コンプライアンス : 体制・システム

体制

違反に対する調査・対応体制

コンプライアンス体制

当社では、コンプライアンス委員会とコンプライアンス・オフィサー制度が、コンプライアンス施策を実践する上で重要な役割を担っています。コンプライアンス委員会は、チーフ・コンプライアンス・オフィサーの諮問機関であり、当社グループで発生した重大なコンプライアンス事案を報告・討議し、施策の調整・連絡などにつなげています。同委員会は、社長から任命されたチーフ・コンプライアンス・オフィサーが主催し、原則として1年に2回開催されます。コンプライアンス委員会で報告・討議された内容は、1年に1回社長室会および取締役会にて報告されます。


チーフ・コンプライアンス・オフィサーは、当社のコンプライアンス全般に係る事項を管掌し、コンプライアンスに関する各種施策の立案および実施の責務を負っています。この他、業務に関してコンプライアンス違反、またはそのおそれがある場合、必要な調査を行い、当該業務に対して中止・改善命令をくだす権限を持っています。この他に、本店各部門・営業グループにおいても、それぞれコンプライアンス・オフィサーを配置し、同様の権限をもって、それぞれの部門・グループの特性に応じたコンプライアンス施策を実施しています。このように当社では、チーフ・コンプライアンス・オフィサーのもと、経営幹部である各コンプライアンス・オフィサーが、各種施策および再発防止策を実施し、企業倫理の向上とともに贈収賄・汚職の防止に責任を持って取り組んでいます。

コンプライアンス体制図
コンプライアンス体制図

個別事案への対応体制

コンプライアンスに抵触する何らかの問題が発生した場合、またはそのおそれがある場合、問題を認識した役職員は、直ちに上長やコンプライアンス責任者に報告・相談することを義務付けています。報告を受けた上長は、コンプライアンス・オフィサーに当該問題を報告し、最終的にはチーフ・コンプライアンス・オフィサーに一元的に報告される仕組みになっています。また、チーフ・コンプライアンス・オフィサーに報告された事案や対応状況については、子会社からの報告・通報事案を含め、監査等委員にも報告しています。


コンプライアンス・オフィサーは、報告・相談を受けた事案について、関係者の人権・名誉を侵害しないよう十分配慮した上で、必要な調査を実施し、再発防止策を立案・実行します。その結果はチーフ・コンプライアンス・オフィサーに報告され、当社グループ全体のコンプライアンス施策の立案・実施に役立てられます。


またチーフ・コンプライアンス・オフィサーのもとには、コンプライアンス事案への対応や全社コンプライアンス施策の立案・実施を行う、専任組織である「コンプライアンス委員会事務局」を法務部内に設置し、各コンプライアンス・オフィサーや関連部局と連携し実務を遂行しています。

社内規程

当社の企業理念である「三綱領」の下には、企業を規律する「企業行動指針」と、役職員一人ひとりを規律する「役職員行動規範」があります。当社役職員行動規範では「三菱商事の役職員は、業務遂行に当たり、法令、国際的な取決めおよび社内規程を遵守するとともに、ビジネスマナーを守り、社会規範に沿った責任ある行動をとること」を基本理念として掲げています。当社におけるコンプライアンス遵守は、単に法律の遵守にとどまらず、社会規範に反する行為は、仮にそれが違法でなくとも行ってはならない、ということを基本としています。


三菱商事役職員行動規範については、社内での浸透を図る目的で、「社員携帯情報」にも明記し、全役職員に周知しています。具体的な遵守事項に加え、コンプライアンス問題の相談窓口である目安箱(内部通報窓口)へのアクセス方法も記載し、役職員がいつでも参照できるようにしています。また、毎年「三菱商事役職員行動規範」に関連した事例演習を交えたeラーニングを実施し、受講の最後には、全役職員から役職員行動規範遵守への誓約書を取り付けています。

三菱商事の社内規程
三菱商事の社内規程

コンプライアンス施策の実効性を高めるため、またコンプライアンス遵守の理念を明確にするため、「三綱領」「企業行動指針」「役職員行動規範」の下に、各種コンプライアンスに関する社内規程を定めています。これらの社内規程は、法改正や当社グループを取り巻く環境・状況の変化に合わせて、毎年見直しを実施しています。

コンプライアンス関連の主要な社内規程

コンプライアンス

  • コンプライアンス組織・運営規程
  • 内部通報等に関する基準
  • 安全保障貿易管理基準
  • 制裁管理基準
  • 貿易手続管理基準
  • カルテル行為の防止に関する基準
  • 下請代金支払遅延等防止法に基づく取引基準
  • 株式等の不公平取引防止基準
  • 不正な利益供与の禁止に関する基準
  • 接待・被接待に関する基準
  • 古物取引管理基準
  • 許認可・諸届管理基準
  • 化学物質関連管理基準
  • 消費生活用製品の輸入・販売等に関する基準

モニタリング体制

個別事案のモニタリング

発生したコンプライアンス事案の事実関係や原因、再発防止策についての報告は、全てコンプライアンス委員会事務局に共有され、事案分析やリスク評価、施策の策定に活用されます。

組織風土調査

経営戦略と連動した人事施策の推進を通じて「イキイキ・ワクワク、活気あふれる人材と組織」の実現を目指すに当たり、社員のエンゲージメントは最重要テーマであるとの考えのもと、コンプライアンスを含む組織風土の定点観測を行いその改善を目的とし、組織風土調査を2022年度より毎年実施しています。「社員エンゲージメント度数」及び「社員を活かす環境度数」それぞれの肯定的回答率65%以上を維持することをKPIとしており、調査結果については各所属員にフィードバックし、自組織の活性化に向けて活用するほか、経営レベルでも結果について分析・討議の上、全社として取り組むべき課題を抽出し、施策に反映しています。一例として、2023年度は組織風土調査の結果分析を踏まえ、業務プロセスの効率化により生産性を向上することで、価値創出に向けて注力できる環境を整備することを目的に、「業務プロセス改革」を全社で進めています。

事業ごとのリスク要因対応

当社では、業界・商品・地域特性に照らし、各事業・子会社ごとに、独禁法・贈収賄をはじめとする腐敗行為、労働安全衛生など、特に注意すべきコンプライアンスリスクの自己評価を定期的に実施しています。各グループのコンプライアンス・オフィサーは、それぞれの事業領域において、特に注意すべきリスク要因を分析し、リスク対応策を実施しています。また、各子会社においても、コンプライアンスの責任者を任命し、それぞれの事業領域におけるリスク要因を分析し、リスク対応策を実施しています。

PDCAサイクル

当社は、各種調査・報告やモニタリング結果、さらには各グループのコンプライアンス・オフィサーの意見なども踏まえ、PDCAサイクルを活用しながら、各種セミナーの実施、各種規程の制定など、必要な施策へとつなげています。また、その結果をさらにモニタリングし、分析結果をさらなるリスクの特定・評価に反映させています。コンプライアンスの徹底を繰り返すことで、全役職員のコンプライアンス意識と知識の向上を図ることが目標です。