MCの「ヒト」を知る Know MC's People
- あなたの心を奮い立たせた言葉は?
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ディフェンスは味方を信じるな、アタックは味方を信じろ

小長谷 征矢
Kaluza Japan株式会社
代表取締役CEO
(2024年11月取材当時)
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その言葉にまつわるエピソードは?
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英国の洋上風力案件にFinance Managerとして派遣され、初めてのバックオフィス業務で、どうすべきか考えている時に思い出したのが、高校時代のラグビー部監督から言われたこの言葉です。ミッションは予算内での完工でしたが、ブレグジットやコロナ禍の影響で、工期遅延や電力需要減少に伴う完工前収入の減少が発生。その後も、度重なる追加コストや第三者事由による工期遅延など、畳み掛けるように問題が起きました。バックオフィスの責任者として、好転は一切期待せず、最悪のケースに備えました。営業を歩んできた身としては、自分が直接関与して好転させたいとの思いもありましたが、仲間を信じ、自分はとにかく融資してくれた銀行の方々を安心させ、仲間が目の前の課題に集中できる環境づくりに専念しました。最終的に予算内、工期通りの完工を達成した時は、本当に感無量でした。
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現在の仕事のやりがいは?
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大きく3つあります。1つ目は、0から1を生み出すことです。三菱商事でのさまざまな経験を通じて、自分が最もやりがいを感じるのは、正解がない中で新しい事業・価値を創造していくことだと気付きました。EVを活用したエネルギーマネジメント事業はまさにこれです。2つ目は、会社経営。入社以来ずっと営業でしたが、英国駐在時にCFOとして経営に携わる機会を得て、経営への関心が高まりました。まだまだ駆け出しで、周囲に助けられてばかりですが、一歩ずつ成長していきたいと考えています。3つ目は、さまざまな国籍の人と働くことです。CEOを務める現在の会社は、10人ほどの小さな会社ですが、6カ国の人たちが働いています。考え方や価値観が違っても、お互いをリスペクトしながら共通の目標に向かって進んでいくことは、チャレンジングであると同時に、大きなやりがいも感じます。
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次なる挑戦、どのような世界を実現したい?
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全世界・全産業において、低・脱炭素化の潮流は不可逆的な流れです。世界的に見れば、人口増加、電化、AIやデータセンターの普及などにより、電力需要は今後も伸びることが予想され、電力の脱炭素化は重要なテーマです。再生可能エネルギーは一つの解ですが、発電量が天候に左右されるため、電力需給の調整が不可欠です。これにはさまざまな方法がありますが、EVの活用もその一つです。約90%の自家用車は駐車場に止まっているといわれています。今後普及するEVの約90%を電力網に接続することで、電力不足を補ったり、余剰電力を蓄えたりできれば、電力業界の脱炭素化に貢献できます。私は、エネルギー、モビリティ、そしてサービスやデータを融合させることで、電動化と脱炭素化を両立する新たな事業を創造していきたいと考えています。電力の供給やサービスの形態は今後大きく変わり、駐車料金を電気で払う時代がやってくるかもしれません。その一端を担えることにワクワクします。
略歴
2011年入社(新エネルギー・電力事業本部 新エネルギー電力事業ユニット)。電力関連ビジネスに従事した後、15年から1年間、チリに研修生として派遣。16年に帰国し、環境エネルギー事業部で3年間勤務した後、19年から英国の洋上風力事業を手掛ける事業会社Moray Offshore Windfarm (East) Limitedに出向(21年からはCFO)、22年からは同じ英国でAIを活用した分散型エネルギー事業を手掛けるKaluza Limitedへ出向。2年間の勤務を経て、24年から現職。