人材育成・エンゲージメント強化
人材育成の基本方針
三菱商事にとって、人材は最大の資産であり、競争力の源泉です。創業以来、さまざまな危機や環境変化に直面する中で、社員一人ひとりが世の中の変化を見極め、事業モデルを変化させてきました。今後も、変化への対応力を高め、会社も社員も変化・成長を遂げていかなければなりません。
三菱商事の人材育成は、経営マインドをもって事業価値向上にコミットする人材を輩出し続けることを基本方針としています。この方針のもと、社員は「構想力」「実行力」「倫理観」を段階的に高い水準に開発していくことが期待されます。
「経営マインドをもって事業価値向上にコミットする人材」
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構想力
担当事業・機能の本質を見極め、内外環境の変化を想定、先を見据えた戦略を練り上げる
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実行力
チームプレーを基本とし、リーダーシップや人材育成力を発揮して人と組織を牽引し、最後までやり抜く
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倫理観
高い倫理観を備え、あらゆるステークホルダーから尊敬される人間力
段階的な育成・活用
OFF-JT(研修)については、資格別に求められる行動要件(構想力・実行力・倫理観)ごとに必要な知識・スキル等を整理し、社員が必要なタイミングで習得できるように構成しています。
これらはMCグループ全体の人材育成を支える研修プログラムとして、三菱商事社員、海外全社拠点社員並びに国内外グループ企業社員を対象に実施しており、社員の成長を支援しています。
キャリア自律の促進
三菱商事では、多彩・多才な人材がやりがいと誇りを持って仕事に取組み、能力を最大限に発揮しながら、継続的に成長・活躍できるよう、多様な個の就業観・価値観を尊重し、キャリア自律を後押しする取り組みを拡充しています。
成長対話
社員の自律的成長の実効性を高めることを目的として、年に1回、能力開発・キャリア開発にフォーカスした振り返りの機会を設け、上司との対話を行っています。
成長を支援するフィードバック
成長対話に先立ち、一定の組織を率いる社員は、上司・部下・同僚からの「360度マネジメントレビュー」、それ以外の社員は、部下・同僚による「周囲からのフィードバック」を実施し、本人の気付き・行動改善につなげる成長支援の機会を設けています。
タレントレビュープログラム
成長対話を経て確認した社員の能力伸長・キャリア希望などを、より広い母集団で共有し、複数の眼で、社員の能力開発・キャリア開発を促進する仕組みを設けています。
キャリア自律を促す仕組み
個人のキャリア希望、今後伸ばしていきたい能力・資質などを踏まえ、自らが挑戦したい組織への異動を後押しする「公募型配置」施策、社内複業を通じたスキル習得・成長機会を提供する「Dual Career」施策を推進していきます。また、個人が自身の能力を可視化、経験の棚卸しを行い、キャリアビジョンを明確にした上で実現に向けたサイクルを設定できるよう、キャリア開発支援プログラムを実施します。
人材育成プログラム
三菱商事では、多種多様な人材育成プログラムを通じて、時代に合わせたリーダーシップのアップデートや、多彩・多才な人材を活かすためのダイバーシティマネジメント、DXの更なる推進のためのIT・リテラシー向上、キャリア自律など、内外事業環境の変化への対応力強化に重点的に取り組んでいます。
※その他、他社主催の研修にも社員を派遣。
新入社員研修
三菱商事の一員となった意識と自覚を醸成するとともに、三菱商事社員として必要とされる知識、スキルなどを身につけるためのプログラムを用意しています。環境・社会課題をビジネスに組み込む構想力強化に資するプログラムも実施しています。
ビジネスベーシックスキル/ビジネスアドバンスドスキル プログラム
入社1~3年目までの若手社員の基礎能力強化として、段階的な2つのプログラム「ビジネスベーシックスキルプログラム(BBS)」、「ビジネスアドバンスドスキルプログラム(BAS)」を実施しています。財務会計・簿記・M&A・英語力・リーダーシップ等、実務を担うプロフェッショナルとしての基礎スキルを総合的に習得します。
グローバル研修生
