三菱商事

特集:社外役員対談

継続的なガバナンス強化により
取締役会のさらなる実効性向上を目指していきます
取締役会のさらなる実効性向上を
目指していきます
2021年3月期における取締役会の実効性評価の取りまとめを担った立岡社外取締役と佐藤社外監査役が、当社のガバナンスについて意見交換を実施しました。
(注) 撮影時のみマスクを外し、撮影を実施しております。
立岡恒良
独立社外取締役
佐藤りえ子
独立社外監査役
CHAPTER 01

議論を活発化させる多様な視点

立岡

高度経済成長のピークを越えた時代に通商産業省(現 経済産業省)に入省して以来、私は政府の立場からこの30~40年の日本経済の変遷を眺めてきました。石油の規制緩和や電力自由化といったエネルギー関連から、自動車や素材、機械などの製造業まで、三菱商事の事業領域に重なる分野にも携わってきたことに加え、ガバナンス改革や組織運営にも携わりました。一つの分野を深掘りするというよりは、多様な角度から経済や企業に関わった経験の下、三菱商事では取締役会をはじめ、さまざまな場で議論をしています。

佐藤

企業法務を得意とする事務所に弁護士として入所し、私も小売業や製造業、食品、製薬、建築、商社など、立岡さんと同じように多様な業界に関わっております。その間、米国での留学を経て、2004年からは食品メーカーの社外監査役に就任し、それ以降もさまざまな企業で社外役員を務めてきました。関わってきた産業・業種における特有の事情や、各企業の問題点、経営判断の材料となる情報などにも触れてきており、社外役員として取締役会の変化を目の当たりにしてきた経験があります。自分の役割として意識しているのは、社外から、または株主の方から見て違和感があるであろうことを、とにかく発信することです。

立岡

異なるバックグラウンドでの経験を基にした、さまざまな角度からの意見を経営に取り込むことは有意義なことです。 コーポレート・ガバナンスの目的を大きく捉えると、どのように企業価値を持続的に向上させるかという一点です。そのため企業は、社外役員の視点も取り入れながら、リスクと機会追求をうまくバランスさせることが最も重要だと私は思います。

CHAPTER 02

社外役員の声を受け止める企業文化

立岡

三菱商事が関与する産業は多岐にわたり、ビジネスモデルもさまざまで、全てを理解するには難しい企業ではありますが、三菱商事におけるここ数年のガバナンス改革の中で、社外役員の理解を助ける情報提供は年々、充実しています。取締役会の事前説明が充実していることに始まり、監査役とグループCEOといった執行側との対話に社外取締役が同席できること、企業風土や社員の意識を感じ取れる中堅・若手社員との交流があることなど、私たちの判断材料を提供する機会が非常に多いです。その上で、私が述べた意見に対しても、しっかりと議論を尽くしてくれます。社外役員の声を受け止める度量や、懐の深さが企業文化として根付いているのかもしれません。それは、ガバナンスの観点から見て、大事なポイントだと思います。

佐藤

監査役の視点からしても、取締役会はかなり自由に発言できる雰囲気ではありますし、要求した情報は非常に速やかに提出されます。執行側に聞く耳があり、オープンマインドで社外役員に接していると思います。

立岡

一昨年、昨年に続き、取締役会の実効性評価は、社外役員が取りまとめを担当しましたが、2021年3月期の実効性評価は佐藤さんと私で取りまとめました。このような役目を社外役員に任せる姿勢などもその表れだと思います。独立社外役員会議などでも、情報交換をする中で出てきた幾つかのテーマについて、取締役会で議論されることもありました。

佐藤

今年の重要なテーマとしては、2022年3月期に最終年度を迎える「中期経営戦略2021」の振り返りです。業務執行報告による中期経営戦略の主要項目の進捗確認等も通じて、内外環境を踏まえた今後の課題を取締役会として共有することが重要だと思います。

立岡

そうですね。「中期経営戦略2021」の振り返りは大きなテーマとなりますが、振り返りにとどまらず、次の時代に向けての課題を共通認識化していくことが重要です。これまで全社で進めてきた改革をどのようにチューニングしていくかという課題は残っていると思います。DXやEXを最重要課題として取り組んでいますが、その先の将来像を示し、次に進めていくことが必要でしょう。

CHAPTER 03

中長期的な視点で絶えず変革

立岡

私が就任してからの3年間を振り返ると、コーポレート・ガバナンスが改善されてきたことは明らかで、非常に評価しています。モニタリング機能の強化を標榜し、現状の体質に合った最適な運営・執行をしています。具体的には、取締役会の付議基準を上げ、それまで個別の投資案件が大半を占めていた審議事項について、DX・EX、財務・非財務のリスク管理、サステナビリティといった全社経営の観点での重要テーマに時間が割かれるようになりました。しかも事前説明を充実させたことで、取締役会はすぐに本質的な議論が開始できる状態です。ガバナンス・指名・報酬委員会でも言いたいことは全部引き出してもらった上で議論しており、報酬に関しても詳細な情報が開示されるなど、公平で透明なプロセスでしっかりと運営されています。かつては、取締役会で一本一本の木の植え方や育ち方を審議していたものが、もう少し大きな木と森全体についての審議に移ってきているのが、ハイブリッド型の要諦だと思います。執行に全部お任せで、後は人事と戦略だけ監督するということにはしない、このハイブリッドのスタイルがこの会社には合っていると思っています。しかし、外的環境は今まで以上のスピードで変わっていますから、三菱商事のコーポレート・ガバナンスも絶えず変革していくことが重要です。

佐藤

私は就任して1年になりますが、三菱商事としての取締役会での審議事項の設定の考え方は適切と考える一方、大変革の時期に何を議論していくかについて、さらに拡充できる部分はあると感じます。DX・EXを通じた資産の入れ替えやそのロードマップ、株主・投資家目線での株主還元や資本政策に関するさらなる議論の深化にも今後期待したいと思います。また、今後の最適なガバナンスの在り方についても、その時々の会社の状況や外部環境も踏まえ、継続的に議論していきたいと思います。

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