コンプライアンス : 取り組み
取り組み
腐敗防止のための取り組み
当社は、国内外の公務員など(みなし公務員などを含む)に対する不正な利益供与を防ぎ、また外部から疑惑や不信を招かぬよう、「不正な利益供与の禁止に関する基準」を制定し、本邦の刑法・不正競争防止法、米国の海外腐敗防止法、英国の贈収賄防止法など各国の贈収賄禁止法令の遵守に対応しています。三菱商事役職員行動規範では、贈収賄、利益相反およびその他の不正行為の定義と遵守事項を定め、各遵守事項に関し具体的に細則で補足しています。なお、高リスクと評価された贈収賄リスクはありません。
また、公務員などに対する接待・贈答、代理店起用、公務員などの親族の職場体験研修受け入れ、および政府・公務員などに関する寄附について、それぞれ社内規程を整備し、不正な利益供与防止の観点から事前に内容を精査する仕組みを設けています。さらに、当社の事業パートナーなどの贈収賄防止のための適格性を精査するガイドラインも導入しました。当社では、各国当局の動向や摘発事例、他社の取り組みなどを踏まえ、社内規程の変更・体制の見直しを継続的に行っています。
2016年には、より効果的な体制構築を目指し、汚職・腐敗防止の取り組み体制全般について外部の専門家による第三者評価を行いました。その評価・提言を生かし、さらなる汚職・腐敗防止のための仕組みの改善・運用に尽力しています。また、同じく2016年には、贈収賄をはじめとする腐敗行為の防止に関する正しい知識を浸透させるべく、主要国における贈収賄・腐敗防止関連規制および近年の摘発事例、ならびに当社における贈収賄・腐敗防止のための取り組みをまとめた「贈収賄防止ハンドブック」を作成、当社グループに配付しています。
2019年には、取引の類型や規模、関連する国の腐敗リスクの高低に応じて濃淡管理を実施し、リスクベース・アプローチに基づき連結ベースで贈収賄防止体制を構築するため、関連ガイドラインの改定を実施しました。これら規程・ガイドラインの実施により、コンプライアンス違反を抑止し、利害関係のある公務員などへの接触を禁止するなど、非倫理的な機会への接触を減らすように努めています。
2023年度、当社グループにおいて、贈収賄、腐敗行為に関わる重大な問題は発生していません。
代理店など中間業者の起用管理に関する取り組み
当社の役職員はもちろんのこと、当社が起用する代理店、エージェント、コンサルタントなど(以下「代理店など」)による汚職・腐敗行為を防止するために、以下の事項を社内規程で定め、適格と考えられる代理店などをコンプライアンス・オフィサーによる承認の下で起用することを義務付けています。2019年から社内手続きを役務の性質、案件の規模や目的、実施国の腐敗指数などのリスクの度合いにより濃淡をつけたものに改定し、その後も2023年度には、特に手続に使用する書面やプロセス自体(形式面)の見直しを行うなど、毎年見直しを実施しています。
- 委託業務の性質を切り口に3つの区分を設け、代理店精査の濃淡管理を行う。
- 代理店などの起用の際には、その適格性の判断のため、起用目的に係る取引や業務に影響を与え得る公務員などと代理店などが関係性を持っていないこと、代理店などの過去のコンプライアンス状況を含む廉潔性、適正な資格保有の有無、業務遂行能力などの精査を行うこと。
- 代理店などが提供する役務に対する対価の妥当性を十分に検討し、確認すること。
- 代理店などによる公務員などに対する不正な利益供与防止などを契約内容に盛り込むとともに、代理店などに「三菱商事グループ贈収賄防止指針」の周知を図ること。
三菱商事グループ贈収賄防止指針
お取引先などにも当社の贈収賄・腐敗防止に対する基本的な考え方をお伝えするべく、2015年に「三菱商事贈収賄防止指針」を公表しました。この指針では、「三菱商事のお約束」として当社の方針・取り組みをお伝えするとともに、全てのお取引先の皆様に贈収賄防止の取り組みへのご協力をお願いしています。当社グループ全体としての贈収賄防止に向けた取り組みをさらに強化するため、2019年4月に対象を、当社グループ全体に拡大し、新たに「三菱商事グループ贈収賄防止指針」を公表しました。当社グループのお約束だけでなく、ビジネスパートナーおよび取引先(サプライヤーを含む)の皆様への贈収賄の禁止、贈収賄防止の周知徹底、違反懸念時の調査へのご協力を要請しています。
