三菱商事

コーポレートガバナンスに対する取組
〜持続的成長を支える三菱商事のコーポレートガバナンス体制〜

コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方

三菱商事は、『三綱領』を企業理念とし、公明正大を旨とする企業活動を通じ、継続的に企業価値の向上を図るとともに、物心共に豊かな社会の実現に貢献することが、全てのステークホルダーの期待に応えることと捉え、この実現のため、経営の健全性、透明性、及び効率性を確保する基盤として、コーポレートガバナンスを継続的に強化することを経営上の重要な基本方針としています。

当社は、上記の基本的な考え方の下、経営における監督と執行の分離を進め、取締役会による充実した審議を通じて経営に対する実効性の高い監督を実現するとともに、重要な業務執行の決定の一部を社長又はその他業務執行取締役(以下、社長及びその他業務執行取締役を総称して「業務執行取締役」という)に委任することにより、迅速・果断で、かつ変化への対応力をもつ意思決定を可能とするため、2024年6月21日開催の2023年度定時株主総会における承認をもって、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行しました。

この体制の下、取締役会より委任を受けた業務執行取締役が、経営戦略・事業計画等の原案を策定し、取締役会においてその内容を審議したうえで決定します。業務執行取締役は、進捗状況を定期的に取締役会に報告し、取締役会はその進捗状況のモニタリングを行うことにより、継続的な企業価値の向上を図ります。

当社は、役職員の行動規範、全社横断的な管理体制、予防・是正・改善措置、内部通報制度等を社内規程等で定め、周知のうえ、運用の徹底を図り、コンプライアンス体制を実現するとともに、適切な内部統制システムを構築し、毎年その運用状況を確認のうえ、継続的な改善・強化に努めます。

以上の基本的な考え方・基本方針に基づく当社の具体的な方針や取組みについては、「コーポレートガバナンス原則」としてとりまとめています。

コーポレートガバナンス体制(2024年6月21日現在)

取締役会

取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、当社の健全で持続的な成長と継続的な企業価値の向上を促し、物心共に豊かな社会の実現に貢献するべく、以下に列挙する役割・責務を果たし、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定及び実効性の高い経営監督の実現を図っています。

  • 当社を取り巻く外部環境・時代観・世界観等を踏まえ、当社の事業実態に即した経営の大きな方向性を示すこと
  • 執行側が整備した適切なリスクテイクを支える経営管理・リスク管理制度につき、その体制整備・運用状況を監督すること
  • 執行側が策定し、取締役会で承認した経営の基本方針に照らして、独立した客観的な立場から執行側を評価し、必要な是正を促すことで、執行側に対して実効性の高い監督を行うこと

取締役会の規模・構成、取締役の役割・責務/選任方針/選任手続

規模・構成 取締役会は上記の取締役会の役割・責務を果たすため、多様性が確保された適切な規模及び構成とするものとし、そのうち当社の独立性基準(注)を満たす社外取締役の人数が3分の1以上を占めるものとします
役割・責務 社内取締役
  • 取締役会長コーポレートガバナンスの維持・発展に努めるとともに、取締役会議長として、執行側の実情も踏まえながら、社外取締役の意見・考えを適切に引き出し、取締役会での議論を中立的にリードすることで、審議の充実化を図り、取締役会の役割・機能を発揮させることにより、当社の健全で持続的な成長と継続的な企業価値の向上を目指す
  • 業務執行取締役取締役会で承認された経営の基本方針に沿って業務を遂行するとともに、取締役会宛に業務執行状況を報告し、取締役会での審議内容を踏まえて、日々の業務執行にあたることにより、当社の健全で持続的な成長と継続的な企業価値の向上を目指す
社外取締役 企業経営に関する実践的な視点や客観的・専門的な視点をもって、執行側の示す経営戦略の遂行を監督し、自らの経験やネットワークからの情報を基に、中長期の大きな方向性について助言した上で、取締役会としての適切な意思決定に参加することで、当社の健全で持続的な成長と継続的な企業価値の向上を目指す
選任方針 上記の役割・責務を踏まえ、以下方針のもと、全人格的な要素を考慮し、選任するものとします
社内取締役 取締役会議長を務める取締役会長、業務執行の最高責任者である社長のほか、全社経営を担う役付執行役員の中から選任する
社外取締役
  1. 企業経営者としての豊富な経験に基づく、実践的な視点を持つ者、及び世界情勢、社会・経済動向等に関する高い見識に基づく、客観的かつ専門的な視点を持つ者から選任する
  2. 社外取締役選任の目的に適うよう、その独立性(注)確保に留意し、実質的に独立性を確保し得ない者は、社外取締役として選任しない
  3. 広範な事業領域を有する当社として、企業経営者を社外取締役とする場合、当該取締役の本務会社との取引において利益相反が生じる可能性もあるが、個別案件の利益相反には、取締役会において適正に対処するとともに、複数の社外取締役を置き、多様な視点を確保する
選任手続 取締役(監査等委員である取締役を除く)の選任にあたっては、上記の取締役(監査等委員である取締役を除く)の選任方針を踏まえ、社長が取締役(監査等委員である取締役を除く)候補者の選任案を作成し、コーポレートガバナンス・指名委員会による審議を経て、取締役(監査等委員である取締役を除く)選任議案として取締役会で決議し、株主総会に付議します

