三菱商事

Global Now

今、私たちはどのような社会に生きているのか。

世界中で起きている出来事をシリーズでお伝えします。

絵本

読み聞かせで育む力

世界初の絵本は、近代教育学の父、ヨハン・アモス・コメニウスが1658年に出版した子ども向け教科書『世界図絵(オルビス・ピクトゥス)』だと言われている。水・雲・太陽や人体から哲学・幾何学まで、幅広い内容を挿絵で解説している。それまでの教育は暗記型が主流だったため、絵と文字による視覚・感覚型の教育方法は斬新だった。やがて多言語に翻訳され、ヨーロッパでは聖書に次ぐベストセラーにまでなったという。

ニュージーランドには「クシュラの奇跡」という絵本を愛した親子の実話がある。1971年生まれの女の子・クシュラは先天的な重い病で知能の発達は難しいと言われていた。しかし生後4カ月の時、絵本に反応を示した彼女に、両親は毎日10時間、絵本を読み聞かせた。そうして成長したクシュラは3歳で標準の知能を超えていたのだ。両親の愛情に包まれながら140冊もの絵本にふれ、フレーズを暗記したり絵から想像することが脳を刺激し、奇跡的な成長を促したという。近年、親が子に読み聞かせることが「うれしい」「かなしい」といった原始的な感情をつかさどる大脳辺縁系に働きかけ、情緒豊かに育つという研究結果も報告されている。

親子の心を通わせる絵本は、計り知れない深い力を秘めている。

世界図絵

PROJECT

絵本でつなぐ、子どもたちの未来

子どもたちの豊かな想像力を育むために、三菱商事はオリジナル絵本の制作や、読み聞かせ活動を支援しています。2005年からアジア各国に絵本を寄贈し、カンボジアでは小学校や幼稚園にクメール語のオリジナル絵本を2000冊寄贈しました。また、絵本と触れ合う機会が少ない現地の子どもたちに読み聞かせ会も開催しました。これからも、子どもたちが絵本と親しむ機会を世界で提供していきます。

2013年12月15日 朝日新聞「GLOBE」掲載
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