Global Now
今、私たちはどのような社会に生きているのか。
世界中で起きている出来事をシリーズでお伝えします。
「ライフ・ストロー」という商品がある。災害などの緊急時に、河川や水たまりから集めた水を濾過して飲めるストロー型の携帯浄水器だ。フィルター交換なしで、人が1年間に飲む約700リットルの水を作れるという。東日本大震災以降、日本でも話題になった。
しかし、それを常時持ち歩かなければいけない子どもたちがいる。サハラ砂漠以南のアフリカ、サブサハラ地域の子どもたちだ。農作業や家畜の世話などで家を長期間離れ、ときに不衛生な水を飲まざるを得ない。豊富な天然資源によるサブサハラの経済成長は頻繁にクローズアップされるが、公衆衛生はあまり話題にならず、いまだ改善が遅れている。水が原因で下痢などの疾患になる割合も極めて高く、乳幼児の8人に1人は5歳になるまで生きられない。
今年7月に開かれた国連総会では、このような水の環境・衛生問題を改善していくために毎年11月19日を「世界トイレの日」とする決議が採択された。国連加盟各国に、安全な飲料水の確保やトイレの普及、子どもたちへの適切な教育を促していくという。世界有数の水消費国である日本の、課題解決に向けた役割は非常に大きくなってくる。
環境破壊や貧困、水不足など、アフリカが抱える課題を解決するために、様々な支援団体が活動をしています。三菱商事欧州アフリカ基金(MCFEA)では、そのような幅広い支援団体とパートナーシップを結び、資金面でのサポートをしています。例えば、アフリカ南東部モザンビークでは、給水設備やトイレの設置、衛生教育に取り組むNGO「ウォーターエイド」を支援。その結果、地域の人々が井戸から清潔な水を手軽にくめるようになり、健康と生活の質の改善に大きく貢献しました。
2013年10月20日 朝日新聞「GLOBE」掲載 |