統合報告書2022PDF一覧
目次
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【イントロダクション】 (PDF:3.3MB)
目次/編集方針/企業理念/社長メッセージ (PDF:1.9MB)/中期経営戦略2024/特集 未来創造(新産業創出/地域創生)/中期経営戦略2021振り返り
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【価値創造ストーリー】 (PDF:4.1MB)
価値創造の軌跡/価値創造のプロセス/6つの資本/Focus 人的資本 - 価値創出の源泉/マテリアリティ/Focus 気候変動 - EX戦略の前提となるマテリアリティ/CAOメッセージ/CFOメッセージ
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【営業グループの価値創造】 (PDF:3.4MB)
営業グループ At a Glance/ビジネスモデル ✕ 事業
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【サステナブルな価値創造を支える取り組み・体制】 (PDF:3.7MB)
サステナビリティ推進体制/リスクマネジメント/コーポレート・ガバナンス
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【データセクション】 (PDF:2.6MB)
取締役・監査役/執行役員/株主情報/組織体制/グローバルネットワーク(国・地域)/13カ国におけるリスクマネー残高状況/財務ハイライト/主要な関係会社等の持分損益/ESG情報/会社情報
特集:社外役員対談
確固としたガバナンスを基盤に、
三菱商事が目指す社会課題の
解決に貢献する取り組みに、
社外役員として貢献していきます。
21年度取締役会実効性評価の
一連のプロセスを振り返って
- 宮永
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三菱商事では、取締役会の実効性評価を、独立社外役員である取締役と監査役が行っています。昨年度は私と中尾さんが中心となって、質問項目の策定や回答の分析・評価を行いました。実効性評価の一連のプロセスを振り返って思うことは、やはり三菱商事のような業態は日本独特だということです。また、日本が高度経済成長期から成熟期へ、そして今後さらにどう変化していくかが読めない不透明な時代になる中で、三菱商事は最も時代の影響を受けやすい位置にいると思います。そのような業態、企業であることを踏まえた上で、三菱商事の取締役会に求められている実効性を評価するためには何が必要なのか、客観性や中立性を自分たちなりに工夫して考え、一連のプロセスを実行しました。
- 中尾
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三菱商事という会社は、会社規模自体が大きいことに加え、事業領域も実に多岐にわたります。そのため、監督機能を十分に発揮させるべく、情報収集の機会がかなり多く設定されており、このことは三菱商事のガバナンスの大きな特徴だと思います。営業グループCEOとの対話のみならず、本部長等との対話も設けられているほか、現場への往査や組合との対話などさまざまな階層の役職員の意見を聞く機会があります。対話の機会を通じて得た情報も含めて、取締役会が十分に機能しているかについて、社外役員が主導して検証することは、実効性評価の手法として有効なのではないかと思います。
- 宮永
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実効性評価では、各営業グループCEOの方々にも意見を聞きました。執行側の実情を把握する上で非常に参考になり、とても価値のある取り組みだったと思います。昨年度は「中期経営戦略2021」の最終年度、かつ、新社長の選任もあった年であり、これらのテーマについても実効性評価のプロセスを通じて濃密な議論を行うことができました。
「中期経営戦略2021」の振り返り
- 秋山
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2021年度は「中期経営戦略2021」の最終年度でしたが、外部環境要因が大きく影響したこともあり、非常に良い業績で締めくくることができました。全体の業績が良かっただけでなく、各営業グループでこれまでにない数字が出ていたことは、それぞれの実力が向上し、経営戦略の大きな方針の下で事業ポートフォリオの最適化にしっかり取り組んだ成果であると思います。この方針は新しい中期経営戦略にも引き継がれており、今回の好業績に満足することなく、さらなる向上を期待したいと思います。
- 宮永
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「中期経営戦略2021」を振り返ると、数値的には計画を達成して終えることができました。資源高などの外部環境要因もありましたが、目先の市況を気にするのではなく、バランスを取りながら臨機応変にポートフォリオを組み替えるという手法が概してうまくいったのではないかと思います。今後は、米中対立の激化、ロシア・ウクライナ情勢など、グローバル化の後退が起きる中で、レジリエンスを含めて外部環境に柔軟に対応できるよう考えていく時代に来ていると感じています。
