Global Now
今、私たちはどのような社会に生きているのか。
世界中で起きている出来事をシリーズでお伝えします。
その年、アメリカで生産された自動車の4割が電気自動車(EV)だった―信じられないかもしれないが、1900年の記録である。エコカーはガソリン車よりも古い歴史を持つ。蒸気車のように水補給の手間もなく、静かでクリーン。当時の広告には「EVは気軽に街乗りできるエコカー」との記述もあったという。
やがてガソリン車「T型フォード」が量産され、爆発的に普及すると、EVは姿を消す。ドラッカーが「19世紀初頭のランカシャーの綿紡工場」と評したように、ガソリン車は基幹産業となり、世界中にモータリゼーションの流れが広がった。
しかし100年の時を経て、エコカーは再び脚光を浴びる。エネルギーの枯渇や温室効果ガスの増加などで、各国は厳しい環境規制を敷き始めた。今年9月から始まるEUの「ユーロ6」を筆頭に欧州諸国はより厳しい排出ガス規制を進めている。一方、中国をはじめ自動車の「地産地消化」が進む新興国でも環境規制を導入すると同時に、減免税などで購入促進を後押しする。
技術革新は急速に進み、家庭で充電できるプラグインハイブリッド車に続き、更に、低価格なエコカーや燃料電池車の発売も近づく。日本のものづくり技術は、未来のエコカーをどう変えていくのだろうか。
電気自動車(EV)は環境にやさしく、未来社会を担うとされるエコカーの一つです。現在ロシアの自動車市場は、中国、米国、日本につぐ世界第4位に成長すると目され、EVも注目されています。三菱商事は、自動車販売会社 MMC Rus(MMCR)を通じて、ロシア大統領府に三菱自動車のEV「i-MiEV」を70台納入し、昨年9月、サンクトペテルブルクにて開催されたG20で使用されました。今後も、私たちは世界中で環境負荷の少ないEVの普及に取り組んでいきます。
2014年1月19日 朝日新聞「GLOBE」掲載 |