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あなたの心を奮い立たせた言葉は?

全人格で勝負

永田 義典 食品産業グループ
穀物飼料部長
(2024年11月取材当時)

Q.
その言葉にまつわるエピソードは?

「最後は、全人格で勝負」、大先輩から教えられた言葉です。
論理的であることは重要。ただし、どんなにロジカルに論理立てて説得しても、それだけでは人を動かすことはできない。人が動くのは、論理と信頼と共感の3つがそろった時。その3つを発揮できるかどうかは、まさにそれまでの人生で積み重ねてきた全人格が試される、と教わりました。
今から15年弱前、海外であるM&Aの交渉を任され、何度も暗礁に乗り上げかけたギリギリの交渉の中で、定量・定性あらゆる面で論理的分析をして臨んでいました。その交渉の最終ステージで相手が重視していたことは、「お前と一緒に事業をしたいかどうか」「お前に事業を任せられると思えるかどうか」だったと、交渉が無事終わった後になって聞きました。
交渉や決断の時、それが大事であればあるほど、最後は自分自身の全人格が試される、と経験を重ねるほどにより強く感じます。

Q.
現在の仕事のやりがいは?

「世の中のこと、将来のことを軸に考えながら仕事ができること」、そして「その考えたことを自分たちの手で実行できること」でしょうか。
企業の存在意義とは、社会が求めるニーズを提供すること、さらには社会が抱える課題を解決することだと考えます。そして、そこにこそビジネスチャンスがあるのだと思います。
現在私は、部署のメンバーと共に、とうもろこしや小麦、大豆などを取り扱う食糧関連の仕事をしています。食糧分野は、世界的な人口増加などにより、中長期的に需給が逼迫する可能性があり、人類が将来にわたって食べ続けられるかが大きな課題となっています。今後何が起き、どのような社会ニーズが生まれるのか、それに応じて収益の源泉はどこに生じるのか。これらを考え、仮説・構想に基づいて、事業投資などを実行し、その投資した事業を経営していきます。
世の中の課題に対して、自ら考えたことを自らで実行することができる。やりがいであると同時に、その責任は大きなものがありますが、それもまたいい刺激です。

Q.
次なる挑戦、どのような世界を実現したい?

世の中は今後もますます変化していきます。さまざまな分野での技術革新や世界的な脱炭素潮流は、その変化を後押しし、これまでの産業の枠組みや業際を曖昧なものにしていくでしょう。
つまり、個々の産業の中でのゲームではなく、複数産業を跨いだ「総力戦」が求められます。だからこそ、幅広い産業との接地面を持つ三菱商事が果たすべき役割がますます重要になると思います。“コングロマリット・ディスカウント”ではなく、コングロマリットであるからこその“プレミアム”の世界が来るでしょう。
そうした時代においても、変わらず世の中から求められ続ける企業、その時代の社会課題に対峙できる企業でありたいですし、私自身もその一翼を担える人材でありたいと思います。

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略歴

2000年入社(食糧本部 飼料畜産部)。本社にて穀物関連ビジネスに従事した後、10年から米国の穀物事業会社Agrex Inc.に駐在。11年にはブラジルのAgrex do Brasil LTDA.へCEOとして赴任し、現地企業への出資・買収や経営を担う。ハーバード・ビジネス・スクールへの短期留学も経て、17年に三菱商事本社へ帰任し、経営企画部。20年から現職。