国以上に拠点を持ち、グローバルに事業展開をしており、それらの国の中には、HIV/エイズ、結核、マラリアの問題が重要課題である国も存在します。これらの世界的な健康問題について、当社も積極的に対応していくこととしています。
結核予防の取り組み(モンゴル)
当社ではモンゴル結核予防会と連携して、ウランバートル市内の結核に関する認知度向上を目的に、結核患者の多い世代である大学生を対象に結核に関するメッセージ入りノートや紹介ビデオを製作しイベントを実施しました。また、中等学校生徒を対象に絵コンテストや優勝作品ポスターの広告掲示等を実施し、5大学・750中等学校で啓発活動を行いました。
HIV/エイズ、マラリアへの取り組み(モザンビーク)
投資先企業を通じて、HIV/エイズ、マラリアの問題に対応している例として、モザンビークのアルミ製錬会社Mozal(当社関連会社)の例が挙げられます。
同社は、社会貢献活動を極めて重視しており、年間約2億円規模の資金拠出を通じ、雇用創出のための小規模ビジネスへの支援・教育支援・健康のための環境整備や衛生教育の支援・スポーツ文化支援・社会インフラ支援等を行っております。衛生教育等の具体的事例としては、マラリア予防と治療のための診療所整備、HIV教育の浸透等の支援を行っています。
MozalのESGにおける取り組みは、モザンビークにおけるアルミ製錬事業をご参照ください。