統合報告書2022PDF一覧
目次
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【イントロダクション】 (PDF:3.3MB)
目次/編集方針/企業理念/社長メッセージ (PDF:1.9MB)/中期経営戦略2024/特集 未来創造(新産業創出/地域創生)/中期経営戦略2021振り返り
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【価値創造ストーリー】 (PDF:4.1MB)
価値創造の軌跡/価値創造のプロセス/6つの資本/Focus 人的資本 - 価値創出の源泉/マテリアリティ/Focus 気候変動 - EX戦略の前提となるマテリアリティ/CAOメッセージ/CFOメッセージ
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【営業グループの価値創造】 (PDF:3.4MB)
営業グループ At a Glance/ビジネスモデル ✕ 事業
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【サステナブルな価値創造を支える取り組み・体制】 (PDF:3.7MB)
サステナビリティ推進体制/リスクマネジメント/コーポレート・ガバナンス
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【データセクション】 (PDF:2.6MB)
取締役・監査役/執行役員/株主情報/組織体制/グローバルネットワーク(国・地域)/13カ国におけるリスクマネー残高状況/財務ハイライト/主要な関係会社等の持分損益/ESG情報/会社情報
6つの資本
当社の3つの事業の基盤となる経営資本と、
それぞれの種類に分類される
6つの資本を定義しました。
当社の経営資本は事業に投入され、事業を通じた社会課題の解決を通じてMCSV(共創価値)を生み出します。
そして、この創出された価値は再び資本に還流し、増大した資本はさらなる価値創造につながっていきます。
当社では、事業の基盤となる経営資本には大きく3つの種類があると考えています。会社の外部に存在し、会社の事業遂行に必要な社会的信用基盤を与える「外部資本」、会社の外部に起源があるものを会社がお預かりし、その価値増大の責を負っている「受託資本」、「外部資本」と「受託資本」を基に会社の内部で取得・創出された有形・無形の資産である「内部生成資本」の3つです。それぞれの種類に分類される資本として以下6つの資本を定義しました。
受託資本
財務資本
財務資本をその提供者からお預かりし、事業を通じてその価値を増大させること、増大した価値を分配することは会社の根幹を成します。持続的に財務資本の価値を増大させるためには財務健全性を維持しながら、資本効率を高めていく必要がありますが、「中期経営戦略2024(以下、中経2024)」においては、ROE二桁水準の目標を掲げ、優良な投資案件の厳選と、循環型成長モデルによる資産入れ替えによりこれを達成していきます。財務資本の分配である株主還元については、累進配当による安定配当を継続しつつ、機動的な自社株買いを組み合わせることで、市場の期待に応えていきます。
人的資本


当社にとって人的資本はすべての価値創出の源泉であり、これまでも多彩・多才な人材が、多岐にわたる社会、業界、顧客の課題に対して、主体的かつグローバルな視座・視野を通して事業を構想し実行することで、価値を創出してきました。
人的資本の最大化には、経営戦略に応じた人材育成と活用が重要なことは言うまでもありません。これに加えてエンゲージメント強化も重要な要素となります。人的資本の提供者は従業員個々人であり、それぞれの人生の中で決して無視できない時間を仕事に割いています。その時間を個々人にとってより充実したものにするには、組織として従業員の働く環境を整備し、エンゲージメント向上につなげていくことが重要となります。
- 中期経営戦略2024における人事施策
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昨今の不確実性が高まる環境下においてMCSV(共創価値)を創出するためには、環境変化や経営戦略に即応し、個の能力と提供価値を最大化させ、つながり合いながら、活気あふれる組織であり続ける必要があります。中経2024における人事施策では、「人材戦略」と「エンゲージメント強化」、これらを効果的に推進する「データ活用」の3本の柱を立てました。3本の柱の実行を通じ、組織のあるべき姿を持続的に強化していきます。
内部生成資本
事業資産
三菱商事は、あらゆる産業と接地面を有し、金属資源、LNG、鮭鱒、再生可能エネルギーをはじめ、高い競争力とプレゼンスを有する資産を国内外に数多く保有し、新たな価値を創出しています。
- 金属資源
- 世界最高水準のコスト競争力と品質を兼ね備えた優良資産を保有しています。銅事業では、チリ、ペルーなど南米の優良銅鉱山への経営に参画し、本邦最大規模の銅持分生産量を保持しています。世界的な脱炭素の流れを受けて、電気自動車(EV)や洋上風力に欠かせない銅の需要が急増しており、供給の確保に努めています。原料炭事業においては、金属資源の探査・開発・生産・販売を行うオーストラリアMitsubishi Development Pty(MDP)社において、パートナーであるBHPと共に、世界の海上貿易量の約3割のシェアを持つ世界最大規模のBMA原料炭事業に取り組んでいます。
- LNG
- 北米、東南アジア、オーストラリアなど世界中で展開し、本邦最大のLNG事業者(持分生産量ベース)としての市場プレゼンスを保持しています。気候変動・大気汚染等の環境問題の解決を図りながら、エネルギーの安定供給を担っています。