監査等委員会

監査等委員会は、株主の負託を受けて取締役の職務の執行を監査する法定の独立機関として、その職務を適正に執行することにより、良質な企業統治体制を確立する責務を負い、かつ、取締役会と協働して会社の監督機能の一翼を担います。これらの役割・責務を通じて、当社のコーポレートガバナンスの維持・発展を支え、様々なステークホルダーの利害に配慮するとともに、ステークホルダーとの協働に努めながら、当社の健全で持続的な成長と継続的な企業価値及び社会的信頼の向上を目指します。

監査等委員会の規模・構成、監査等委員の選任方針・選任手続

規模・構成 監査等委員会は、上記の監査等委員会の役割・責務を果たすため、多様性が確保された適切な規模及び構成とするものとし、当社の独立性基準を満たす社外監査等委員の人数が過半数を占めるものとします
役割・責務 常勤監査等委員 当社全社経営での経験や、財務・会計・法務・リスク管理等の知識・経験を踏まえ、(a)取締役会長とともに非業務執行の社内取締役として取締役会の役割・機能を発揮させるとともに、(b)常勤監査等委員として、経営執行状況の適時的確な把握と、監査等委員会による実効性のある監査・監督の実現に向けた環境の整備に努め、他の監査等委員と協力して、客観的・大局的な視点から監査・監督し、必要な場面においては信念をもって執行側に直言することで、当社の健全で持続的な成長と継続的な企業価値及び社会的信頼の向上を目指す
社外監査等委員 社外取締役としての、企業経営に関する実践的な視点や客観的・専門的な視点をもって、執行側の示す経営戦略の遂行を監督し、自らの経験やネットワークからの情報を基に、中長期の大きな方向性について助言した上で、取締役会としての適切な意思決定に参加することで、当社の健全で持続的な成長と継続的な企業価値の向上を目指すという役割・責務に加え、企業経営に関する多様かつ豊富な知識・経験や自らの専門性を踏まえ、中立的・客観的な立場から監査・監督し、当社の健全で持続的な成長と継続的な企業価値及び社会的信頼の向上を目指す
選任方針 上記の監査等委員の役割・責務を踏まえ、以下方針のもと、全人格的な要素を考慮し、選任するものとします
常勤監査等委員 全社経営や財務・会計・法務・リスク管理、その他の知識・経験を持つ者から選任する
社外監査等委員
  1. 企業経営に関する多様かつ豊富な知識と経験及び監査・監督に資する専門性を有する者から選任する
  2. 社外監査等委員選任の目的に適うよう、その独立性(注)確保に留意し、実質的に独立性を確保し得ない者は社外監査等委員として選任しない
  3. 広範な事業領域を有する当社として、企業経営者を社外監査等委員とする場合、取締役である当該監査等委員の本務会社との取引において利益相反が生じる可能性もあるが、個別案件の利益相反には、取締役会において適正に対処するとともに、複数の社外監査等委員を置き、多様な視点を確保する
選任手続 監査等委員の選任にあたっては、上記に定める監査等委員の選任方針を踏まえ、社長が常勤監査等委員と協議の上、監査等委員の候補者の選任案を作成し、コーポレートガバナンス・指名委員会による審議を経て、監査等委員会の同意を得た上で、取締役会で決議し、株主総会に付議します

