生物多様性 : 外部との協働
外部との協働
RTRSへの参加状況
当社子会社のAgrex do Brasil社は、責任ある大豆に関する円卓会議(Round Table on Responsible Soy Association:RTRS)認証生産者として、RTRS認証基準を受けた約19,000haの農地で大豆の生産・販売を行っています。同社は、ブラジルのマラニョン州の農地でブラジルで初めてRTRS認証を取得しました。RTRS認証取得などの活動を通じて、同社は、土壌管理・保護の効率化、水管理の改善、従業員のモチベーション向上、近隣コミュニティとの関係強化などのさまざまな取り組みを行っています。

大豆モラトリアム(Moratoria da Soja)の遵守
当社子会社のAgrex do Brasil社は、業界ガイドラインである大豆モラトリアム(Moratoria da Soja)を遵守し、アマゾン地域において2008年7月以降に森林を切り拓いた土地で生産された大豆の取引を禁止しています。毎年、業界団体(ABIOVE/ANEC)および市民社会の代表を含むワーキンググループが選定した第三者機関による監査を受け、同ガイドラインの遵守状況について確認を行っています。
CDPへの回答
当社は世界中のさまざまなステークホルダーに対して、ESGに関する取り組みについて積極的に情報発信することに努めています。CDPは世界中の機関投資家などの要請を受けて、企業の環境情報開示を促進する活動を実施し、気候変動対策などの環境情報に関して世界最大のデータベースを保有する英国ベースの国際環境NGOで、当社は2014年度から、企業のサプライチェーン上の森林マネジメントを評価するCDP Forestsの質問書に回答しています。
Cermaq社における取り組み
当社子会社のCermaq社は、事業を展開している全ての国で、生物多様性の保全を重要な取り組みとして位置付けています。天然サーモンが生息する全ての地域において、地元の関係者と協力しながら生態系の保全に努めている他、事業を展開する国の法令やASC※認証で定められている基準に沿って、養殖海域のゴミの除去や鳥や海獣の死亡数調査などを行っています。また、当社はゴミの発生源にかかわらず、事業を行っている地域の海岸清掃を実施しています。飼料調達方針として、IUU(違法、無報告、無規制)漁業に由来する魚粉や魚油を使用しないことを定めています。
※ 水産養殖管理協議会(Aquaculture Stewardship Council:ASC)

- 同社が参加する他イニシアティブに関しては、
- 顧客責任セクション
- をご覧ください。
- 認証関連データについては、以下リンク先をご参照ください。
- ESGデータ[Excel:142KB]
政府当局との協働事例
森林保全プロジェクト:「三菱商事 千年の森」
当社は、三菱グループの創業者・岩崎 彌太郎の生誕地である高知県安芸市において、2009年より国内における環境保全を目的に、高知県、安芸市、高知東部森林組合と森林保全協定を締結し、協働による森造り事業を実施しています。これは、当社として、国内では初の森林保全の取り組みとなり、社有林143haを含めた263haを「三菱商事 千年の森」(通称:彌太郎の森)と名付け、水源涵養等の公益機能増進のための森林保全活動を実施するとともに、当社社員によるボランティア活動や環境教育の場として利用しています。

また、当社は2020年3月に四国森林管理局および安芸市、高知東部森林組合と協定を締結し、彌太郎の森別役地区において四国森林管理局が定める「緑の回廊」※1設定方針に準じた管理を導入することで合意し、生物多様性の保全に努めています。
これら保全活動が評価された結果、彌太郎の森の一部※2が、2024年3月に環境省により自然共生サイト※3に認定されました。
- ※1四国の国有林では保護林という制度で貴重な動植物や森林を保護してきましたが、こうした保護林と保護林をつなぐ「緑の回廊」を設定し、動植物が広く行き来できるようにすることにより、生物多様性を保全する働きを期待するもの。
- ※2千年の森として263haある森林面積のうち、今回当社と安芸市が共同で認定を受けた自然共生サイトは「四国山地の回廊」と接続する212ha。
- ※3自然共生サイトとは、民間の取り組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域を目標の達成のために国が認定するもの。
国際機関・NGOとの協働事例
サンゴ礁保全プロジェクト(沖縄・豪州)
2005年度より、世界のサンゴ礁を保全し、サンゴ礁危機の原因や影響を究明する活動「サンゴ礁保全プロジェクト」に取り組んでいます。このプロジェクトでは、産(当社)・学(大学)・民(NGOなど)が連携し、研究活動を行うとともに、社内外から募集したボランティアが環境問題について理解を深めてもらうプログラムも実施しています。

NCS
自然の力を活用した気候変動対策(Natural Climate Solutions:NCS)を2022年より社会貢献活動の一貫として開始しました。NCSにはさまざまな手法がありますが、当社が注目したのは、放牧地や森林の劣化・減少を防ぎ、植物によるCO2の吸収を保全しつつ、土壌や植物に貯留されるCO2が大気中に放出されることを防ぐ手法です。対象地は南アフリカ。
急速に人口が増加する南アフリカのダーバン近郊。同地では人口増に伴う放牧の増加で草や低木で構成される放牧地が減少し始めており、CO2吸収量の低下と、土壌に蓄えられたCO2の放出が懸念されています。本プロジェクトでは、環境NGO コンサベーション・インターナショナルと協業し、地域コミュニティの協力を得ながら、放牧地の保全に取り組みます。併せて、牧畜業の質向上や水資源の保全を通した、地域住民の生活レベル向上も狙いとしています。
今後は様々なNCSプロジェクトへの参画を通じて、気候変動対策と同時に、地域社会への支援と、生物多様性の保全への寄与も 目指しています。

財団の取り組み
当社では、米州の社会問題の解決や欧州・アフリカ・中東地域の環境保全や社会問題の解決を目的にしている三菱商事米州財団(Mitsubishi Corporation Foundation for the Americas:MCFA)および三菱商事欧州アフリカ中東財団(Mitsubishi Corporation Fund for Europe and Africa:MCF for EMEA)を通じて、環境保全活動や環境に関する教育研究、貧困問題への取り組みを支援しています。コーヒー生産農家に対する持続可能なコーヒー豆生産の啓発活動を通じてエチオピアのベールエコ地域で生物多様性保全に取り組むFarm Africaやカナダでカリブーの保護活動を行うYellowstone to Yukon Conservation Initiativeなど、多岐にわたるパートナー組織を通じて支援しています。

他企業との協働事例
当社は、2015年4月に(一社)企業と生物多様性イニシアティブ(Japan Business Initiative for Biodiversity:JBIB※4)の会員となりました。JBIBは、生物多様性の保全に貢献することを目的に、共同研究の実施など積極的に行動する企業の集まりです。JBIBでは、日々の事業活動において生物多様性に配慮を行い、事業が自然環境に与える負荷軽減を通じて生物多様性の保全に貢献することを追求しています。今後、会員企業とのコミュニケーションなどを通じて、生物多様性の保全に対する取り組みの一層の深化にチャレンジします。
- ※4生物多様性の保全を目的として活動する日本の企業団体。