- 中尾
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垣内前社長が目指していたのは、各営業グループが市況に左右されることなく一定の利益を出し続け、グループ間の垣根をなくすことで、一つになって新しい価値を創出していくということだったと理解しています。2021年度は資源以外の分野でもしっかりと利益を出していることが特筆すべき部分です。引き続きそうした方向性でドライブをかけていくということで、「中期経営戦略2021」の振り返りが「中期経営戦略2024」にスムーズにつながっているという印象を持っています。
- 秋山
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現在、事業環境を取り巻く変化のスピードは非常に速く、また変化の度合いも大きくなっています。その速さと大きさに影響を与えているのは新しいテクノロジーであり、これがDX推進にもつながっています。これまでの三菱商事はどちらかといえば、資源をはじめとしたスケールの大きな事業分野で、重要なプレーヤーとしての役割を果たすというスタイルが中心でした。ITに代表されるような、新しいテクノロジーで成長している分野で活躍している人たちは、若く活気があって、従来の日本社会で評価されてきたビジネスパーソンとはタイプが異なるため、三菱商事のような伝統的な大企業にいる人々が付き合う上では、カルチャーギャップがあるかもしれません。しかし、三菱商事は長い伝統を持ちつつも、非常に自己変革能力が高い会社です。異質な人材との対話の中で、どう自分たちに新しい要素を取り込んでいくのかという部分で、議論とアクションが重要になってくると思います。
- 宮永
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三菱商事の若い社員と話していると、優秀であることはもちろん、歴史ある大企業に入ったことで満足するのではなく、世の中がどんどん変化する中で自分たちに何ができるのだろうか、どういう価値を生み出せるだろうかという意識を持っている方が非常に多いと感じます。「中期経営戦略2024」ではEX、DXのさらなる推進を掲げており、こうした100年に一度あるかないかという大きな変化にめぐり合わせていることをチャンスと捉え、若手やベテランに関わりなく、積極的な意見交換をしながら取り組んでいってほしいと思います。
後継者選任プロセスを振り返って

- 宮永
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後継者の選任への関与は、社外取締役の最大の責任の一つであると考えています。従来の日本企業では、社長が会長と相談して提案するという流れの中で後継者を決定するというプロセスが一般的でしたが、選任プロセスの透明化への要請などもあり、三菱商事でもガバナンス・指名・報酬委員会を中心に、次期社長に必要な要件などについて、闊達な議論を行いました。候補者の方々に関する十分な情報が提供され、それらの情報を消化して、各社外役員が意見を述べました。社外役員のさまざまな視点や考え方が反映された中での選任プロセスであったと思います。
- 秋山
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会社にとって最も重要な後継者プロセスに関わることは、社外取締役にとって重責です。今回の後継者選任プロセスでは、取締役会はもちろんのこと、取締役会以外の場でもさまざまな形で後継者候補の方々と接する機会が設けられ、社外役員が過半数を占めるガバナンス・指名・報酬委員会では、継続して後継者の要件を審議するなど、従来の取り組みをさらに充実させる形へと変革されています。結果として、徹底的に考え抜かれた後継者選任プロセスになったと感じており、先ほども触れた、三菱商事の自己変革能力の高さを実感しました。
三菱商事に求められるリーダー像とは
- 宮永
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変化が激しい時代において会社を成長させていくには、ダメージを最小化しながら変化を乗り切るだけでなく、さらに多様な力が必要になります。今は好調でも、次に何が起きるか分からないということを常に心し、事態を予見する力を磨き、組織に柔軟性を持たせ、一段高いレベルを目指して、自己には厳しく、他者に対しては励ましながら、動機付けをしていけるような人材であることが必要だと思います。
- 秋山
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三菱商事は、広い事業分野において、新しいものを取り込みながら、その時代ごとに最適なものをつくり上げていくという、複雑かつ難易度の高い事業体です。私が当社のトップにとって最も重要な要件だと思うことは、たくさんの人たちの知恵、すなわち衆知を集め、その上で決断・実行ができるということです。それが、三菱商事という会社の安定的な成長を担保する重要な要素ではないかと思っています。「衆知を集める」ためには、ある種の心理的安全性の要素が必要です。皆が積極的に発言できるようなコミュニケーションの基盤が会社にあること、そしてトップがどんな意見も受け止める能力を持っていることが重要だと思います。
