イノベーションを通じた社会課題の解決

イノベーションを通じた社会課題の解決

イノベーションがもたらす産業の大きな変化も取り込みながら、社会課題の解決に資するビジネスを創出していきます。

関連するSDGs目標

本マテリアリティに関するアクションプラン

イノベーションは社会や産業の課題を解決し、人々の生活をより豊かにする大きな可能性を秘めたものだと認識しています。イノベーションが創出するビジネス機会にアプローチしながら、既存の事業をダイナミックに変革していくことで当社の持続的な成長を実現していきます。

産業横断型デジタルエコシステムの構築

当社にはDigital Transformation(DX)による課題解決が必要となるリアルな事業現場が数多く存在します。これらの事業現場に対してDX機能を提供することで物流最適化や生産性向上を実現し、事業の価値を向上させて、産業全体の発展と豊かな地域社会の実現に貢献していきます。


当社が有する幅広い事業知見を活かした産業横断型DX機能を開発し、サービスとして提供することで、産業自体の価値向上に貢献するとともに、産業・企業・地域コミュニティなどが有機的につながり、共存・共生できる「産業横断型デジタルエコシステム」の構築により、産業・社会全体の生産性向上を実現し、持続可能な価値創造を目指します。

産業横断型デジタルエコシステムの構築
エムシーデジタル(株)の取り組み

エムシーデジタル(株)は「テクノロジーでビジネスモデルをアップデートする」ことをミッションに掲げる当社100%出資のAI・データサイエンス企業です。

当社は、三菱商事が手掛ける幅広い産業領域において、生成AIをはじめとする最先端技術を活用し、グローバルな産業変革に大きなインパクトを与えることを目指しています。また、国際的なイノベーション・エコシステムや学術機関、政府機関との提携を深め、新規事業開発にも積極的に取り組んでいます。これら活動を通じて、多岐にわたるソリューションを世界中に提供することで社会に貢献していきます。

エムシーデジタルの取り組み

食品ロスの削減

日本における食品ロスは570万トン(2019年)と試算されており、その食品廃棄規模はWFPの世界食糧援助量(2020年)の約1.4倍に相当します。また、日本における食品ロスのうち、食品の流通・生産の過程にて廃棄される事業系食品ロスは全体の約54%を占めており、食品流通業界として解決すべき重要な課題として認識されています。

当社はこのような食品流通の課題に対して、AIなどのデジタル技術を用いて食品ロスを削減する取り組みを進めています。一部事業投資先企業においては、流通効率化をはじめとする取り組みを通じて、2030年までに食品ロスを50%削減する目標を掲げています。

グローバル鮭鱒需給見通しイメージ
  • WFP:World Food Programme(国際連合世界食糧計画)の略。
食品流通DX事業

当社では、食品卸における需要予測・発注自動化を実現するソリューションの開発に着手しています。食品卸の在庫量を削減しつつ、欠品も生じさせない適切な発注量をAIを用いて自動計算し実発注につなげることで、「必要なモノを、必要なだけ仕入れる」ことが可能になり、食品卸における食品ロスの削減に貢献することができます。実証実験においては、従来の人手による発注業務と比較し、欠品率を低減させながら、在庫量を低減できる結果が得られており、十分な効果を発揮できると見込んでいます。

食品流通事業の中核を担う三菱食品(株)では、AIによる需要予測を活用した在庫最適化ソリューションを全ての(株)ローソン向け専用センターに対し導入を完了しました。

食品流通DX構想
食品流通DX構想

デジタルの活用を通じたサプライチェーン全体の最適化によるムリ・ムダ・ムラの削減

生産者から消費者をつなぐサプライチェーンは、保管と輸送を組み合わせた物流機能で成り立っています。その要所を成す国内倉庫市場は約7兆円の市場規模を有しますが、人手不足や属人化、長期契約によってそのキャパシティが固定化し、多様な産業のビジネスシーンでムリ・ムダ・ムラが発生する一因となっています。米国や中国などをはじめ、世界的にも同様の課題に直面しており、自律走行が可能な倉庫ロボットの開発や倉庫の空きスペースのシェアリングといった新しいビジネスモデルの普及が進んでいます。

