三菱商事

Global Now

今、私たちはどのような社会に生きているのか。

世界中で起きている出来事をシリーズでお伝えします。

リチウムイオン電池

未来を担う電池の可能性

H、He、Li、Be、B、C、N、O、F、Ne(スイ、ヘー、リー、ベ、ボ、ク、ノ、フ、ネ)……。周期表の並び通り、リチウムは金属の中で最も軽い元素だ。埋蔵量が比較的少ないレアメタルの一つである。資源の8割は南米に集中し、ボリビアにあるウユニ塩湖には世界の埋蔵量の半分近いリチウムが眠るといわれる。

リチウムから作られるリチウムイオン電池は、1985年に日本人研究者によって開発された。小型で軽量、そのうえ大量のエネルギーを蓄えられるため、スマートフォンやパソコン、電気自動車などのエコカーで使われるほか、スマートシティーでの蓄電システムとしての活用も期待される。

これだけ多用されているリチウムイオン電池だが、まだ解き明かされていない謎がある。構造がとても複雑で、密封されているため、電池の中で何が起きているのか詳しくわかっていないという。その謎を解くべく、京都大学を中心とするチームが2012年4月、兵庫県の大型放射光施設「スプリング8」で電池内部の研究を始めた。電池の中を観察することで蓄電池の仕組みを基礎から解き明かし、性能を現状の数倍に引き上げることを目指す。

日本の基幹産業の希望の星と呼ばれるリチウムイオン電池。たゆみない新技術開発を続けることが、未来の社会システムを切り開いていく。

リチウムイオン電池の世界市場規模

PROJECT

リチウムイオン電池の生産

三菱商事はGSユアサ、三菱自動車と合弁会社「リチウムエナジー ジャパン」を設立し、電気自動車(EV)の心臓部といわれる大型リチウムイオン電池の生産開発に取り組んでいます。また、スペインのマラガでは、EVを利用したスマートシティーの実現を目指す実証実験プロジェクトを進めており、エストニアではEVの供給を通して、低炭素社会実現に向けた支援活動に取り組んでいます。人々に新たなサービスや利便性のある生活を提供し、クリーンでかつ災害にも強い街づくりに貢献していきます。

2012年9月16日 朝日新聞「GLOBE」掲載
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