事業の更なるグローバル展開に対応するため、原則として入社8年目までに全職員に海外経験を積ませています。この方針を支えるのが「グローバル研修生制度」です。
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グローバル研修生(長期出張)
海外拠点や海外事業投資先等、日本とは異なる環境で実務研修経験を積むことによりビジネスパーソンとしての更なる成長を図るものです。環境に溶け込み、派遣国をよりよく知るために、派遣前・派遣期間中は、派遣先公用語も学習することとしています。
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グローバル研修生(地域)
事業のグローバル化が進む中、各国・地域に根差した事業を展開するには、ビジネススキルのみならず、その国や地域を深く知ることが重要です。言語の習得をはじめ、当該国・地域の知見を深めるため、インドネシア、タイ、ブラジル、ロシア、メキシコ等、様々な国で1年半~2年間の語学研修・実務研修を実施しています。
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グローバル研修生(ビジネススクール)
最新の経営管理手法や幅広い問題解決能力を持つ人材の育成のため、欧米やアジアのビジネススクールへ研修生を派遣しています。派遣後は学んだ知識・スキルを活かして事業投資先の経営に携わるなど、様々な場所で活躍しています。
イノベーション研修
事業価値向上に必要な構想力の涵養のために、スタンフォード大学教授陣等の協力を得たプログラムで構成されるイノベーション研修を実施しています。デザイン思考などのイノベーションを生み出すための思考プロセスを中心にシリコンバレー企業の急成長の背景・メカニズムを学ぶ場となっています。
オンラインBS
オンラインで海外のトップビジネススクールのプログラムを受講できる制度を、管理職に登用された者を対象に展開しています。リーダーシップ、ストラテジー、ファイナンスなどの数あるプログラムの中から、自身に必要な要素を自律的に選択し受講する制度となっています。
短期ビジネススクール
米国、欧州、アジアのトップビジネススクールの短期プログラムに管理職層を派遣しています。これらの派遣は、マネジメントスキルの向上と、異文化・異業種から集う参加者とのネットワークの構築を目的としています。
事業経営プログラム
現在三菱商事社員のうち3割が、事業会社に出向し、事業経営を行っています。そのような社員向けに、事業価値向上や組織マネジメントを行う際に肝要な、リーダーシップ、コーポレートストラテジー、コーポレートガバナンス、組織開発などのスキルを身につけるためのプログラムを実施しています。
MC経営塾
幹部候補社員に対するプログラムとして、「MC経営塾」を2003年度より毎年実施しています。このプログラムの柱は、会社の経営課題についてグループで議論をした上で経営陣向けにプレゼンテーションを行う経営課題ワークショップです。多様な経験を持つ社員同士による意見交換、社内外経営者・有識者の講話等を通じて、一段高い視座、経営マインド、横のネットワークを得る機会となっています。
組織リーダー研修
部下の成長支援や組織運営等、組織を率いるために求められるダイバーシティマネジメントや成長支援マネジメント、パフォーマンスマネジメント等の知識・スキルの涵養を目指す組織リーダー研修を、組織を率いるポストの就任者約100名を対象に毎年行っています。
インストラクター研修
三菱商事では、新入社員の教育担当者として同じ職場の先輩社員をインストラクターに任命し、日常業務につき積極的に指導を行うと共に、三菱商事社員として必要な素養等について指導・教育を行う役割を担います。インストラクターには新入社員の指導方法や成長支援について学ぶ研修を実施しています。
社員が自律的に成長するための研修の仕組みづくり
社員の自律的成長を促し、自発的な学びや自己研鑽の機会の拡充のため、充実した自律型学習のプログラムを整備しています。また、事業環境変化への対応と多様な個に合わせた学習機会の拡充を狙いとして、全社員を対象としたオンライン研修プログラムを導入し、多様な学習コースの中から社員が自由に選び学習できる環境を整備しています。
オンライン学習プラットフォーム
