MCの「ヒト」を知る Know MC's People
- あなたの心を奮い立たせた言葉は?
-
相手の立場に立って考える

澤田 悠貴
食品産業グループ
水産本部 水産部
アトランド株式会社 (出向)
(2024年11月取材当時)
-
その言葉にまつわるエピソードは?
-
初めて担当商材の契約を決めた時のことです。上司に自信満々に報告したところ、「初成約おめでとう。ところで、相手は満足しているの?」とのコメントが。ハッとしたのを鮮明に覚えています。目の前の利益を追求するあまり、相手にとって良い契約かを考えることができていませんでした。
ビジネスを長続きさせるには、win-winになる仕組みをつくる必要があるという趣旨の言葉を頂いて以降、「まずは相手の気持ちに立って物事を考え、この提案、報告をしたら、相手はどう思うか」を自身に問い掛けてから発言するよう心掛けています。
新規事業の立ち上げでも同様です。ステークホルダーが何に悩み、三菱商事に何を期待しているのかを考え抜いた上で提案をするよう心掛けています。その結果、共通の目標を掲げ、私が現在手掛けている新規事業の立ち上げにつながりました。
相手の立場に立って考えることを忘れずに、全てのステークホルダーがwin-winになるビジネスの仕組みを考え続けたいと思います。
-
現在の仕事のやりがいは?
-
スーパーで水産物を手にするお客さまや、食卓で水産物を味わう家族の笑顔を見た時、今の仕事に携われて本当によかったと、やりがいを感じます。
食品産業は、世界の人口増加に伴う食糧需要に応えることが使命。日本人の食生活に当たり前に存在する水産物も、輸送時の環境負荷や燃料価格高騰による価格上昇、他国との競合などで、供給が不安定になる可能性もあります。
三菱商事は、水産物の安定的な生産体制構築に向け、2022年にサーモンを陸上で養殖する「アトランド株式会社」を設立。構想段階から関わり、会社設立と同時に出向しました。現在は生産開始に向け、施設設計、テスト養殖などの幅広い立ち上げ業務をプロジェクトマネージャーとして担っています。
さまざまなバックグラウンドを持つ仲間と共に、アトランド(株)のスローガン「自然と人にやさしく、おいしい魚をいつまでも」を実現するにはどうしたらよいか、設計図を前に議論を重ねる日々です。
この会社・事業を通じて、自分たち、その先の世代まで、皆を笑顔にできるビジネスを目指していきます。
-
次なる挑戦、どのような世界を実現したい?
-
グリーンでスマートな養殖の実現を通じて、日本の養殖業に新たな価値を創出し、それを世界に発信していきたいです。
アトランド(株)では、サーモンの地産地消によるGHG削減に加え、海洋深層水を冷却媒体として使用することで使用電力を削減し、環境負荷を抑えるグリーン養殖の実現を目指しています。また、養殖を通じて得られる魚の育成や水質データを活用して、生産効率を最大化するスマート養殖の実現にも取り組んでいます。
陸上養殖はデジタル技術との相性が良く、養殖環境を仮想空間で再現するデジタルツインにAIの技術を掛け合わせることで、魚を触らずとも養殖環境の最適解を導き出すことが可能になると考えています。
日本の養殖技術は、40年ほど前までは世界の最先端を走っていましたが、現在は海外勢がリードしています。私はこの事業を通じて、世界でも最先端の養殖技術・人材を日本で育み、発信し、海外勢と共に技術を高め合うことで、世界の養殖業をさらに魅力的な事業にしていきたいです。そして、生産されたサーモンを輸出・販売していくことで、より多くの人々がおいしい魚を食べることができる未来を目指します。
略歴
2015年入社(生活原料本部 水産部)。マグロ、カツオのトレーディングに従事後、19年からアラブ首長国連邦の畜産加工・販売会社へ研修生として1年間出向。20年に本社へ帰任し水産部にて部内の事業構想を担当、22年からサーモンの陸上養殖事業会社へプロジェクトマネージャーとして出向。