腐敗行為に関する摘発事例
2023年度、当社で腐敗行為に関する摘発事例はなく、これによる罰金・課徴金などの支払いもありません。
内部通報制度
当社では、職場での不正やハラスメント、法令違反、汚職・腐敗防止を含むあらゆるコンプライアンス関連の疑問や問題などについての相談窓口として、「コンプライアンス目安箱」というコンプライアンス委員会事務局直通の内部通報窓口を設けています。また、監査部や監査等委員への通報ルートも設置しています。さらに、匿名を希望する役職員のために、社外の弁護士による相談窓口(社外弁護士目安箱)も用意しています。弁護士は、通報者に対して在籍確認を行いますが、本人が了承しない限りは氏名や所属を伏せてコンプライアンス委員会事務局に連絡することになっています。この他、国内の子会社役職員が利用できる「三菱商事グループ弁護士目安箱」や、フリーランス法に基づく相談対応体制も用意しています。さらに、独禁法・贈収賄規制違反を対象とした、連結・グローバルベースの内部通報制度「LUKS」(24時間365日多言語対応(日本語、英語、フランス語、スペイン語、中国語、タイ語、インドネシア語他))も設置しています。
当社の社内規程には、通報者および通報内容の秘密保持、通報者の権利保護、通報者の不利益取扱いの禁止、これらに違反した場合は懲戒の対象になり得る旨を明記し、対応に当たっては利益相反関係排除を実践しています。また、日本における公益通報者保護法を含む各国の通報者保護に関する法律を遵守する体制を整備しています。
コンプライアンス委員会事務局は、通報内容の連絡を受けた後、関係者を限定して情報を共有、問題の確認などの対応を行います。通報事案の調査や対応に従事する担当者について、毎年外部講師を招いて通報事案の対応方法や留意点などについて研修を実施しています。当社は、上述のとおり複数の相談窓口を設定していますが、2020年度は内部相談体制の整備状況と相談対応の適正性について外部の第三者による評価を実施しました。また、2022年度には公益通報者保護法の改正に伴い、内部通報に関する基準を改訂し、通報事案の調査や対応に従事する担当者を対象に対応マニュアルを配付し、また国内の全役職員を対象に動画研修を実施するなど、体制を継続的に点検しています。
なお、ハラスメントに関するマネージャー研修については、部長やチームリーダーを対象とした社内研修を実施しています。ハラスメントについて事例の紹介を通じて防止に努めています。①役職員行動規範にハラスメントの禁止を明記、②ハラスメント防止に関する基本方針やパンフレット策定、③コンプライアンス相談窓口・人事部内の相談窓口設置、などについても周知しています。
2023年度において、当社グループの経営に重大な影響を及ぼすような通報事案はありませんでした。
通報受付件数(当社グループ企業に関する通報含む)
2023年度の通報受付件数は当社グループ企業に関する通報を含め計60件、そのうちハラスメントに関する通報は31件、その他に関する通報(労務管理など)は29件でした。
なお、2023年度において当社グループの経営に重大な影響を及ぼすような通報事案はありませんでした。
通報受付件数の推移については以下リンク先をご参照ください。
取締役による監督
毎年、役職員行動規範を含む関連社内規程の整備、各種研修の実施状況、腐敗防止の取り組みなどを含むコンプライアンス施策、違反事案の状況、および当該決算期のコンプライアンス活動方針について取締役会の監督を受けています。また、年に2回、社外取締役や社外監査等委員にもコンプライアンス活動報告を行い、社外の視点を踏まえたより実効的な監督を受けられるようにしています。
PDF冊子「三菱商事のコンプライアンス」
当社のコンプライアンスについてまとめたPDF冊子「三菱商事のコンプライアンス」も作成していますので、ご参照ください。