学習内容の多様化および学習内容の最新化・最適化に向けた対応ならびに自律的学習を通じた個人の能力・スキル向上をサポートするため、オンラインで多数のコンテンツから学べる学習プラットフォームを導入しています。約9,500本の既存コンテンツのほか、社内コンテンツ動画75本以上を掲載し、年間一人当たり平均10時間以上視聴しています(2022年度実績)。
キャリアビジョン研修
三菱商事の人事制度・諸施策は、社員の成長と会社の発展が一体となることを目指しています。社員の成長のためには、社員一人ひとりが自律的に成長するという強い意思を持つことが重要なため、2022年度よりその支援の一環として、全職員を対象にキャリアビジョンに関する講座(e-learning)を提供しています。
自律的成長を続けるためのキャリアの考え方を学ぶとともに、自己の才能を可視化し、キャリアビジョン実現に向けたアクションプランを策定・実行することで成果の創出を目指します。
MCスキルアップ講座
MCスキルアップ講座では、専門性、構想力、実行力に繋がるスキル・能力を醸成するための講座を多数用意しています。
自己啓発講座
自己啓発講座は、業務に活かせるマネジメント・ビジネス実務・語学等の知識やスキル習得の為、会社が指定する講座の受講を奨励し、能力開発の機会を提供するものです。
能力開発支援制度
経営マインドをもって事業価値向上にコミットする人材に育つという社員の自律的な成長を促進するため、「現場のプロ育成ステージ」の行動要件を満たす為に相応しいと認められる講座の受講を支援するものです。
デジタル人材育成プログラム
さらなるDX加速に向けて、全社員が必要なデジタル知見を獲得するため、各レベルに応じた研修を展開しています。DX推進や新規事業立上の担当者向けのプログラミング研修とwebサービス立上のワークショップに加え、全社員のIT・デジタルリテラシー向上を目的とした必須講座や個々人のレベルに応じた講座を提供しています。
全社員向けIT・デジタルリテラシー講座
変化対応力を高めるリスキル、DX推進力の強化の一環として、三菱商事全社員が身につけるべきIT・デジタルリテラシーを、各人のレベルに応じて段階的かつバランス良く習得するためのオンデマンド型研修プログラム MC DX Advancement Programを新設し、データデザインやDXプロジェクト管理など約70時間、16講座を全社員向けに提供しています。
MC Innovation Lab(MIL)
新規事業やデジタル事業を担当する社員が、プログラミングや事業開発に関する講義を受けながら、ウェブサービスを開発するプログラムを実施しています。成果はコンテスト形式で評価し、一部は事業化に向けて動き出しています。
マネジメント向けIT・デジタル講座
DX推進やIT活用におけるより適切な判断や部下への助言を行えるよう、マネジメント層向けの講座を実施しています。DX時代のリーダーに必要な技術導入時の特性、適切なコミュニケーション法、意思決定のタイミング、及び判断のポイント等の理解を深めることを目的としています。
MCグループの価値観共有
三菱商事では、MCグループ約8万人としての総合力強化を図ることを目的とし、価値観の共有、強固なネットワークの構築に取り組んでいます。
MC Group Gateway Program
2010年度より、三菱商事の理念・価値観の共有やMCグループの理解を深めることを目的として、海外拠点・国内外のグループ企業の社員を対象に導入研修「MC Group Gateway Program」を開催しています。東京にて、日本語・英語で実施しており、累計約4,600名以上が参加しています。さらに、各海外地域でも同様の導入研修を展開しており、当社グループ全体での価値観の共有を推進しています。

【参考データ】
三菱商事が実施する研修の概観(単体、2022年度)
年間研修受講者数(注1) | 10,988名 |
1人あたり平均研修時間(注2) | 21.8時間 |
教育・研修費総額(注3) | 24.2億円 |
1人あたり研修費(注4) | 44.5万円 |
- (注1)本店人事部主催研修のみ
- (注2)年間延べ研修実施時間を全従業員で割り一人あたりになおしたもの
このほかに会社が提供するオンライン学習プラットフォームを利用した自己啓発時間あり - (注3)教育研修費+外部研修機関への研修業務委託料
- (注4)教育・研修費総額を全従業員で割り一人あたりになおしたもの
各研修の受講者数・研修時間(本店人事部主催研修のうち一部を抜粋、2022年度)
