6つの経営資本

経営資本

当社の経営資本は事業に投入され、事業を通じた社会課題の解決を通じてMCSV(共創価値)を生み出します。
そして、この創出された価値は再び資本に還流し、増大した資本はさらなる価値創造につながっていきます。
当社では、事業の基盤となる経営資本には大きく3つの種類があると考えています。
会社の外部に存在し、会社の事業遂行に必要な社会的信用基盤を与える「外部資本」、
会社の外部に起源があるものを会社がお預かりし、その価値増大の責を負っている「受託資本」、
「外部資本」と「受託資本」を基に会社の内部で取得・創出された有形・無形の資産である「内部生成資本」の3つです。
それぞれの種類に分類される資本として以下6つの経営資本を定義しました。

受託資本

01. 財務資本

財務資本をその提供者からお預かりし、事業を通じてその価値を増大させること、増大した価値を分配することは会社の根幹を成します。持続的に財務資本の価値を増大させるためには財務健全性を維持しながら、資本効率を高めていく必要がありますが、中期経営戦略2024(以下、中経2024)においては、ROE二桁水準の目標を掲げ、優良な投資案件の厳選と、循環型成長モデルによる資産入れ替えによりこれを達成していきます。財務資本の分配である株主還元については、累進配当による安定配当を継続しつつ、機動的な自社株買いを組み合わせることで、市場の期待に応えていきます。

02. 人的資本

当社は、時代のニーズを先取り・先読みし、真摯に社会課題解決に挑み、事業活動を通じて社会と共に持続的成長を実現してきました。その成長を支えてきたのは、当社ならではのさまざまな経験を通じ、社会課題の解決に向けた「高い志」、時代を先取りし新たな価値を生み出す「構想力」、多様な関係者を巻き込みスピーディーに実現する「実行力」、そして三綱領の精神から連なる「倫理観」を兼ね備えた人材です。当社では最大の資産である人材を価値創出の源泉「人的資本」として捉え、これまでも、これからも積極的に投資していきます。

中経2024における人事施策

昨今の不確実性が高まる環境下においてMC Shared Value (MSCV)を創出するためには、環境変化や経営戦略に即応し、個の能力と提供価値を最大化させ、つながり合いながら、活気あふれる組織であり続ける必要があります。中経2024における人事施策では、「人材戦略」と「エンゲージメント強化」、これらを効果的に推進する「データ活用」の3本の柱を立てました。 3本の柱の実行を通じ、組織のあるべき姿を持続的に強化していきます。

イキイキ・ワクワク、活気あふれる人材と組織の実現 イキイキ・ワクワク、活気あふれる人材と組織の実現

内部生成資本

03. 事業資産

三菱商事は、環境変化に応じて事業モデルを柔軟に変化させることで、金属資源、LNG、鮭鱒、自動車等、高い競争力とプレゼンスを有する事業資産を生み出し、成長させてきました。当社は、これらの多様かつ強い事業資産と、多くの産業との接地面を組み合わせながら、事業を通じた社会課題の解決を実現し、新たな価値を創出していきます。

04. インテリジェンス・産業知見

当社があらゆる地域・産業にまたがり事業を行う中で、グローバルネットワークに基づく「インテリジェンス」「産業知見」などの無形資産を組織として蓄積してきました。

インテリジェンス

当社では本店・拠点・事業会社が効率的・効果的な役割分担を通じ、常に連携しながら、変化への対応力を高め、次なる大きな成長を生み出すためのネットワークを構築しています。長年の歴史で培ったグローバルなネットワークにより、マクロ経済、産業、地政学等の多面的なインテリジェンスやノウハウを有しており、これらの多様なインテリジェンスをつなぎ、外部環境への対応力をさらに強化すべく、中経2024において、グローバルインテリジェンス委員会(GI委員会)を新設しました。産業横断的な全社戦略を討議・立案するMC Shared Value会議(MCSV会議)に、GI委員会の分析を反映することで、営業グループの推進力と業界を超えた連携を強化していきます。

産業知見

当社は長年にわたりあらゆる産業と接点を持ち、各産業に深く入り込み、幅広く事業を展開することでノウハウを含む産業知見を蓄積してきました。各営業グループで各産業における事業の推進力を強化し、このリアルな現場とデジタル技術を掛け合わせることで新たな価値の提供にも取り組み、産業知見をさらに高めていきます。

グローバルインテリジェンスの拡充と新たな事業機会の創出 グローバルインテリジェンスの拡充と新たな事業機会の創出

外部資本(社会的信用基盤)

05. 社会資本

当社が事業を進めていくためには、その価値や意義を顧客・パートナーに加え、直接的な契約関係のないステークホルダーにも広く認めてもらう必要があります。財務資本の提供者である株主・投資家・債権者、人的資本の提供者である従業員に加えて、顧客・パートナー、地域社会、NGO、政府・行政を主要なステークホルダーと捉え、事業継続の両輪として継続的なエンゲージメントを行っています。エンゲージメントを通じた多様なステークホルダーとのつながりを基に価値を創出し、生み出された価値を多様なステークホルダーへと適切に還元することで、社会全体における価値の循環を促進していきます。

主なステークホルダー 主なステークホルダー

顧客・パートナー

当社は川上の原料調達から川下の小売りに至るまでの各事業領域において、顧客・パートナーのニーズを捉えた商品・サービスを安定的に提供し、顧客・パートナーと共に、当社のみでは成し得ないさまざまな事業の創出を通して社会や経済の発展に貢献していきます。また、世界中で多様な商品・サービスを取り扱う当社にとっての重要課題である持続可能なサプライチェーンの実現にも努めています。

地域社会

事業推進にはコミュニティとの関係構築が不可欠であると認識しており「地域課題の解決とコミュニティとの共生」が重要だと考えています。また、事業を通じた雇用創出・地域開発、コミュニティからの資材調達等、地域と共に繁栄を分かち合うことに加え、先住民の権利への配慮を含め地域への負の影響の最小化に努めています。特に地域コミュニティの理解・協力が必要な大規模案件については、必要に応じて地域住民等に対し公聴会を開く等の対話を行っています。地域と共に発展することは、事業を推進し経済価値を創出することと同様に重要であり、三価値同時実現をうたう当社の精神に沿ったものであると考えています。

政府・行政

世界各国で事業を展開するに当たり、社会的課題の改善・解決のために、経済団体、官民連携等の活動を通じて、政府・行政と連携・協力・意見交換等を行い、社会の発展に貢献することを目指しています。

NGO

NGOは地球・市民の代弁者として当社の重要なステークホルダーと認識しており、日頃の丁寧なコミュニケーションを通じて得たご意見やご要望を真摯に捉えて、施策の改善につなげています。また、環境・社会課題の解決に向けた協働も進めています。

06. 環境・自然資本

社会資本と同様に、環境・自然への配慮も事業継続の社会的信用基盤を維持する上で不可欠な要素であり、地球は最大のステークホルダーであると認識しています。中経2024が目指すMCSVの継続的な創出に向け、生物多様性の維持や自然資本の保全に努めるとともに、環境への負荷を低減しながらサーキュラーエコノミーの実現に取り組む「自然資本の保全と有効活用」、移行期の低・脱炭素化に資する製品・サービスを提供しながら、温室効果ガスの排出量削減に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献する「脱炭素社会への貢献」を当社が事業活動を通じて解決していく重要な社会課題であるマテリアリティとして掲げています。これらのマテリアリティを指針に当社の持続可能な成長に向けた取り組みを強化していきます。