- 宮永
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役員自身が若いころに何度か難しい問題に直面し、全部ではなくてもその課題を解決し、克服してきた経験を持っていることが望ましいです。そういう経験があると、人々が色々な挑戦をしたとき、難しい問題に直面したときの対応に優しさが生まれます。ただの優しさではなく、受け止めてあげる力があれば、自然に自分を律しやすくなりますし、さまざまな人の意見を聞いた上で決定を行う際にも、説得力が生まれます。その説得力は厳しさだけでは生まれないものです。
- 中尾
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お二人がおっしゃる通り、厳しさだけでは人はついてきません。組織が大きくなればなるほど、正しく意思決定するには、現場から日々情報を収集することが不可欠です。中西社長はトップマネジメント層に限らず、若手中堅社員を含め、様々な階層の職員とも積極的に交流の機会を持っていて、現場の重要性をよく理解されている方だと感じます。
「中期経営戦略2024」の策定にあたって

- 秋山
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昨年12月に中西社長が選任され、その後本年5月に「中期経営戦略2024」が公表されました。時間的な制約がある中で、中西社長は草案を取締役会および取締役会以外の場も活用して説明され、社外役員からの意見を吸い上げてくれました。最終的な意思決定までには4回ほどそうしたプロセスを経ており、「中期経営戦略2024」最終化に向け、かなり濃密な議論ができたと思います。
- 中尾
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前中経の振り返りを踏まえての「中期経営戦略2024」の策定にあたっては、従前よりプロセスの透明化をお願いしていました。初期の草案の段階から説明の機会を設定していただき、何度もやりとりを重ねたことで、社長の考えが明確になり、社外役員の理解も進みました。このようなプロセスに変革できたことは非常に良かったと思います。
- 宮永
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中西社長が能動的に情報を開示してくれたこともあり、限られた時間の中でも中身の濃い議論ができたと思います。「中期経営戦略2024」は、先に発表した「カーボンニュートラル社会へのロードマップ」を踏まえてEXに主眼を置き、さらにこの先の中経策定も見据えて組み立てられていると感じます。
三菱商事に対する中長期的な期待とは

- 中尾
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中西社長は、これまで、電力ソリューショングループCEOとして、欧州総合エネルギー事業会社のEneco社の買収や、日本の洋上風力3海域の落札に関わってこられました。三菱商事は、2021年10月に発表した「カーボンニュートラル社会へのロードマップ」で、EX関連投資を2030年度までに2兆円規模にまで拡大することを掲げましたが、中西さんの社長就任は、三菱商事がカーボンニュートラル社会のリーディングカンパニーになるという強い意志を内外に伝えることでもあると思います。カーボンニュートラル社会実現に向けたリーディングカンパニーとしてのブランディングをさらに向上させ、邁進することで、今後もさまざまな社会課題の解決に取り組んでいってほしいと思います。
- 秋山
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「カーボンニュートラル社会へのロードマップ」で掲げた「サプライチェーンの最適化」「非競争領域での協調と本来の競争領域への注力」「データの相互連携と最適サービスの提供」の3つの目標は、一言で表すと、社会改革を起こすということだと捉えています。一般的にはDXとは、アナログな世界をデジタルに変えるということですが、その本質は、まさに社会変革を起こすという点にあります。三菱商事が持つ各業界への多大な影響力を、産業横断的、地域横断的に発揮し、「中期経営戦略2024」の取り組みを進めていくことで、大きな社会変革をやり切るということを期待しています。
- 宮永
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EXについては、工業技術や科学技術がどこまで進化するかが読めず、10年先はある程度予想できても、20年先・30年先を見通すことは困難です。そうした中で、30年後に何が起きても対応できるようなビジネスモデルを構築し、社会に貢献するためのより良い解を模索していくことが、三菱商事の役目の一つだと考えています。そのためにも、EX関連分野の学びを深め、スキルを磨くことが重要であり、その知見・情報をもとに社外で連携していくことが必要です。われわれ社外役員はその進捗状況を確認しなくてはならないと思っています。また、次世代の技術に対応し、会社が変化していくには若い力がどうしても必要です。若い世代の人たちには、競争原理の中からこそ良いものが生まれるという意識を持ち、持続的な成長に向けて変革に取り組んでいってほしいと思います。