デジタルの活用を通じたサプライチェーン全体の最適化によるムリ・ムダ・ムラの削減
Gaussy(株)による倉庫産業DXの実現

Gaussy(株)は倉庫現場の人手不足や属人化といった課題に対して、誰でも簡単にロボットを使って倉庫運営ができるサブスクリプション型の倉庫ロボットサービス“Roboware”と、倉庫キャパシティの過不足といった課題に対して、誰でも簡単に倉庫空きスペースを利用できるシェアリング倉庫サービス “WareX”の2つのサービスを提供しています。“Roboware”は6種類の倉庫ロボットを取り扱い、全国35拠点以上に導入されています。“WareX”は2024年6月末時点で全国1,500拠点を超える倉庫が登録されており、遊休スペースを活用した従量課金型の倉庫として、大手から中小企業の皆さまにご利用いただいています。
Gaussy(株)では「物流から新しいチャンスを」をビジョンに、倉庫ニーズや荷量の変化にフレキシブルに対応できる仕組みを構築し、ビジネスに今までにない新しい選択肢を提供していきます。

Gaussyによる倉庫産業DXの実現

技術イノベーションを通じた脱炭素社会実現への貢献

低・脱炭素化の推進は地球規模での喫緊の課題であり、スピード感を持ってこれに取り組む必要があります。そのためには、全く新しい脱炭素技術の開発のみならず、既にR&Dを終えた技術を早期に社会実装へと移行させる、スケールアップ段階におけるイノベーションが重要となります。

当社は、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、既に次世代エネルギーなどのEX関連事業開発も推進していますが、これらの取り組みを補完し、さらに加速させるべく、官民連携を通じて革新的な脱炭素技術のスケールアップにも取り組んでいきます。

Breakthrough Energyの全体イメージ
脱炭素技術の社会実装を加速させるBECへの参画

当社は、革新的な脱炭素技術の社会実装を加速させるブレイクスルーエナジーカタリスト(Breakthrough Energy Catalyst:BEC)にアジア域内の企業として初めて参画しました。


BECは、世界的な篤志家であるビル・ゲイツ氏が2015年に設立したBreakthrough Energyが新たに開始した取り組みであり、研究開発を終えた脱炭素新技術を用いた個別プロジェクトに対して投資などの支援を行います。
当社は、再生可能エネルギー事業や水素・アンモニア・メタネーションなどを活用した次世代エネルギーの導入検討などに着手していますが、全世界的な課題であるカーボンニュートラル社会への移行・実現には、新技術の活用とイノベーションが必要不可欠と認識しています。


BECは、民間企業・慈善団体からの資金供給に加え、グリーン製品需要家による製品引き取り支援、さらには政府機関からの支援を有機的に結び付ける“Catalyst(触媒)”となり、カーボンニュートラル社会を実現するために必要な商業化直前の革新的な脱炭素技術を用いたスケールアップ・プロジェクトを支援する枠組みを構築しています。


注力分野は、①クリーン水素製造(および水素関連インフラ)、②長期エネルギー貯蔵(Long Duration Energy Storage)、③持続可能航空燃料(Sustainable Aviation Fuel)、④直接空気回収(Direct Air Capture)および⑤グリーン製造業(製鉄、セメント、プラスチックなど)の5分野であり、将来的には脱炭素化に重要なその他技術にも対象領域を拡張していくことを想定しています。これらの対象領域は、当社が進めるEX戦略、および「カーボンニュートラル社会へのロードマップ」を具体化させていく上で極めて重要な領域です。


当社は、BECへの参画を通じ、カーボンニュートラル社会への移行・実現を支える技術革新の普通を支援し、人々の暮らしへの安心を損なうことなく、環境負荷のさらなる軽減を実現したいと考えています。
当社が有する日本・アジア地域での知見やネットワークを最大限活用し、鉄鋼・航空・金融など幅広い分野における他の参画企業と共に、カーボンニュートラル社会への移行・実現に貢献していきます。