リスクマネジメント : 統合的なリスク管理とモニタリング
統合的なリスク管理とモニタリング
当社では、各リスクへの個別の対応に留まらず、統合的なリスク管理とモニタリングを実施しています。その一例として、近年、より一層重要性が増している当社事業運営上のリスクを抽出し、将来的な外部環境の変化も加味した上で、統一基準による評価、およびリスク管理体制の構築・運用について取締役会に毎年報告しています。2023年度は以下の3ステップによる評価を実施し、取締役会に報告しました。
STEP1 リスクマップ策定による現状評価
当社事業運営上の主要なリスク項目を整理した上で、統一基準に従って連結ベースで評価し、以下の通りリスクマップとして一覧化。「特にモニタリングを要する(リスクマップの右上に位置する)リスク項目」を特定し、取締役会において対応策をモニタリング。
STEP2 外部環境を加味した中期的評価
現状評価(Step 1)に加え、中期的な外部環境の変化も考慮するため、主要なリスク項目に影響を及ぼし得る外部環境要因(地政学要因、経済要因、環境要因等)を整理。その影響を特に受けやすいリスク項目は、将来的に「特にモニタリングを要するリスク項目」に移行する可能性があるとして、「中期的に注視を要するリスク項目」として抽出(下記⑤⑥⑩⑭⑮⑯)。
STEP3 中期的に注視を要するリスク項目への対処
「特にモニタリングを要するリスク項目」に加え、「中期的に注視を要するリスク項目」についても、将来的に特に対応を強化すべきリスク項目として位置づけ、以下の通り対応策を整理し、取締役会にてモニタリング。
- ⑤戦争・内乱・テロ等による事業基盤の毀損リスク
- ⑥国有化・接収・権利侵害リスク
地政学的な不確実性に対してグローバル・ネットワークからの情報集約をベースにGI委員会を実施。また、新興国を中心とした国家の財務規律低下に対しては、カントリーリスク対策制度を整備し全社として対処できる体制を整えている。
- ⑩気候変動関連(物理的)リスク
物理的リスク分析(詳細は、こちらをご参照ください)において、リスクが高いと判断された2資産(原料炭・銅)については、開示済の現状の対策・今後の対応方針の更新有無を毎年確認。
- ⑭自然災害リスク
自然災害リスクについては、国内外ともに連結ベースで発生時の初動対応・事業継続計画を整備している※。
- ⑮戦争・内乱・テロ等による生命・安全リスク
国内外ともに連結ベースで社員の生命・安全に対するリスク管理体制を構築済※。
- ⑯トランザクションリスク
契約関係の明確化を通じた発生予防と、リスク発生時における法務部門の支援による損失軽減に努めている。
- ※連結ベースでの危機管理/事業継続マネジメントについては、こちらもご参照ください。
TOPICS:リスク管理方針の整理
2023年度は、各リスク項目につき、管理方針を確認し、以下の(i)(ii)の2類型のいずれを重視するかを基準として分類。 (i)に該当するリスク項目の中でも定量評価を強化・推進していくリスク項目を確認しました。

- ⑤戦争・内乱・テロ等による事業基盤の毀損リスク
- ⑥国有化・接収・権利侵害リスク
- ⑦短期流動性に起因する外貨送金停止リスク
国ごとの各種リスク要因を踏まえ一国に対し許容できるリスクの上限値(全社管理基準枠)を設定し、半期毎に調査を行い、リスクの積み上がりをコントロールしている。
- ⑨気候変動関連(移行)リスク
GHG排出量削減目標の設定や、Scope1・2、Scope3カテゴリー11の排出量、並びに削減貢献量について開示済(詳細はこちらをご参照ください)。これを踏まえて、サステナビリティ開示基準への対応として、移行リスクの財務インパクトの定量化並びに開示方法を継続的に社内で検討を行っている。
- ⑬新興感染症リスク
- ⑭自然災害リスク
- ⑮戦争・内乱・テロ等による生命・安全リスク
発生時の損失軽減に向けた体制構築に注力している。