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あなたの心を奮い立たせた言葉は?

これがないと電気が止まります

松下 剛 三菱商事エネルギー株式会社
代表取締役社長
(2024年11月取材当時)

Q.
その言葉にまつわるエピソードは?

2005年の冬、原重油の販売担当をしていた時に、電力需要が急増し、電力会社の担当者から言われた言葉です。当時の電源は、水力、原発、石炭がベースで、次に天然ガス、他の電源でのトラブルや猛暑や寒波などで、急な電力需要増があった場合に最後は石油で不足分を補うという時代でした。
既に石油火力は減少傾向で、緊急調達、調達した石油の輸送は簡単ではありませんでした。物流事業者の協力を頂きながら、国内外の仲間と電力会社からの信頼に応えるべく、さまざまな工夫でチャレンジングな状況を乗り越えることができました。電力会社から「あの油がなかったら、本当に停電していた。ありがとう」という心からの感謝を頂き、安定供給の一端を担っていることを実感しました。20年たった今でも、その方々とはその時の話をつまみに、おいしいお酒が飲める関係を築いています。

Q.
現在の仕事のやりがいは?

人口減少、省エネ技術の進展、低炭素化・脱炭素化の流れなどを背景に、日本国内における石油需要は減退のトレンドにあります。しかし、合成燃料などの代替エネルギーの本格展開は、技術やコストの面を考えても、まだ時間がかかります。低炭素化に貢献するバイオ燃料などを取り扱いながら、国民生活を支えている石油の安定供給を引き続き果たしていかなければなりません。デジタル技術を用いた事業効率化で、サービスステーションや整備工場での労働力不足を解決する事業も進めています。
これまでも課題があるたびに、関係者の皆さんと最適な選択は何かを議論し、提案し、実践し、共に歩んできました。その信頼関係があるからこその三菱商事グループへの期待をひしひしと感じています。解決すべき課題は多々あるものの、期待に応えていくという緊張感を持ちつつ、次の世代にバトンをしっかりとつなぎ、事業や会社の未来をつくり成長させていく、そうした熱意を持った仲間と仕事ができる喜びを感じています。

Q.
次なる挑戦、どのような世界を実現したい?

人間が生活していく上で、エネルギーは欠かせません。世界的なエネルギー消費量の増加は避けられない中、誰もが安心して、安定的にエネルギーにアクセスできる快適な生活と、カーボンニュートラルの両立に向かって歩みを進めなければなりません。もちろん、この2つの両立はとてもチャレンジングですし、一朝一夕で実現するものではありませんが、こうした将来を見据えた挑戦ができるのは、三菱商事の良さだと思います。目の前の壁を一つずつ越えていくことにも、大きな意味があると思います。こうした風土を残してくれた先輩方に感謝しつつ、後輩にも受け継いでいきたいと思います。

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略歴

1994年入社(LNG事業本部 LNG事業第一部)。2000年にマレーシアのDiamond Gas Holdings Sdn. Bhd.へ出向し、約4年間天然ガス関連業務に従事。04年からは電力燃料ユニットへ異動し、石油関連ビジネスを担当。グループCEOオフィス、アジアの石油・天然ガス事業担当、エネルギー部門担当としてのロンドン駐在などを経て、20年にオーストラリア天然ガス部長に就任。23年から1年間、シンガポールのDiamond Gas International Pte. Ltd.にCEOとして出向した後、24年から現職。