(注)当社の「独立性基準」

当社は、社外取締役の選任にあたっては、(株)東京証券取引所が定める独立役員の要件に加え、本人の現在及び過去3事業年度における以下の①号~⑦号の該当の有無を確認のうえ、独立性を判断しています。なお、以下の各号いずれかに該当する場合であっても、当該人物が実質的に独立性を有すると判断した場合には、社外取締役選任に際してその理由を説明・開示します。

当社の大株主(直接・間接に10%以上の議決権を保有する者)又はその業務執行者※1
当社の定める基準を超える借入先※2の業務執行者
当社の定める基準を超える取引先※3の業務執行者
当社より、役員報酬以外に1事業年度当たり1,000万円を超える金銭その他の財産上の利益を得ているコンサルタント、弁護士、公認会計士等の専門的サービスを提供する者
当社の会計監査人の代表社員又は社員
当社より、一定額を超える寄附※4を受けた団体に属する者
当社の社外役員としての在任期間が通算で8年を超える者
  • ※1 業務執行者とは、業務執行取締役、執行役、執行役員その他の使用人等をいう。
  • ※2 当社の定める基準を超える借入先とは、当社の借入額が当社連結総資産の2%を超える借入先をいう。
  • ※3 当社の定める基準を超える取引先とは、当社との取引額が当社連結収益の2%を超える取引先をいう。
  • ※4 一定額を超える寄附とは、1事業年度当たり2,000万円を超える寄附をいう。

(ご参考)監査役(会)の主な活動状況(2023年度)

当社は2024年6月21日開催の2023年度定時株主総会における承認をもって、監査役会設置会社から、監査等委員会設置会社に移行しました。以下の活動は移行前の監査役会設置会社における活動状況です。

  1. 1.経営・業務執行責任者との対話

    取締役会長、社長、副社長、各コーポレート担当役員、各部門長・営業グループCEO、営業グループ各本部長・各管理部長、監査部長、経営企画部長及びコーポレートスタッフ部門各部長と、社外監査役を含む全監査役との対話の機会を設けています。

  2. 2.重要会議への出席

    常勤監査役は、監査役会のほか、取締役会及びガバナンス・指名・報酬委員会、並びに社長室会、事業戦略会議等の主要社内経営会議に出席し、必要な意見を述べています。社外監査役は、監査役会への出席に加え、社長室会以下の会議体での審議内容を聴取したうえで取締役会に出席し、必要な意見を述べています。

  3. 3.往査・視察

    2023年度においては、海外3か国12社、国内16社の三菱商事グループ企業の経営執行責任者、及び国内外7拠点の全社拠点長と対話を行い、往査結果を取締役会長、社長、関連の担当役員等へ報告しています。

  4. 4.グループ・ガバナンスの強化

    三菱商事グループ企業の経営・業務執行責任者との対話に加え、国内主要グループ企業34社の監査役と四半期毎の情報交換の機会を設ける一方、グループ企業の監査役間でも少人数の分科会を開催し、情報共有や意見交換の場を提供しています。また、グループ企業に派遣される常勤監査役への派遣前研修等のサポートも実施しています。今後も定期的なモニタリングを通じてグループ・ガバナンスの強化を図っていきます。

  5. 5.監査役(会)活動の実効性向上に向けた取組

    監査役監査の実効性向上を目的に、2023年度は前年度に引き続き監査役会の活動レビューをより充実させました。具体的には、従来、期中及び期末で実施してきた、重点監査項目中心の監査進捗状況のレビューに加えて、各監査役へのアンケート及び当該結果に係るヒアリングに基づいた監査役会実効性評価を実施し、監査手法の見直しや次年度の監査活動でフォローを要する事項について監査役会で討議しました。 その結果として、監査役会による監査は十分機能し、実効性が適切に確保されていること、また、更なる実効性向上に向けた取組(取締役会への意見共有や社外取締役との意見交換等)を不断に検討することが確認されました。

取締役のスキルマトリックス

取締役会では、経験・見識・専門性等を踏まえ、全人格的な要素を考慮して選任した取締役が、多様な視点から審議し、透明・公正かつ迅速・下段な意思決定及び実効性の高い経営監督の実現を図っています。当社取締役会として備えるべき経験・見識・専門性等、及びその選定理由、並びに各取締役が有する経験・見識・専門性等は、次のとおりです。

