持続可能で安定的な社会と暮らしの実現

持続可能で安定的な社会と暮らしの実現

各国・顧客のニーズに基づく資源・原材料・製品・サービス等の安定供給責任を果たしながら、様々な国・産業における事業を通じ、将来に亘って持続可能な社会と暮らしを実現します。

関連するSDGs目標

本マテリアリティに関するアクションプラン

人々の安定的な生活を支えることは当社の最大の使命の一つであり、事業を通じ、持続可能な形でこの使命を果たしていくことが重要だと考えています。現在の社会システムの営みを維持するために必要な物資・サービスの供給を続けながら、よりサステナブルな未来に移行していくための事業の推進を行っていきます。

移行期を支えるエネルギーの安定供給責任の充足

人口増、経済発展などにより、引き続き世界のエネルギー需要は増加が見込まれています。今後、電力分野では再生可能エネルギーへの切り替えが進展することが想定される一方で、間欠性や立地条件などの観点から全ての電力を再生可能エネルギーで賄うことは、飛躍的な技術革新を必要としており、増大する世界のエネルギー需要を満たしながらカーボンニュートラル社会を実現するためには、化石燃料の低・脱炭素化が不可欠です。

当社は、オペレーションの効率化、CCUSなどを通じ、天然ガス・LNGバリューチェーン全体のGHG排出量の削減に取り組むとともに、化石燃料の中で相対的に環境負荷が低く、移行期を支えるエネルギーである天然ガス・LNGの安定供給責任を果たしていきます。

移行期を支えるエネルギーの安定供給責任の充足
タングーLNGプロジェクトの取り組み

当社がオペレーターであるbpと推進するインドネシア西パプア州タングーLNGプロジェクトは、インドネシアで生産される天然ガスの約3割を占める同国内最大のガス生産プロジェクトであり、2009年の操業開始以降インドネシアや日本をはじめとしたグローバル市場に1,700カーゴ超を安定的に供給しています。2023年には、第3液化系列の増設により、年間380万トンのLNG生産能力が既存の2系列(生産能力:年間760万トン)に新たに加わり、タングーLNGプロジェクトにおけるLNGの生産能力は合計で年間1,140万トンに増加しました。


また、2021年にSKK Migas(インドネシア石油ガス上流事業監督執行機関)から承認された開発計画に基づき、現在CCUS事業を含む開発を検討しています。今後タングーLNGプロジェクトに携わる企業連合による最終投資決定を経て、当該CCUS事業実施により天然ガスの生産に伴い排出されるCO2を最大90%削減、タングーLNGプロジェクト全体で排出されるCO2を約半分削減することが見込まれ、世界屈指のGHG排出量の少ないLNGプラントとなることが期待されます。

タングーLNGプロジェクトの取り組み

高品位の原料炭の安定供給

鉄鋼は代替困難な基礎素材であることから、その需要は世界経済の成長に合わせて長期的に堅調に増加していくことが想定されています。鉄鋼業では、鉄鉱石を主原料とする製鉄プロセス(高炉法)において多くのGHGを排出するため、鉄スクラップを主原料とする電炉の拡大や、将来的には製鉄プロセスでの水素利用が期待されていますが、そのために必要な技術的革新や生産設備の切り替えが実現するには相応の時間を要することが想定されるため、当面は現在主流である高炉製鉄プロセスの脱炭素化が重要な課題となります。当社の主要商品である高品位原料炭は、高炉製鉄プロセスの原料の一つとして、既存高炉の低炭素化に貢献することから、引き続き需要家に対して高品位原料炭の安定供給責任を果たし、鉄鋼産業の低炭素化へ寄与していきます。

金属資源グループ
MDP社の取り組み

金属資源の探査・開発・生産・販売を行う豪州Mitsubishi Development Pty(MDP)社は、パートナーであるBHP社と共に世界最大規模のBMA原料炭事業を運営しています。BMAでは高炉製鉄プロセスの低炭素化に貢献する高品質な原料炭を供給しています。2024年4月には、一部炭鉱の売却が完了し、高品位炭を産出する炭鉱群への集約が完了しました。


また、事業環境の変化を見据え、BMAの生産プロセスで排出されるGHG削減に取り組むとともに、原料炭事業のパートナーであるBHP社と共同で、原料炭バリューチェーン全体での排出量削減に資する研究支援に取り組んでいます。2022年10月にはアルセロール・ミタル社、三菱重工エンジニアリング(株)、BHP社と共に製鉄分野でのCO2回収適用に関し協業契約を締結し、アルセロール・ミタル社が保有する製鉄所でのCO2回収技術適用の実証試験などを共同で実施しています。

MDP社の取り組み

サステナブルな「食」の供給

世界人口の増加などによる食料需要の拡大や、サステナビリティに対する関心の高まりを背景に、持続可能な生産・供給体制の構築は重要度が増しています。当社では、生産から加工・販売に至る食料バリューチェーンのサステナブル化を目指し、Marine Stewardship Council(MSC)/Aquaculture Stewardship Council(ASC)をはじめとする漁業/養殖業に対する国際的な認証商品の取り扱い強化や、「持続可能なサプライチェーン行動ガイドライン」遵守サプライヤーとの取引を推進しています。

グローバル鮭鱒需給見通しイメージ
Cermaq社の取り組み

当社は、2014年にノルウェー、チリ、カナダの3カ国で年間約20万トンのサーモンを養殖する養殖・加工・販売会社であるCermaq社を子会社化しました。当社における養殖サーモンの生産量は世界有数となっており、持続可能で安全・安心な養殖サーモンを世界中に供給しています。

Cermaq社は、事業を展開している全ての国で、生物多様性の保全を操業に当たって欠かせない取り組みとして位置付けています。天然サーモンが生息する全ての地域において、地元の関係者と協力しながら生態系の保全に努めている他、事業を展開する国の法令やASC認証で定められている基準に沿って、養殖海域のゴミの除去や鳥や海獣の死亡数調査などを行っています。また、ゴミの発生源にかかわらず、事業を行っている地域の海岸清掃を実施しています。飼料調達方針として、違法・無報告・無規則(Illegal, Unreported and Unregulated:IUU)漁業に由来する魚粉や魚油を使用しないことを定めています。

Cermaq社