三菱商事

Global Now

今、私たちはどのような社会に生きているのか。

世界中で起きている出来事をシリーズでお伝えします。

金属取引

アジアへ移る取引の重心

「悪貨は良貨を駆逐する」─この言葉は、16世紀に活躍したイギリス政府の財政顧問トマス・グレシャムによるものだ。女王エリザベス1世の時代、イギリスの通貨価値が他国に比べ低いのは、品質を落とした改鋳をしたからだと喝破した。経済学では「グレシャムの法則」として有名になり、ことわざとしてもよく使われるようになった。

グレシャムは国際都市として隆盛を誇ったベルギー・アントウェルペンにできた世界最初の商品取引所を参考に、1566年にロンドン・シティに取引所を作った。円柱が並ぶローマ風の建物は、現在もシティ中心部に残っている。ここは1571年にエリザベス1世の勅許を得て王立取引所となり、以降、400年以上にわたり世界の商業取引の中心となった。世界最大級の非鉄金属を扱うロンドン金属取引所(LME)の起源である。

時は流れ、金属需要がもっとも速いペースで伸びているのは経済成長著しいアジア市場だと言われる。それを証明するかのように、2012年には香港証券取引所(HKEx)がLMEの買収を発表。世界最大の金属需要を持つ中国とのつながりを強化していく方針を表明した。金属取引の流れを見ると、世界経済の重心は、欧米から急速な勢いでアジアに移りつつあるのかもしれない。

主要国の地金消費量(単位:1,000t)

PROJECT

金属資源ビジネスの新たなスタート

世界の資源メジャーの販売拠点や商品トレーダーが集まるシンガポール。2013年4月、三菱商事はこの地に金属資源トレーディング事業の本社を設立し、営業を開始しました。中国やインドなど、金属資源の需要が高まる新興国と地理的に近いことに加え、価格や市場動向などの生きた情報や優秀な人材がシンガポールには集まってきます。世界中から良質な金属資源を集め、安定的に需要家に供給し、社会の持続的な発展のために貢献していきます。

2013年6月16日 朝日新聞「GLOBE」掲載
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