三菱商事

特集:女性マネジメント対談

ダイバーシティマネジメントを推進し
組織力の向上を図っています
共に経営ポジションで活躍する2人が、これまでのキャリアを振り返り、
管理職としての心がけや後輩社員への思いを語りました
(注) 撮影時のみマスクを外し、撮影を実施しております。
江川 哲子
天然ガスグループ
ブルネイ天然ガス部 部長
仲 夕子
電力ソリューショングループ
電力DX推進室長 兼
電力・リテイルDXタスクフォース
CHAPTER 01

事業を通じて学び成長したこと

江川

これまでLNGプロジェクトの立ち上げ等に関わってきましたが、経歴の半分以上は北米や東南アジアといった海外で、文化や人々の価値観が異なる環境での仕事でした。中には文化的背景から女性の社会進出が進んでいない地域もあり、男性の上司にどこまで上申するかを推し量ることもありました。トライ・アンド・エラーを繰り返しながら、徹底的にコミュニケーションを行い、1対1で腹を割って話せる関係を構築していくことで、仕事のブレイクスルーが必要な時にも突破できる力が備わったように思います。

私は発電所のアセットマネジメントに長く携わってきました。振り返って苦労も喜びも思い出すことが多いのは、出向の経験です。立上期の会社でしたので、ラインの部長業務のみならず総務や経理等コーポレート機能の整備にも積極的に関わりました。特に苦労したのが人事採用ですね。まずは人事制度を整備し、そして採用後も多様な方々がいますので、社員間での衝突など人事労務上の課題もありました。全体に目配りし、組織が円滑に回るようにするのは大変でしたが、マネジメントならではのやりがいがありました。また新規事業提案も困難の連続でした。失敗提案の連続でくじけそうになりましたが、パートナー企業の課題をつかむべく打合せを繰り返し、チームメンバー・発電所スタッフとスキームを練り上げ、最終的にコスト削減と環境配慮を両立する形で新規事業に合意できたときは“チームで作り上げた”という大きな喜びがありました。それ以降、対面しているお客さまに新たな価値を提供することが自分たちに求められているのだと価値観にも変化がありました。

江川

一つのゴールに向けてチームワークを作りあげる経験からは、多くの学びがありますよね。私は、カナダのLNGプロジェクトの入札チームに参加した時のことが印象的です。真冬のカナダに急遽行く事になり、マイナス30℃の過酷な環境に4カ月滞在し、弁護士はじめ専門家を含む入札チームでのディール交渉を経て、多くの契約書を本店の協力を得ながらまとめ上げ、落札に漕ぎ着けました。この仕事に限った事ではないですが、出向先でのトラブル対応や売買の前線など、厳しい状況でも率直に考えを伝えてくれる上司に恵まれ、仕事への真摯な覚悟に触れながらここまで取り組んでこられたことは大きな財産となっています。

CHAPTER 02

組織を率いる立場として実践していること

組織を率いる立場として
実践していること

電力・リテイルDXタスクフォースではデータマッチングなどの新しい領域にも取り組んでおり、それを他グループ・組織のメンバーも含む「プロジェクトチーム」形式で柔軟に組織運営しています。その中で、チームに指針を示したうえで、それぞれのメンバーの得意不得意や特性を見極め、メンバーの自主性を尊重したマネジメントを心掛けています。面識がなかった人々と働くためにはお互いに理解し合う必要がありますので、時間をとってメンバーの話をきちんと聞くことが大事ですね。

江川

私は2021年3月までは出向先のライン長でしたが、若い組織であった出向先の体制に合わせて、自分がプレイングマネージャーとなるべき局面もあり、意図的に率先垂範しながら若手の育成も行ってきました。4月からはブルネイ天然ガス部の部長を拝命しましたので、マネジメントスタイルを変えて、基本的には2人のチームリーダーの実務取り仕切りを尊重し、判断の局面で必要な考察を差配しています。日本のお客さまに50年以上供給しているLNGプロジェクトを担当していますが、プロジェクトライフとしては第四コーナーに差し掛かっており、経済合理性、社会価値、環境価値を踏まえて今後の方針を判断していくことが、この時期にこの部を任された私の重要な役割と受け止めています。

メンター制度では、私が抱えていたマネジメントに関する悩みはメンターである執行役員もすでに経験されていることばかりで、誰しもが通る道だと知りほっとしましたし、ご自身の経験に基づいた有益な助言を頂くことができました。

江川

そうですね、異なる視座で助言を頂けたことは良い機会となりました。また、チャレンジしようとしていることを後押ししてもらえて自信につながりました。メンターからも、女性の管理職が何を考え仕事に向き合っているか分かったという話もありましたので、双方に気付きがあったのではないでしょうか。

*女性のキャリア形成を支援するために他部門の執行役員がメンターに就き、定期的に対話する制度

CHAPTER 03

後輩社員への思い

江川

入社した当時からすると、当社は大きく職場環境が変わったと思います。女性がキャリアを積む、育児と両立するに当たっても、必要な制度も整い選択肢が広がりました。女性側も、少し背伸びをしてでも、会社から与えられた機会に挑むことが自らの成長につながります。私はその考えで自分の部下には背中を押すようにしていますし、少しでも参考になるような姿勢を示すことを意識しています。多様な経験をすることでできるようになる判断があり、判断ができるようになれば、責任を負う準備が整います。後輩たちには、私が発信するメッセージが、男性か女性かということではなく、そうした経験とキャリアからできる判断や発言だと捉えてもらえると幸いに思います。

共働きでの育児や家族の介護など、実際は女性に限らず男性職員にもいろいろな事情があります。私自身が家庭の事情をあえて発信したり、男性社員に育児休職の取得を勧めるのも、今後、お互いがお互いの制約を尊重しつつ組織に貢献する意識が重要だと考えるからです。仕事と育児の両立も、メンバーとのオンタイムのコミュニケーションを大事にする、管理職として大事な判断に注力し後は周囲や部下に積極的に任せる、といったことにつながっており、むしろメリットがあると思っています。駐在に出ることや管理職になることを怖がらずに、前向きに挑戦していってほしいですね。

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