三菱商事

Global Now

今、私たちはどのような社会に生きているのか。

世界中で起きている出来事をシリーズでお伝えします。

塩

塩の役割変化と需要

人間が生きていくために欠かせないミネラルである「塩」。古代から塩は非常に貴重な存在だった。古代ローマでは兵士たちに給料として塩を支給し、それを「サラリウムアルジェンタム salarium argentum」と呼んでいたという。本来、この言葉は兵士や市民1人1人に支給される塩の量を表していたが、やがて塩を買うための手当を指すようになり、そこから派生した言葉が給与を表す「サラリー salary」という単語になり、現代にも残っている。またイタリアには古代ローマに塩を運ぶために作られたサラリア街道(塩の道)が現存するほか、オーストリアの古都ザルツブルグ(塩の街)など塩にまつわる名前を持つ都市も数多く残っている。塩の交易が重要視されていた名残とも言えるだろう。

現代において塩の役割は大きく変わってきた。食用として使われるよりも、ソーダ工業用を中心にさまざまな工業製品の原料として活用される割合の方が圧倒的に多くなった。現在、世界の塩の生産量の約8割は工業用の塩となっている。中でも日本は世界有数の塩の輸入国で、需要の8割以上を輸入に頼っている。中国の経済成長など国際的に塩の需要は高まる一方であり、安定的な塩の供給が求められている。

塩の国内供給見通し(2012年度)

PROJECT

地域住民と環境に配慮した塩田事業

メキシコでは三菱商事とメキシコ政府の合弁製塩会社ESSA(Exportadora de Sal, S.A. de C.V)が世界最大級の天日塩田事業を展開しています。保有する塩田は約3万3,000ヘクタール。年間約750万トンの塩を生産し、日本の塩総輸入量の約半分を供給しているほか、中国・韓国などにも輸出しています。1973年の事業参画以来、日本とメキシコの友好の象徴と呼ばれるほどに成長したESSAは、自然環境への配慮や雇用創出への貢献など、地域に根付いた事業を展開しています。

2012年7月15日 朝日新聞「GLOBE」掲載
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