- 鮭鱒
- 世界人口の増加などによる水産物需要の拡大や持続可能な供給に対する関心の高まりを背景に、「獲る漁業」に加え「育てる漁業」の重要性が増している環境下、当社は2014年には、ノルウェー、チリ、カナダの3カ国で年間約20万トンのサーモンを養殖する世界有数のサーモン養殖・加工・販売会社であるCermaq社を子会社化しました。これにより当社は、世界第2位の養殖サーモン生産量を有しています。
- 再生可能エネルギー
- 当社は再エネの開発から建設・融資・運営に至るまで主体的に取り組んでおり、再エネ事業の中では特に洋上風力発電、海底送電事業において、豊富な開発・建設・運営実績を有しています。2020年3月に買収したオランダの総合エネルギー事業会社Eneco社の持分容量も含め、2022年3月末時点で約350万kWの再エネ発電持分容量を保持しています。
インテリジェンス・産業知見
当社があらゆる地域・産業にまたがり事業を行う中で、グローバルネットワークに基づく「インテリジェンス」「産業知見」などの無形資産を組織として蓄積してきました。
- インテリジェンス
- 当社では本店・拠点・事業会社が効率的・効果的な役割分担を通じ、常に連携しながら、変化への対応力を高め、次なる大きな成長を生み出すためのネットワークを構築しています。長年の歴史で培ったグローバルなネットワークにより、マクロ経済、産業、地政学等の多面的なインテリジェンスやノウハウを有しており、これらの多様なインテリジェンスをつなぎ、外部環境への対応力をさらに強化すべく、中経2024において、グローバルインテリジェンス委員会(GI委員会)を新設しました。産業横断的な全社戦略を討議・立案するMC Shared Value 会議(MCSV会議)に、GI委員会の分析を反映することで、営業グループの推進力と業界を超えた連携を強化していきます。
- 産業知見
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当社は長年にわたりあらゆる産業と接点を持ち、各産業に深く入り込み、幅広く事業を展開することでノウハウを含む産業知見を蓄積してきました。各営業グループで各産業における事業の推進力を強化し、このリアルな現場とデジタル技術を掛け合わせることで新たな価値の提供にも取り組み、産業知見をさらに高めていきます。
外部資本(社会的信用基盤)
社会資本
当社が事業を進めていくためには、その価値や意義を顧客・パートナーに加え、直接的な契約関係のないステークホルダーにも広く認めてもらう必要があります。財務資本の提供者である株主・投資家・債権者、人的資本の提供者である従業員に加えて、顧客・パートナー、地域社会、NGO、政府・行政を主要なステークホルダーと捉え、事業継続の両輪として継続的なエンゲージメントを行っています。エンゲージメントを通じた多様なステークホルダーとのつながりを基に価値を創出し、生み出された価値を多様なステークホルダーへと適切に還元することで、社会全体における価値の循環を促進していきます。
- 顧客・パートナー
- 当社は川上の原料調達から川下の小売りに至るまでの各事業領域において、顧客・パートナーのニーズを捉えた商品・サービスを安定的に提供し、顧客・パートナーと共に、当社のみでは成し得ないさまざまな事業の創出を通して社会や経済の発展に貢献していきます。また、世界中で多様な商品・サービスを取り扱う当社にとっての重要課題である持続可能なサプライチェーンの実現にも努めています。
- 地域社会
- 事業推進にはコミュニティーとの関係構築が不可欠であると認識しており「地域課題の解決とコミュニティーとの共生」が重要だと考えています。また、事業を通じた雇用創出・地域開発、コミュニティーからの資材調達等、地域と共に繁栄を分かち合うことに加え、先住民の権利への配慮を含め地域への負の影響の最小化に努めています。特に地域コミュニティーの理解・協力が必要な大規模案件については、必要に応じて地域住民等に対し公聴会を開く等の対話を行っています。地域と共に発展することは、事業を推進し経済価値を創出することと同様に重要であり、三価値同時実現をうたう当社の精神に沿ったものであると考えています。
- 政府・行政
- 世界各国で事業を展開するに当たり、社会的課題の改善・解決のために、経済団体、官民連携等の活動を通じて、政府・行政と連携・協力・意見交換等を行い、社会の発展に貢献することを目指しています。
- NGO
- NGOは地球・市民の代弁者として当社の重要なステークホルダーと認識しており、日頃の丁寧なコミュニケーションを通じて得たご意見やご要望を真摯に捉えて、施策の改善につなげています。また、環境・社会課題の解決に向けた協働も進めています。
環境・自然資本
社会関係資本と同様に、環境・自然への配慮も事業継続の社会的信用基盤を維持する上で不可欠な要素であり、地球は最大のステークホルダーであると認識しています。
中経2024が目指すMCSVの継続的な創出に向け、生物多様性の維持や自然資本の保全に努めるとともに、環境への負荷を低減しながらサーキュラーエコノミーの実現に取り組む「自然資本の保全と有効活用」、移行期の低・脱炭素化に資する製品・サービスを提供しながら、温室効果ガスの削減に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献する「脱炭素社会への貢献」を当社が事業活動を通じて解決していく重要な社会課題であるマテリアリティとして掲げています。これらのマテリアリティを指針に当社の持続可能な成長に向けた取り組みを強化していきます。