三菱商事

特集:三菱商事の価値創造(DX)

三菱商事の産業DX

産業DXの目指す姿

三菱商事は“川上・川中・川下”と呼ばれるサプライチェーン全体にわたり、多種多様な産業で事業活動を行っており、現在ではほとんどの産業のお客さまとの接点を有しています。また、当社では約1,700社にも及ぶ連結対象会社の収益により成り立っており、事業会社各社がビジネスの主役となっています。そのため、当社が掲げる産業DXは、当社のDXだけでなく、各産業のプレーヤーが主体的に推進するDXを支援し、産業全体に広げていく必要があります。あらゆる産業に対してDX促進に向けたソリューションを提供する共通のデジタルプラットフォームを構築し、産業全体の発展と社会課題の解決に貢献することが当社の目指す姿です。

多様な産業のビジネスモデルを変革する
DX推進体制

産業DXでは、多岐にわたる産業知見に、デジタル技術を掛け合わせることで新たな価値の提供を図ります。総合商社であっても競争力を高めるためにはコアとなる技術力は必要です。そのため当社はDX推進に必要な機能の内製化に向けてエムシーデジタル(株)を2019年9月に設立し、トップクラスのデータサイエンティスト、デザイナー、ITエンジニアを集め、産業DXを推進するための施策を進めています。

2019年12月に業務提携を行ったNTTとは、当社の強みである産業知見と、デジタル知見を融合させて新しい価値の創出を目指しています。2020年5月には世界最大手の位置情報サービス会社であるHERE Technologies社にNTTと共同で出資しました。

また、2021年6月には、DXサービスを提供する(株)インダストリー・ワンをNTTと共に設立しました。同社は、日本の産業や企業の成長を支える変革実行パートナーとして、DXのプラットフォーム構築からデジタルビジネスの創造までを一気通貫で提供していくことを目指しています。

社会課題を解決する産業DX── 食品流通DXプラットフォームの構築

食品流通分野への貢献と新たな価値提供

常務執行役員
コンシューマー産業グループCEO
菊地 清貴

当社は半世紀以上にわたって食品流通業界で事業展開し、現在も数千社の仕入先・取引先とビジネスを共にしており、かねてよりパートナーの皆さまと、プラットフォーム構築のための自己変革とデジタル化の準備を進めてきました。現在の食品流通を取り巻く環境は、食品ロスや労働人口減少など多様な社会課題が存在します。食品流通分野における課題の一つとして挙げられるのが、年間約1兆円規模ともいわれる日本における食品ロスの問題です。これは主に流通プロセスで発生しており、作り過ぎや余剰在庫を抱えて賞味期限が切れることなどが原因となっています。

この課題に対して、例えば、生活者に最も近い小売りのPOSデータ等を食品卸とメーカーが活用することで、精巧な需要予測につながり、食品ロス削減や食品配送の効率化を実現することが期待できます。

当社はNTTと共に、企業内や企業間で散在するデータや気象予測等の外部データをデジタル技術でシームレスに連携するプラットフォームを構築しました。このプラットフォームを基盤として、エムシーデジタル(株)と共に独自の需要予測AIを開発しており、三菱食品(株)との実証実験では、物流センターの在庫を平均約3割(一部カテゴリーでは最大4割)削減すると同時に、欠品率も総じて低下させることに成功しています。

まずは、三菱食品(株)が運営する(株)ローソン向け物流センターに提供し、その後、三菱食品(株)と共に他の企業にも順次展開し、食品ロスや配送に伴うCO2の削減、人手不足等の社会・環境問題の解決に貢献し、「経済価値」「社会価値」「環境価値」の三価値同時実現を目指します。

今後は東芝テック(株)や富士通(株)などの外部パートナーの皆さまとの連携に加え、当社・NTT・(株)インダストリー・ワンは、企業間のスマートコントラクトについて今年度に実証実験を開始する予定で、今後も食品流通業界だけでなく、日本の産業界全体のDXを促進するあらゆるサービスを拡充していきます。

DXによる食品流通の変革
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