Global Now
今、私たちはどのような社会に生きているのか。
世界中で起きている出来事をシリーズでお伝えします。
日本食は「口中調味」の食事だといわれる。主食のごはんと主菜や副菜を交互に食べることで、口の中で味がブレンドされる。一度白いごはんを口に含んでからおかずを食べることで薄味に鋭い味覚が養われ、炭水化物とタンパク質を一緒に食べることで味の相乗効果もある。米食が中心の日本ならではの独特な食文化だといわれる。このように食文化はその地でとれる食材や長年の食習慣によってつくられ、独自の進化を続けてきた。
しかし現代において、脂肪や塩分の過多など偏った食生活への誘惑は多い。伝統的な食文化を継続して守るために、食の大切さを知る「食育」が進む。
食育という言葉が日本で初めて登場したのは、明治後期の医師・石塚左玄の著書『化学的食養長寿論』(1896年)だった。左玄は、「学童を有する民は、体育・智育・才育はすなわち食育なりと観念せざるべけんや」と記した。つまり子どもにとって家庭での食教育が全ての基盤であり、健全な心身を育てるためには欠かせないと説いたのだった。
それから100年以上経った今日でも、左玄が説いた根幹は変わっていない。豊かな食文化は家庭の食卓にあり、家族によって引き継がれていく。
世界の健やかで豊かな食生活のために、三菱商事グループでは「味のクリエーター」として独自の技術を生かし、新たな商品、アイデア、価値の創造に取り組んでいます。マルチトールやソルビトールなどの糖アルコール、魚介や動植物などの天然素材を活用した調味料、酵母を使った健康食品や食品素材など、幅広い分野で研究と製品開発を続けています。
これからも安全・安心な製品やサービスを提供し、おいしさと共に体がよろこぶ、より豊かな食の未来をつくっていきます。
2013年3月17日 朝日新聞「GLOBE」掲載 |