水資源 : 取り組み

取り組み

水利用改善の取り組み

Los Bronces銅鉱山

銅鉱山事業は多量の水が必要になる事業であるため、各鉱山の操業プロセスにおいて水使用効率を最大化すべく技術導入を推進し、新規取水量の削減を図る取り組みを行っています。Anglo American社と共に推進するLos Bronces銅鉱山事業(チリ首都州に所在)では、生産工程で使用する水のおよそ80%を鉱山内で再利用しています。また、尾鉱からの水分抽出・再利用率を高める取り組みや、第三者から調達した産業排水や処理済下水の利活用等の施策も進めています。さらに今般、長期安定的な操業用水の確保に向け、2026年からの海淡水調達契約を締結しており、凡そ35,000名が居住する周辺コミュニティへの給水も予定しています。

水使用量削減の取り組み

Escondida銅鉱山

当社の主要投資先の一つであるEscondida銅鉱山は、チリ北部の土漠地帯に位置する世界最大の生産量を誇る銅鉱山です。Escondida銅鉱山では、選鉱プロセスなどで利用する水の使用量を節水や再利用などを通じて削減するとともに、これまでに約40億米ドルを投じた世界最大規模の処理・送水能力を有する海水淡水化プラントの建設により、2019年末以降は地下水から取水せずに水所要量を全量賄っています。近年チリでは渇水に伴う水不足が課題となる中、今後も環境保護や地域社会共生に注力しつつ、事業を推進していきます。

Los Pelambres銅鉱山

当社の投資先の一つであるLos Pelambres銅鉱山は、チリ中央部の山岳地帯に位置する大規模銅鉱山です。Los Pelambres銅鉱山では、選鉱プロセス等に於ける節水・水再利用の促進に加え、海水淡水化プラントを2023年より稼働させ、水資源の保全に取り組んでいます。また、現状400lpsとなる同プラントの海水処理量を2027年までに倍の800lpsへ拡張する計画であり、更なる新規外部取水の低減を図ります。渇水に伴う水不足が課題となっているチリに於いて、今後も環境保護・地域社会共生に注力しつつ、操業用水確保を通じた中長期的な安定供給の実現に努めます。

Escondida銅鉱山

東洋冷蔵(株)

当社子会社の東洋冷蔵(株)では、生産過程で用いる水資源について、使用量を削減するとともに、汚濁物質が外部に流出しないよう予防措置を取ることを環境方針に掲げ、単年度・中期の水資源使用量の削減目標を設定し、削減活動に取り組んでいます。具体的には、水使用量の大きい工場および関連設備において、使用量や排出量を集計し、毎月評価見直しを行い、節水につなげ、環境負荷の低減を目指しています。また、水使用量削減の取り組み以外にも、CO2や廃棄物排出量の削減、食品廃棄物などの再生利用など実施率においても目標設定を行い、PDCAサイクルを通じた継続的改善に努めています。

東洋冷蔵(株)

Olam社

当社関連会社のOlamは、The UN CEO Water Mandate(水・衛生及び持続可能な開発目標に関し、企業の参画を支援する国連グローバル・コンパクトのイニシアチブ)に署名しており、水リスクを緩和し、理解・管理するための方針作りに努めています。

具体的な削減の取り組み事例としては、2022年に豪州・米国のアーモンド農園に対する「2030年までの水使用量の削減目標」を導入し、農園全体での水使用の効率化に向けた土壌・植物の湿度モニタリングや、75%の湿地および塩害地の改善などを目指しています。また、ベトナムのインスタントコーヒー加工工場においても、逆浸透膜システムを導入し、加工工程で除去される水分を回収し再利用するなど、水効率改善に向けた対策や設備投資を継続実施しています。​水質管理に関しても、2023年にガボンのパーム農園において、水質の管理を徹底し、近隣の河川への交差汚染が起きない様、第三者による検査を継続的に実施しています。

加えて、2022年には、米国農務省森林局・米国森林財団・ユニリーバ社と、水資源の保全および深刻な山火事の危険性を軽減するために、米国カリフォルニア州のパインフラッツ流域内における森林の回復力や保水力の向上に焦点を当てた取り組みにおいて提携しました。本取り組みにより、年間約25億リットルの水資源の回復及び8万トンの二酸化炭素の削減が期待されています。

  • Almond
  • Onion

水ストレス地域での取り組み

海水淡水化プロジェクト

当社は、チリのアタカマ砂漠や中東カタールといった渇水地域において、海水淡水化プロジェクトを行い、各地域の水ストレス軽減に貢献しています。例えば、深刻な地下水位の低下に直面し、地域住民や農業への配慮から地下水の代替水源が求められているチリ北部において、海水淡水化プラントで造水した淡水を鉱山、農地などに安定的に供給しています。また、経済発展と人口増に伴う水需要を満たすために、カタール電力・水公社に対して25年にわたって2520MWの発電および90万トン/日(同国造水量の約35%)の給水をする発電・造水事業を展開し、カタール政府と協働してカタールの発展に貢献しています。

カタール UmmAlHoulPower
カタール Umm Al Houl Power

事業を通じた取り組み

生活水準の向上に伴い一部の地域では水不足が深刻化しています。衛生的な水を安定供給していく水事業は、人類の生存や都市の存続にとって不可欠となっています。当社は、事業を通じて水に関連するインフラ整備、水問題の解決に資する総合水事業などを展開し、水に関する課題の解決に貢献しています。

水ing(株)

当社関連会社の水ing(株)は、上下水道施設の設計・施工や運転・維持管理サービスの提供などの国内水道事業に取り組んでいます。具体的には、兵庫県神戸市の東灘下水処理場にて発生する下水汚泥から、肥料の原料となるリンを回収する事業を推進し、地産地消/循環型の仕組みによる資源の有効活用を図っています(令和2年度国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」イノベーション部門受賞)。また、富山県黒部市で下水道バイオマスエネルギー利活用施設のPFI事業を推進し、資金調達から設計・建設・維持管理・運営までを担っています。下水汚泥をコーヒーかすと混ぜ合わせ、バイオガスを取り出し、発電や汚泥の乾燥処理に活用する他、乾燥汚泥は石炭の代替燃料や肥料原料として有効利用しています(平成23年度国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」サスティナブル活動部門受賞)。

黒部市下水道バイオマスエネルギー利活用施設
黒部市下水道バイオマスエネルギー利活用施設

同社は、これまで英国、日本、豪州、フィリピン、チリ、およびアジア・中東・アフリカ諸国で水事業の実績を重ねてきました。これからも民間資金や民間技術を活用することで、より効率的な運営と質の高い水道サービスの提供を行うとともに、水不足や水インフラ整備の遅れなどの解消に向け、地域に適切な水ソリューションを提供して、人々の生活環境向上と地域環境の保全を実現していきます。