(注)
  • 全ての経験・見識・専門性等を示すものではありません。
  • 過去の役職等に基づく経験、現在の役職、資格等を基準としております。
  • 2024年6月21日時点の取締役を記載しています。

取締役会の諮問機関

コーポレートガバナンス・指名委員会

コーポレートガバナンス・指名委員会は、コーポレートガバナンスの継続的な強化を図るとともに、取締役会による指名プロセスについてより客観性・透明性を高め、公正性を担保することを目的として、以下に定める事項に関し、取締役会の諮問に応じて、社外取締役の意見・助言も踏まえた審議・モニタリングを行い、取締役会に意見具申します。

<審議事項>
  • コーポレートガバナンスにかかる基本方針、及び枠組み:
    機関設計、取締役会の規模・構成、取締役会の審議事項、取締役会実効性評価、等
  • 取締役の選解任に関する事項:
    取締役の選解任方針、選解任案、選解任手続
  • 指名等に関する事項:
    社長の後継者計画、経営者の要件及びその選解任に関わる基本方針、全社戦略に関連する組織改編・コーポレート機能にかかる執行役員人事
  • その他コーポレートガバナンス・指名委員長が必要と認める事項
<委員の構成(は委員長)>(2024年6月21日現在)
社外役員(7名)
  • 宮永 俊一(社外取締役)
  • 秋山 咲恵(社外取締役)
  • 鷺谷 万里(社外取締役)
  • 小木曾 麻里(社外取締役)
  • 立岡 恒良(社外監査等委員)
  • 佐藤 りえ子(社外監査等委員)
  • 中尾 健(社外監査等委員)
社内委員(3名)
  • 垣内 威彦(取締役会長)
  • 中西 勝也(取締役 社長)
  • 鴨脚 光眞(常勤監査等委員)

報酬委員会

報酬委員会は、取締役会による役員報酬等の決定方針や報酬等の額の決定について、より客観性・透明性を高め、公正性を担保することを目的として、以下に定める事項に関し、取締役会の諮問に応じて、社外取締役の意見・助言も踏まえた審議・モニタリングを行い、以下1.の事項については取締役会に意見具申するとともに、以下2.の事項については決定しています。

<審議・決定事項>
  1. 審議事項
    1. 役員報酬等の基本的な考え方:
      役員報酬等の決定方針、報酬水準・構成の妥当性及び運用状況
    2. その他報酬委員長が必要と認める事項
  2. 審議・決定事項
    1. 執行役員報酬のサステナビリティ項目評価*
    2. 社長業績評価*

*執行役員報酬のサステナビリティ項目評価及び社長業績評価については、報酬委員会の委員4名に加え、全社外取締役(社外監査等委員を含む)も参加し、審議・決定を行います。

<委員の構成(は委員長)>(2024年6月21日現在)
社外役員(3名)
  • 秋山 咲恵(社外取締役)
  • 小木曾 麻里(社外取締役)
  • 立岡 恒良(社外監査等委員)
社内委員(1名)
  • 垣内 威彦(取締役会長)

国際諮問委員会

国際諮問委員会は、取締役会の審議に国際的かつ社外の多様な視点を取り入れることにより、各ステークホルダーの意見を経営に反映する体制を整えることを目的として、委員会における討議を踏まえ、国際的視点に立った提言・助言を取締役会に対して行います。

<審議事項(2023年度)>
  1. 分断の選択 / 2024年の世界における選挙
  2. AI突然の台頭 / リスクと機会
  3. グローバルサウス /影響力と繁栄の活用
<委員の構成(は委員長)>(2024年6月末現在)
海外委員(6名)
  • ハイメ・アウグスト・ゾーベル・デ・アヤラ アヤラ・コーポレーション会長(フィリピン)
  • ジョセフ・S・ナイ ハーバード大学特別功労教授(米国)
  • ナイル・フィッツジェラルド・KBE ユニリーバ元会長(アイルランド)
  • ナタラジャン・チャンドラセカラン タタ・サンズ会長(インド)
  • ロッド・エディントン卿 ブリティッシュ・エアウェイズ元社長(豪州)
  • ビラハリ・カウシカン大使 シンガポール元外務事務次官(シンガポール)
国内委員(4名)
  • 垣内 威彦(取締役会長)
  • 中西 勝也(取締役 社長)
  • 塚本 光太郎(取締役 副社長執行役員)
  • 立岡 恒良(社外監査等委員)
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