名称 | 対象 | 受講者数 | 研修時間 |
事業経営プログラム Ⅰ | 国内・海外事業会社で事業経営に携わる職員 | 70名 | 15時間 |
事業経営プログラム Ⅱ | 国内・海外事業会社で幹部として事業経営に携わる職員 | 36名 | 18.5時間 |
イノベーション研修 | 事業構想 、デジタル戦略 、新規事業立案等の役割期待を担う職員 | 92名 | 77時間 |
組織リーダー研修 | 新任内部組織責任者(チームリーダー等) | 122名 | 43.5時間 |
オンラインBS | 管理職昇格者 | 147名 | 平均41.2時間 |
新任M2研修 | 管理職昇格者 | 151名 | 36.5時間 |
インストラクター研修 | インストラクター(新入社員指導担当) | 141名 | 17時間 |
キャリアビジョン研修 | 入社6年目職員 | 107名 | 10時間 |
ビジネスアドバンスドスキルプログラム | 入社3年目職員 | 124名 | 73時間 |
新入社員向け研修 | 入社1年目職員 | 121名 | 184.5時間 |
キャリアデザイン関連研修 | 48歳以上職員 | 1,646名 | 19時間(注1) |
A職キャリアビジョン研修 | 一般職掌 | 239名 | 24.5時間 |
オンライン学習プラットフォーム(Udemy) | 全社員 | 登録者数5,596名 | 平均視聴時間10.4時間 |
MCスキルアップ講座 | 全社員(講座毎に自由応募) | 639名 | 平均5.9時間(注2) |
- (注1)総合職マネジメント層の標準的な受講時間
- (注2)全21講座の平均時間
エンゲージメント強化
つながり・組織風土の醸成
多様性を活かす企業風土を促進するため、組織、世代、役職などを超えたつながりを醸成していきます。経営と社員の活発なコミュニケーションや、社員間のつながりの促進に向けた各種施策を実施していきます。
タウンホールミーティング
さまざまな機会を捉えた対話や、タウンホールミーティングを継続的に実施し、社長と社員とのコミュニケーションを拡充しています。
タウンホールミーティング参加者アンケート結果
(2022年7月時点)
※ 四段階評価における肯定的回答割合
「会社や仕事に対するエンゲージメントが高まった」
95%
「経営戦略への理解度が向上した」
100%

タウンホールミーティングの様子
※ 感染対策を講じて実施しています「Face to Faceのコミュニケーション機会を提供するためのインフラ投資」の視点で、各種施設を整備しています。
社員寮

社員寮は東京近郊で共同施設型独身男子寮3棟、共同施設型独身女子寮1棟、ワンルームマンション型2棟、合計712室を保有しています。新入社員は自宅から会社までの距離にかかわらず、希望すれば入寮が可能で、ほぼ9割は入社時に入寮し、最大8年間継続利用ができる制度となっています。
社員寮は、新入社員にとっての基礎教育の場としてはもちろん、部門を越えた先輩後輩とのコミュニケーションの活性化にも寄与しています。
社員食堂

社員食堂では、栄養バランスの取れた食事を提供しています。本店オフィスのある三菱商事ビル、丸の内パークビルディングの中間地点となる丸の内仲通りビルにあり、部門を超えたコミュニケーションの場として機能しています。また、夜の懇親会などにも利用されています。
研修施設

当社は東京都世田谷区に研修施設「フォーリッジ」を保有しています。宿泊施設を完備し、少人数のミーティングから大規模な長期研修まで利用されています。
各部門・組織が合宿などにも利用しており、社内コミュニケーション活性化につながっています。
セミナーハウス フォーリッジ www.humanlink.co.jp/foliage/
エンゲージメントのモニタリング
組織風土調査の実施
社員のモチベーションや組織の活性度などの現状を把握するとともに、各組織の運営改善などに活用することを目的として、本店、国内・海外拠点において、「組織風土調査」を定期的に実施しています。また、一部の当社グループ企業に対しても同様の調査ツールを提供しています。
この調査は、「社員の取り組み意欲」、「個人の期待と会社が目指す方向の連動性・一体感の高さ」や「社員を活かす環境の整備度合い」等に関する設問への回答を組織や属性毎に匿名で集計するもので、組織単位で社員に対して調査結果のフィードバックを行い、職場の活性化に向けたアクションプラン策定につなげています。